巡礼20日目 to ベガデヴァルカース(25.1km)この先どうする?
👣cacabelos - pieros - valtuille de arriba - villafranca del bierzo - pereje - trabadelo - la portela de valcarce - ambasmestas - vega de valcarce
ストーンのゆくえ
ここからは最後の山越え。オセブレイロからは急な下りが続くので、かなり時間が必要になるだろうなあ・・・カミーノもいよいよ終盤というこのタイミングで、「サリアまで、どうしよう?」というのが悩みどころだった。
登り下り各1.5日かけて計3日歩いて、サリアで休憩を挟まずにサンチャゴに向けて出発するか?それともオセブレイロからはバスに乗って、サリアまでズドンして1日休憩をはさむか?うーん、うーん・・・うーん?
徒歩での巡礼者はサンチャゴデコンポステラの直前100km以上を歩いている必要があるらしくて、「その条件にハマる最後の出発地がサリアなんだよ。」と、色んな人に教えてもらっていた。で、サリアからはバス利用が出来ない?らしい。だから、その前にやすんでおきたいというのが正直な気持ちだった。
・・・のだけど。
ムリはしないと決めていたけど、ほかの巡礼者の人たちの「やれるよ!」の言葉に、「頑張ったほうがいいんじゃないか?いや、でも・・・」と決めかねてしまって。結局、この日出発の時点では心が決まらず、きょう一日歩いてみて決めよう、と思う。
ここまでの経験から感じていたのは、たぶん一日MAX20kmが自分のペースということ。それを超えると途端にスピードが落ちるし、翌日にも響くから、本当は毎日20km以内におさめたい!だけど、宿の有無とか旅程との兼ね合いとかで、そうもいかない場合もあるんだよな・・・この日はベガデバルカースまで頑張る必要があると(25km)判断、到着が遅くなることを想定して宿を予約する。
苗木の並ぶブドウ畑を通り過ぎて、ビジャフランカデビエルゾに到着。トイレ休憩ついでに、朝昼兼用のごはんにサンドイッチとカフェコンレチェを注文した。スペインのサンドイッチは基本的に超大きくていっぺんに食べきれないので、残った半分はジップロックへ。
「ボカディージョ?がサンドイッチのことだなんて、全然結びつかなかったわ、響き的に。」とか、どうでもいいことを考えながらもぐもぐしているところに、「ここ座っていい?」と、隣に女性がやってきた。「Sure !」そのまましばらくおしゃべりする。
フランス人のソフィーは、自分の世界のある人という感じで独特のムードを漂わせていた。低い声でゆっくり話しながら、時折、すこし片目をつぶるようなしぐさをした。なんだろう、この感じ。なにかの質感を感じるんだよな・・・何だっけな?
ストーンの話になったので、「私は十字架のところに置かなかったよ、たぶんこのまま最後まで持って歩いてフィニステーレの海に投げると思う。」と言うと、彼女は目をまるくして、「私もそうするつもり!」。続けて「パリに来ることはある?来るときは電話して!」と、唐突に携帯電話の番号を教えてくれた。
じゅうぶんに時間をとって脚をやすめてから、ふたりで一緒にカフェを出発する。街の出口付近?で、ふたつの矢印に迷ってウロウロしていると、地元の人が「ハードとイージー、二通りの道があるよ。」と声をかけてくれる。
お互いに顔を見合わせて、無言のまま、「どうする?」
私が(ハードは絶対イヤ!)とヒイているのを知ってか知らずか、ソフィーは「私はハードを行きたいからそうするけど、あなたはイージーのほうがいいと思うよ。」と笑っている。私は心の底からホッとして、「うん、私もそう思う。」と笑い返す。なんだか可笑しくなって、ふたりで「フフ・・・!」と、笑ってバイバイする。
途中、ベンチで休憩中のアンジェラに遭遇した。ハードルートを歩いている弟さんと待ち合わせしているそう。みんなこうやってどちらかを選んでいるんだなあ。きのうの慌ただしい挨拶が気にかかっていた私は、「イージーを選んで、ここでアンジェラと会えてよかった!」と思う。(※巡礼19日目参照)
(想定通り)後半すっかり牛の歩みになりつつ到着したベガデバルカースは、道なりにひろがる感じの細長い街。「まだか?まだなのか?」と、随分奥のほうまで歩いて、ようやくアルベルゲにチェックイン。庭やテラスが広々としたきれいな宿で、面倒見のいい姉弟のオスピタレイロがいた。とくに姉のマリアは気風のいいオカンみたいな感じで、いつも楽しそうに笑っていた。
小雨が降り出して、「洗濯物干せないなあ。しょうがない、洗濯&乾燥機つかうか・・・」と庭に出た時も、マリアの仕切りで同室の女性といっしょに洗濯機を使わせてもらうことに。迷う余地なし、ほんとうにあれよあれよと言う間に!そのあまりの勢いにすでに笑けてきていた私と、アリソン(同室の女性、アメリカ人)とマリア、3人で「パーフェクトだね!」と笑いあった。
夕方、キッチンに行くと、同室の韓国人の女の子がなにか麺を茹でていたので、「なに作ってるの?」と訊いてみる。「チャパグリだよ、知ってる?パラサイト(映画)に出てくるよ。」と教えてくれた。「本当は牛肉を上にのせるんだけど、巡礼中は買えないし、肉抜き100%麺ね!」とのこと。スパイシーないい匂い。
出来上がり、お互いにひと口交換して食べた(私はいつものパスタ&トマト)。チャパグリはモチモチ・スパイシーで、濃いめの味が疲れた身体に沁みわたる感じ・・・この味、日本人は大抵好きなんじゃないかな?と思う。「うーん、美味しい!」フンフンいって味わう私に、「この先(道中に)チャパグリの麺を買えるところがあるよ。」と教えてくれた。へえ、買ってみようかな?でも持って歩くには重いかな?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?