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記事コメ:レプリコンワクチンに「強い懸念」、今の医学の限界を超えた 安全性を誰も理解できていない

今日は下記の記事を見掛けたので紹介しておこう。

記事では全国有志医師の会代表、藤沢明徳氏の署名入りの声明を引き合いにしてコメントを書いている。この声明に於いてレプリコンワクチンに反対する理由は以下の通りだそうだ。

1.「次世代型」などと呼ばれていますが、「mRNA-LNP(スパイクタンパクの設計図が書き込まれたmRNAをLNP=脂質ナノ粒子で包んだ構造)」というプラットフォームを応用している点は、従来のmRNAワクチンと変わりありません。LNPが激しい炎症反応を引き起こすとともに、スパイクタンパクも血栓症を誘発するなど、さまざまな毒性が指摘されています。またスパイクタンパクを発現した細胞は自己の免疫から攻撃を受け、様々な自己免疫疾患や細胞障害、臓器障害を引き起こすことも明らかになってきました。

2.レプリコンワクチンは従来に比べ少量接種で済むため、副作用が少ないかのように言われています。しかし、mRNAの自己増幅やスパイクタンパクの産生がどれくらいでストップするのか充分に解っていません。人によっては、従来のmRNAワクチンより大量のスパイクタンパクが産生されてしまい、これまで以上の重篤な健康被害が及ぶ危険性も予想されます。

3.レプリコンワクチンによって産生されたmRNAやスパイクタンパクが細胞膜の一部をまとって「エクソソーム(細胞外小胞の一種)」等として飛び出し、ウイルスが感染するように非接種者にも広がってしまうと指摘する研究者もいます。そうした現象がどれくらいの頻度で起こり得るのか解明はされていませんが、懸念が十分に払拭されているとは言えません。

1については私がいつも述べている免疫系についてのリスクである。特に自己臓器におけるMHC-I依存的な抗原提示は核酸ワクチンによってのみ引き起こされる特有の分子生物学的機序であり、それに伴う臓器特異的自己免疫疾患(心筋炎、肝炎など)は既に核酸ワクチンの有意に高いリスクとして証明されている。レプリコンワクチンについてもそのリスクは変わらない。

むしろ変わらないどころか、2の理由も併せればより高リスクと考えるべきであろう。これも声明の通り、投与量が少なければ安全というのは全くの間違いである。この場合、投与量が少なく済むというのは完全に製造側のメリットであり、患者側のメリットではないのだ。むしろ投与後の最大複製量がアンコントローラブルであるのなら、それはリスクでしかない。

他方で3については議論があるところである。少なくとも同一個体内における細胞間相互作用の一環として、エキソソームを介した情報伝達が起こる事は全く不思議ではない。だが、個体間において、有意義なレベルの伝播が起こりえるかどうかは現時点で全く不明であるし、そもそも常識的には起こらない現象である。現時点で科学的に証明されている事は、少なくとも細胞間でエキソソームを介したRNA伝播が起こるというIn vitroの研究のみである。

体外への放出について、承認審査資料の中にある動態試験で呼気中に排出されていたという結果を持ち出す人がいるが、これは結果の解釈が正しくない。この試験では放射線同位体の炭素原子をマーカーとして投与した核酸を追跡しているのだが、これはRNAが分解され代謝産物として他の物質に代わった後も同じ様に同位体として検出される試験系だ。呼気中に含まれるRNA由来の炭素というのは100%最終代謝産物としての二酸化炭素である。

また、ワクチン接種者から特異な匂いがするというのも別に不思議な話ではない。特定の有機化合物を主成分、副成分として含む医薬品を投与した際に、特異な体臭を呈するのは他の医薬品でも知られている現象である。この現象と、RNA分子の個体間伝播を同一視する事は非科学的である。何しろRNA分子にしろ更に大きいエキソソームにしろ、匂いの原因となる有機化合物の1分子に比べたら全く大きさが異なるのだ。

この様な科学的常識を持たず、間違った解釈で議論する事は核酸ワクチン推進派を調子に乗せることにもなりかねない。容易に非科学的だと論破され、「反ワクチン」が一くくりに馬鹿にされるからだ。現時点では3のコメントの通り、「そういう説もある」程度のものであり、基礎科学の常識から演繹的に正しいだろうと言える程のものではない。批判する人間は常に推進する人間よりもその対象に詳しく、正しく理解せねばならず、その上で推進する人間よりも高い次元から批判しなければならない。間違った批判はむしろ逆効果である。

また、3のシェディング現象があるからレプリコンワクチンは特に危険だという主張も少し問題がある。大前提として、「核酸ワクチン」の危険度が何よりも他のワクチンモダリティと一線を画しているのであり、レプリコンワクチンが危険な最大の理由は今までのRNAワクチンと同じく「核酸ワクチン」だからなのだ。この点を誤解し、RNAワクチンは大丈夫だがレプリコンワクチンは危険というミスリードに乗ってしまうのは大きな問題である。もしかすると、多くの人は既にRNAワクチンを打っているために、自身の判断や健康を信じたいがために自己を正当化できる間違った結論に身をゆだねたがるのかもしれないが、そうではなく、自身の愚かさと間違いを自覚し、どの段階に於いても先を見据えて正しい判断と理解を積み重ねることこそが科学的に正しい姿勢であると言えるだろう。シェディングなどという現時点で突飛な理論に関係無く、核酸ワクチンは危険だし、レプリコンワクチンは更に危険なのだ。

(補足)


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