ミソシタ

ポエムコアについて 入門編

 世界人口は75億という推計もあり、誰も全数を確認できないが70億以上というのは観測されているらしい。その世界の99%以上の人はポエムコアなんて単語について知らないし、知らなくても何も問題がないまま生きていくだろう。
 これは99%に向けて書く戯言だ。みんなにポエムコアを聴いて欲しい。


 ポエムコアという概念を発明したのはBOOLだった。当初彼はそれを特に挑戦的な、音楽的な実験だと考えてはいないようだった。彼のやり方では最初にポエムがあり、それが乗るようなトラックを作っていた。ある意味ではポエトリー・リーディングの延長であり、ある意味ではトラックの整合性を無視した曲作りも可能にしたとも言える。だが彼より先に彼と似たようなアプローチをした人間は他にも様々な先駆者がいた。個人的な好みで言えばSHINGO02不可思議/wonderboy平沢進などがそれに近いことをものすごいレベルで成し遂げている。つまりある意味ではこんなすでにやられているようなことを現代に本気でやろうというやつらはほぼいなかったのだ。

 その現代と過去のタイムパラドックスの狭間のような場所で誕生したのがvtuberミソシタであり、彼が示したポエムコアの3大要素はこうだった。

・ナイフのような自意識
・スケベ心
・闇

 そういった、不条理ですらあるモテないやつの音楽にしかならないという一種のハンデを背負いながら、ポエムコアはゆっくりとスタートした。だが彼・あるいは彼らの活動自体はとてもハイペースだった。血色の悪い青白いロングヘッドは徐々に、だが可及数的に知名度を上げ、そしてついにフォロワーが現れ始める。俺は決してミソシタがロートルになったとは言わない。3大要素を自分で掲げた以上、ミソシタにはそれを掲げ続ける責任がある。現に彼・あるいは彼女はまだそれを裏切っていない。

 そしてフォロワーとして驚くべき速度でポエムコア(あるいは曲)を書いているのが渚乃奏だ。

 単に自分は詞を書き、それ以降を他人に投げる(作曲者やアレンジャーなどに外注し録音をマスタリングをして物販に乗せる)のは秋元康でもできる。現にやつが書いているのは現状では詞だけで、個人的にその時は目新しい歌詞だが5年して聴き返す気にならない曲はクソだと思っているので、秋元康作詞の仕事は「川の流れのように」以外基本的にゴミ箱行きだ。だが渚乃奏、さのかな氏は全てをひとりでやっている。作詞・作曲・歌唱・MV制作・マネジメントを全て自分でこなしている。彼・彼女がそれを本業にするほど人気ではないというのもそれを可能にしている理由のひとつだろう。でも俺はこの音楽に可能性を見出してしまったので言いたい。

みんなでポエムコアを聴こう。

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