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論文紹介:ワクチン関連肝自己免疫疾患とその関連ワクチンの世界推定値
今日は下記の論文を見掛けたので紹介しておこう。
「Global estimates of vaccine-associated hepatic autoimmune disorders and their related vaccines, 1968-2024: An international analysis of the WHO pharmacovigilance database」
(Int Arch Allergy Immunol.2024 Dec 2:1-15.)
論文としてはよくあるメタ解析で、自己免疫性肝疾患に対する各種ワクチンの影響を調査している。これまでの研究では、ワクチンと自己免疫疾患との関連が示唆されているが、焦点と期間が狭いため限界があったが、本研究ではその点について、初の大規模な国際的解析を行っている。1968年から2024年までのWHOのVigiBaseデータを利用し、8,562,584件の報告されたワクチン有害事象のうち、1,083件(0.012%)のワクチン関連肝自己免疫疾患症例を同定しており、大前提として注目すべきはワクチン関連自己免疫性肝疾患の報告数が2019年以前と比較して2020年以降に爆発的増加を示している点だろう。これは(直接の因果関係はさて置き、現象として)新型コロナウイルスに対するワクチンの大規模利用が原因である事は間違いない。肝性自己免疫障害のリスクが最も高かったワクチンは、B型肝炎ワクチン(報告オッズ比[ROR]、3.52;95%CI、2.50-4.95)、COVID-19 mRNAワクチン(ROR、2.95;95%CI、2.73-3.18)、パピローマウイルスワクチン(ROR、2.13;95%CI、1.45-3.13)であり、核酸ワクチンによる有意なリスクが示されている。更に、ワクチンに関連した肝自己免疫障害が発生した場合、肝胆道系の有害事象が同時に発生することが多く観察された。
私がいつも述べている事だが、本論文でも考察に於いてワクチンが、分子模倣、副次的な免疫活性化、アジュバントの影響など様々な機序により、自己免疫現象を誘発する可能性があると言及している。本研究は、ワクチンが肝自己免疫障害を誘発する可能性を示唆し、ワクチン接種前後のモニタリング強化の必要性を強調している。更に著者らは、この懸念に対処するために、ワクチン接種前のスクリーニングプロトコールとワクチン接種後のモニタリングの実施を提案している。以前の記事でも書いた事だが、少なくとも臨床に於いてはこの様な「考えられるワクチン後遺症」について因果関係を勝手に判断するのではなく、正しく報告する事が第一に重要であろう。