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記事紹介:立ち上がるとめまいや疲労感、コロナ後に増えた病POTSの「誤解」、運動で悪化する例が続出

今日は下記の記事を見掛けたので紹介しておこう。具体的なコロナ後遺症の状況を詳細に記していると同時に、関連する生理学的な事象を学べる。

記事の冒頭では体位性頻脈症候群(POTS)という自律神経障害が新型コロナウイルス感染後の後遺症として紹介されている。誤解の無いように最初に言っておくと、POTSというのはあくまでそう呼ばれている症候群であるため、厳密な機序や原因が断定されているものでもなく、一つの疾患として括れるものでもない。いわゆる「病気」として扱うのが適切かどうかは要議論である。記事でも、関連する症状としてめまい、疲労感、ブレインフォグ、胃腸障害も挙げられているが、何を以てPOTSとするのか、どういう扱いなのか、などは課題である。他方で、新型コロナウイルス後遺症についても厳密な定義はなく、多岐にわたる症状や機序を持つため、いわゆるPOTSと称される症候群とのオーバーラップがあるのだろう。

以前からこのブログでも紹介している通り、新型コロナウイルス感染の最大の問題点は神経障害である。自律神経との関連も紹介してきたし、腸管組織や神経組織へのウイルス残留、長期的潜伏の問題点も教示してきた。

(参考)

記事ではPOTSの患者数は、新型コロナの流行が始まって以来、倍増したと推測されている。また、米疾病対策センター(CDC)の最近の推計によると、現在、米国の成人の6%が新型コロナ後遺症の症状を抱えているとされている。同時に、新型コロナ後遺症患者の79%がPOTSの基準を満たしていたという研究もあるそうだ。新型コロナウイルス後遺症や長期的な悪影響について、自律神経や周辺の生理機能を中心に、深く考えていく事の重要性を再確認させられる。また、上記の統計からは新型コロナウイルスに感染すると数%の割合では長期的に神経系関連の後遺症が顕れる事も分かる。新型コロナウイルスがただの風邪などでは決してなく、また、これらの神経系症状はワクチンでも防げるものではなく、完璧な感染対策がいかに重要かという事を改めて認識する必要がある。

記事の後半ではPOTSの運動療法について述べられている。上記の通り、POTSは機序の解明や分類が完全ではない症候群であり、いくつかの原因については運動療法が効果的とされている。一方で、運動療法が悪化に繋がる場合も少なくない。新型コロナウイルス後遺症としてのPOTSに対してどの様な治療法が有効なのかという点についてもいまだに手探りな部分が多いだろう。一般的な事を言えば、ウイルス感染に伴うPOTSについては自己免疫反応を原因とするものも多いと予想されるし、明らかに自律神経の異常に起因するのであれば薬物による治療が有効な事もあるだろう。POTSにしろ、新型コロナウイルス後遺症にしろ、機序や障害を受けた組織に応じて細分化し、それに合わせた治療法の策定が急務であろう。

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