論文紹介:RNAワクチン接種後のSLEフレアの割合
今回は以前の記事から引き続きの話題として、核酸ワクチン接種とSLEの関連について調査した論文を紹介しておこう。論文は以下のものだ。
「A 12-month follow-up study of patients with systemic lupus erythematosus after immunization against SARS-CoV-2」
(Lupus . 2024 Jan 18:9612033241227811. )
この論文でも症例報告とは異なり、100例のSLE患者についてファイザー製RNAワクチン接種後1年間のフォローアップ研究が実施されている。初回接種を受けた100人を対象とし、(100人が1回目、90人が2回目、85人が3回目の接種を受けた)1年間の間の症状の変化を研究したものだ。結果として、100人の内、33人がSLEの再燃(フレア)を示し、1回目接種後9%(9/100人)、2回目接種後26.6%(24/90人)、3回目接種後16.4%(14/85人)であった。最も多かったフレアのタイプは関節性(26例)と腎性(14例)で、フレア対処のために入院を必要としたのは5/33例(15.1%)であった。
今回の研究は以前の記事で紹介したものとは異なり、未接種との比較ではないので絶対的なリスクについて考察するのは難しいのだが、1年間の間のフレア発生が33%というのは一般的なSLEの再燃率と比較して多い印象を受ける。これは同条件で比較した1年間のデータなどを見付けるのも困難なのではっきりとした事は言えないのだが、前回紹介した論文も踏まえて考えると一定の悪化リスクがあると考えるべきであろう。また、1回目接種に比べて2回目接種以降で再燃率が跳ね上がっている点も重要である。過去に紹介した様々な自己免疫疾患症例の再燃についての症例報告では、その多くが2回目以降の接種でより悪化したという報告をしている。この点も核酸ワクチンの繰り返し投与による強過ぎる免疫反応が悪化に関わっていることを強く示唆するものであり、この報告で見られた現象とも矛盾しない。
(ただ、今回の報告は多くが2回接種以上を受けた患者のため、単に観察期間と再発タイミングの問題もある)
核酸ワクチンによる自己免疫疾患リスクの増大は、その免疫学的特徴を考えれば当然想定されるリスクであるにも関わらず、ここに至るまで殆どの人間が無視し続けている。一部の心ある免疫学者だけが警鐘を鳴らしている状態だ。そして、確実にそれを示す科学的証拠が蓄積されてきている。核酸ワクチンの投与は理論的に間違いなく大きな免疫学的リスクなのだ。そして臨床的にもそれを示す知見が報告されてきている。全ての核酸ワクチン推進派はその事実を正しく認識し、推進時には併せてリスクを明確に説明しなければならない。
(参考)