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論文紹介:ワクチン誘導性リウマチ性疾患の網羅的な解析

今日は下記の論文を紹介したい。

「Global burden of vaccine-associated rheumatic diseases and their related vaccines, 1967-2023: A comprehensive analysis of the international pharmacovigilance database」
(Int J Rheum Dis . 2024 Aug;27(8):e15294. )

ワクチン関連リウマチ性疾患はまれではあるが、最も恐れられている副作用のひとつである。しかし、このトピックについては、文献に大規模なデータがあるのみで、あまり調査されていない。また、今回のパンデミックについてはワクチンの開発と承認が急速に進んだため、その安全性に関する社会的懸念が高まっている。

この論文ではワクチンに関連する6種類のリウマチ性疾患(強直性脊椎炎[AS]、リウマチ性多発筋痛症[PMR]、関節リウマチ[RA]、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス[SLE]、全身性強皮症)の世界的および地域的な疾病負荷、長期的な傾向、潜在的な危険因子を包括的に評価している。

結果として、まず全原因リウマチ性疾患の報告198,046件のうち、ワクチン関連リウマチ性疾患の報告14,703件が同定された。第一に重要な点として、報告数は世界的に時間の経過とともに徐々に増加しているが、2020年以降に報告数が劇的に増加することが観察され、これはCOVID-19 mRNAワクチンに関連したリウマチ性疾患の報告の大部分に起因している可能性があるという事が挙げられた。

また、不均衡性シグナルを決定するために、不均衡分析を実施して報告オッズ比(ROR)と情報成分(IC)を推定している。リウマチ性疾患の不均衡性シグナルは、HBVワクチン(ROR、4.11;IC025、1.90)で最も顕著であり、COVID-19 mRNA(ROR、2.79;IC025、1.25)、炭疽(ROR、2.52;IC025、0. 76)、パピローマウイルス(ROR、2.16;IC025、0.95)、脳炎(ROR、2.01;IC025、0.58)、腸チフス(ROR、1.91;IC025、0.44)、インフルエンザ(ROR、1.49;IC025、0.46)、HAVワクチン(ROR、1.41;IC025、0.20)と続いた。報告症例数を踏まえると、RNAワクチンにおける自己免疫疾患のリスクが明確になっていると言えるだろう。よく他のワクチンでもリスクは同じだというバカげた意見を目にするが、大間違いである。RNAワクチンはそれ特有の機序と分子生物学的性質を有しており、明らかに自己免疫疾患のリスクが高いのだ。

年齢・性別でみると、若い女性と高齢の男性にワクチン関連リウマチ性疾患の報告が多い。さらに、ワクチン全体では、PMR(IC025, 3.13)、シェーグレン症候群(IC025, 0.70)、全身性強皮症(IC025, 0.64)に対するリスクが見られたのに対し、RNAワクチンでは、6種類すべての疾患と関連していた。

これらの結果は、RNAワクチンによる自己免疫疾患のリスクが他のワクチンモダリティと比較しても高いものであり、常にその危険性を考慮しながら長期的なリスクを把握する必要性について強く示唆している。私は予てから核酸ワクチンの大規模な利用は数年単位での自己免疫疾患患者増加を引き起こすと訴えてきたが、今回の研究はその可能性を強く示したと言えるだろう。科学とは既にあるデータから物事を考えるものだと勘違いしている蒙昧は多いが、何より重要な事は理論から真実を推察し、未来を高い精度で予測する事である。その能力こそが真に優れた科学者に必要なものなのだ。

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