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記事紹介:「がん超過死亡率は上昇している」京大名誉教授らが論文発表

今日は下記の様な記事を見掛けたので考察しておこう。

全世界から注目を集めているかどうかは知らないが、記事で言及されている論文はおそらく以下のものである。

「Increased Age-Adjusted Cancer Mortality After the Third mRNA-Lipid Nanoparticle Vaccine Dose During the COVID-19 Pandemic in Japan」
(Cureus. 2024 Apr 8;16(4):e57860.)

記事でもある通り、この論文では新型コロナウイルスパンデミック(2020-2022年)期間中に、日本におけるさまざまな種類のがんの年齢調整死亡率(AMR)がどのように変化したかを評価している。結果として、パンデミックの最初の年(2020年)には、有意な過剰死亡は観察されなかった。しかし、1回目と2回目のワクチン集団接種後の2021年には、いくつかのがんによる過剰死亡が観察され、2022年の3回目のワクチン集団接種後には、すべてのがんといくつかの特定のがん種(卵巣がん、白血病、前立腺がん、口唇・口腔・咽頭がん、膵臓がん、乳がんを含む)で有意な過剰死亡が観察されたとのことだ。

この研究は世間一般で噂されるワクチンによるターボ癌の可能性を想起させるものだろう。私個人としては核酸ワクチンが癌を促進する機序はあまり想定できないので、その様な可能性は低いと考えているし、今回の超過死亡についても受診控えや生活習慣の変化など他の要因は大いに考えられると思う。

ところで、記事で著者の教授はこうコメントしている
〈このすべての原因がワクチンにあると言うつもりは毛頭ありません。ただ、集団接種のタイミングと特定のがんの死亡率上昇が一致するという現象が、我々の解析の結果、明らかになった。その事実を看過せず、検証すべきことは検証しましょうと提言したいと思います〉

この教授は核酸ワクチンががんの促進を促していると考えているので、実際に論文中でも多様な機序の考察を行っている。Discussionを読んでみると、確かにいくつかは可能性のある考察もあるので、核酸ワクチン独自のシグナル活性化や細胞への影響はまだまだ研究が必要だろう。特に白血病が増加しているというのは、免疫細胞における過剰な活性化や増殖促進、活性化による細胞死の増加など関連しうる要素もあるのでより深い検証は必要かと思う。また、白血病は水面下で進むという性質のものではなく自覚症状は出やすいため、受診控えや検診控えによって発見が遅れるというのは原因として考えにくい。想定される機序についての根拠は薄いため、まだ重要なリスクと捉えるには早いが、これを機会に知識として周辺の科学的知見を調べてもいいだろう。上記の論文は無料で読めるので興味があれば参照してみるとよい。

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