巡礼33日目 to フィニステーラ(16.1km)ビーチ、裸足、ギター?=天国
👣cee - corcubión - a amarela - playa de estprde - sardiñeiro de abaixo - fisterra - cabo fisterra
what a wonderful world な日
目が覚めると、ダニエルが出発するところで、その前に挨拶に来てくれた。「よい旅を!」と、あさから全力のハグに笑う。日本人は間違いなく躊躇すると思うレベル。ダニエルは表情もムードも自然であかるくて、なんだかこっちまで元気になる感じ、素直にいいな!と思う。
この日はいよいよスペイン最西端、フィニステーレまで。フランスからピレネーを越えて、とうとうここまで来たんだな・・・感慨深い気持ちと一緒に、おとといからのモヤモヤをしつこく引きずりながら、黙々とセーの街を抜ける。
おとなり、コルクビョンはほとんどセーとつながっている感じ?のところに位置していて、眼下に海のひろがる眺めのよいきれいな街。私は遠巻きに船の浮かぶ海を見ながら、胸の中はモヤモヤくすぶったまま、からだは心地よい空気を感じていた。ふと、「ここに住んだらどんな感じなのかなあ?」と、想像する。
教会のドアが開いていたので入ってみた。あいかわらず誰もいない。教会(神社やお寺も)のこの静けさが好きなんだよな・・・ベンチに座って、ここ数日のモヤモヤについて振り返る。かといって、ちっとも整理はできないまま、なんだか泣けてきた。
ズビー、ズビー、ズ!ズズ・・・あいかわらずスッキリとは整理できなかったけど、それでも涙ぶん少し軽くなった気がする。何にともなく感謝の気持ち。私には、こういうひとり静かな時間がだいぶ(たくさん)必要みたい。
そのあとは休憩もとらず一心不乱にスピードを上げて歩いた。前日と同じで道中のことはほとんど憶えていないけど、フィニステーレ直前あたりの高台で、眼下正面にばーっと海がひろがっているのを見て、天国みたいだ!と思う。照りつける太陽とその反射、光の強さにファーっと飛んでいきそうな感じがした。
最後に急な坂道をくだり切ると、大きく海が開けた。全面のブルーに、どんよりしていた気持ちも洗い流される感じ・・・というか、かっさらわれる感じ、圧倒される。やっぱ海ってすごいわ!
私は吸い寄せられるみたいにビーチにおりた。「ここは巡礼路からそれてる、でもここを歩きたい!・・・神様も怒らないでしょう?」トレッキングシューズと靴下を脱いで裸足になる。白い砂のきれいな長いビーチに、胸いっぱい息を吸って、ふたたび「天国だ・・・!」と思う。
端から端まで、ゆっくりと波打ち際を歩く。「大西洋に足を浸してやれ!」と言っていたスチュアート(※巡礼14日目参照)に、「フィニステーレで海を歩いているよ!」と伝えたい気持ち。泣けた。そのまましばらくの間、海に浮かぶ船を眺める。深呼吸してみる。ただ海と私だけを感じて味わった。
「ずっとここにいたいなあ・・・でもフィニステーレ岬までまだあるし、そろそろこの場を離れなきゃ。」
巡礼路に戻って靴を履いていると、自転車に乗った巡礼者の男の子がみえた。背中のギターに、あ、と思う。笑顔でこちらへやってきたので、なんとなくお互い「やあ。」とあいさつ。
「ギター持って巡礼してるの?」ときいてみると、「これはマンドリンだよ、一人だし、暇なときに弾いているんだよ。」とのこと。「よかったら海で一緒にひとやすみしない?」とのお誘いに、「いま海にいたんだけど・・・まあいいか!」靴を履いたまま海に引き返した。
男の子は、「ね、ピクニックみたいじゃない?」笑いながら、手持ちの布をひろげている。「あはは、そうだね。」愛嬌のある柔らかい感じの好青年だな!シックな色のタイダイTシャツの、襟ぐりに開いた小さな穴?裂け目?を見つけて、なんだか親近感。
私が「巡礼は私にとってセラピーみたいな感じだったよ。」と話すと、マンドリンを弾きながら「これはセラピーみたいな曲だよ。」と、誰の曲かわからないけど、海とか空とか風とかの歌を歌ってくれた。
・・・え?・・・なにこれ?ロマンチックなんですけど!・・・映画?映画ですか?・・・ええ?えええ〜?
一人になりたくてやってきたカミーノ、終始ノーガードでボーっとしていたから、思いがけないやり取りに面食らってうろたえる。・・・だけど、その人懐こい表情から、彼にとってはキザでもなんでもなく、ごく自然な表現なんだとわかってナゾにホッとした。いやあ、意識しすぎな!
話しているあいだじゅう、ルカは終始マンドリンを弾いていた。私の好きなコード進行に気分よくなってフンフン歌ってみたら、「ヘイ!しってるの?この曲?」驚いた顔をしている。「知らないよ、この音好きなんだよ。」とこたえると、目を見開いて楽しそうに笑った。「へへへ!」私も楽しくなって、一緒に笑った。
たったいま会ったばかり、ほんの短い時間にこういうコミュニケーションができることがうれしかったな。なんだか知ってるこの感じ・・・すぐ友達になれそうな、心地よい波長に浸る。おだやか〜な空気、ノーストレス!
名残惜しいけど、「まだフィニステーレ岬まであるし、そろそろ行くね。」とお別れ。「もしランチかなにかするなら、」とおすすめのお店を教えてもらって、後ろ髪をひかれつつ「エイヤ!」と歩き出した。
フィニステーレ岬では、大西洋に突き出して立つ灯台の白が、青い空と海に映えていた。やっぱり外海だからかな?波が強いなあ、と思いながらストーンを取り出す。
巡礼初日からずっと一緒のストーン、愛着がわいてしまっていたけれど、ここ(フィニステーレの海)で投げる!と決めていたし、覚悟を決めて全力投球・・・リキみすぎて海まで届かなくて、ひとり苦笑い。私にはまだ課題が残っているみたい。
岬の突先に、ウクレレでwhat a wonderful world(サッチモの ※末尾動画リンク有)を弾き語りしてる人がいた。渇いたボーカルの、ズルズルっとしたムードがなんだかとても良くて、わずかばかり投げ銭する。そのときの「oh サンキュー・・・」の声も、ヒュウっと引っ張られたような、捩れたような、なんか不思議な響きがあって、よかった。
what a wonderful worldは、私にとって思い出の?思い入れのある?曲。いろいろとツラくなっちゃって逃避の小旅行をした時、入ったお店でフイにラジオから流れてきて。その美しさに涙があふれて、自分でビックリしてしまったんだった。有名な曲だし、それまでも何度も聴いたことあったのに・・・だけど、それもいまはよい思い出。時間はやさしくもあるな、って話。
よる、ルカに教えてもらったレストランでごはんを食べる。ケイシーおすすめのシシトウ料理、pimentoなんだっけ?これかな?と、それっぽいのをたのんでみたら、全然違うのがきた。やっぱり食べ物関係だけでもスペイン語勉強しておけばよかったなあ。次スペインに来るときには必ずや勉強してこよう、そしたらスーパーももっと楽しめるはず!
※what a wonderful world の動画はこれ ↓
何度聴いてもいい曲なので念のため!のリンク。
心がクサクサしてるときとか、カラカラのとき、疲れMAXの時とかきくと、染み込む・・・ヒーリング効果有、だと思う。