巡礼18日目 to モリナセカ(24.7km)信仰について考える
👣rabanal del camino - foncebadon - manjarín - el acebo de san miguel - riego de ambros - molinaseca
信じるということ
この日は、「(苦手な)山の下りが続くからゆっくり歩こう。」と、いつもより早くに出発。フォンセバドンまであと少しというところで、ポツポツときた。あ、これは・・・と草むらにバックパックをおろしてポンチョを取り出して羽織ると、ほどなくして急に土砂降り。風もビュービュー横殴ってるし、急になんだこれ、キツイな!
バックパックの中、衣類やインナーシーツなどの一式を入れていた防水バッグを、軽量化のためにサンチャゴ宛に送ってしまったことを(※巡礼6日目参照)かるく後悔。荷物が濡れていないように祈りつつ、前方不覚のまま速足で歩く。一瞬「このまま土砂降るようならフォンセバドンで宿泊か?」とよぎったけれど、雨は徐々に弱まって15分ほどでやんだので、そのまま歩き続けることにする。
途中、カミーノの聖地(?)鉄の十字架cruz de ferroで、巡礼者の人達が持参したストーンを置いて写真を撮っていた。「巡礼初日にオスピタレイロが教えてくれたのはこれかあ、もう3週間近く歩いているんだな・・・」感慨深く眺めながら、私が石を置くのはここではない気がしてそのまま通り過ぎた。
登りはキツくても見晴らしいいし、そこまで苦ではないのだけど、苦手な下りは気が重いんだよなあ。足場を確認しながら、ストックでバランスをとってそろそろ歩いていると、遠足らしい中学生(もしかすると小学生?)の団体が「buen camino! 」と言って軽々と私を追い抜いていく。みんな普通のスニーカーなのにすごいよ・・・子供のうちからこういうのに慣れているからザクザク歩けるのかも?と感心する。
山越え&25km近く歩いたからか、かなりぐったり、後半だいぶノロノロ歩きになった。「ヤバいな~宿あるかな?」予約したいけど、山ではwifiが激弱(またはゼロ)で接続が難しくてちょっと焦る。ようやくモリナセカについて街を歩いても、宿らしいものが見当たらず、パンプローナ宿無しの記憶(※巡礼3日目参照)が脳裏にチラリ・・・クタクタで入り組んだ街中を歩きまわる気になれなかったので、『この先アルベルゲ』の看板を頼りに、そのまま街を出て車道沿いを10分ほど歩いた。
やっとの思いでチェックインしたアルベルゲは落ち着いた雰囲気で、ドライフラワーが飾ってあったり、オスピタレイロの心遣いが感じられて居心地がよかった。熊野古道を歩いた証明書が額に入れて飾られてあるのを眺めながら、「疲れちゃって到底よるご飯のために街に引き返す気にはなれないな・・・」と思っていたら、壁に『ペレグリーノメヌー、スープ、サラダ、パスタボロネーゼ、デザート、パン、ワイン、10€』とあるのを発見、夜ご飯はここで食べようと即決する。
ディナータイム、同席したアンジェラ(イギリス)がとてもゆったりとした感じの人で、落ち着いていろんなおしゃべりをした。敬虔なカソリック教徒の彼女とは、主に宗教や信仰について話したのだけど、とてもいい時間だったな。
私は、終始穏やかなアンジェラの優しさに安心していた。だから、「違う宗教どうし仲良くできればいいな。」と話す彼女に、フイに「いろんな宗教の人がお互いにそれぞれの巡礼路を歩いたら、応援してくれて、助けてくれて、きっとみんな仲良くなれるんじゃないかな・・・そしたら素敵だね!」って、思ったまま言ってみた。
実際にカミーノを体験して(歩いて)終始愛と温かさを感じていた私は、本気で「ここには平和しかないな(感動)、これを体験したら争いようがないな。」って思ってたから。
歴史とか、私のわからない、「そんな簡単な話じゃない。」ってことたくさんあるのかもしれないけど。でも、「難しくても、どっちのがいいか?って話、どうしたいか?どうするのか?って話だよな。」って。私自身、日々の些細なことでさえ拘っちゃって苦しいこと、「どっちのがいいか?」ってわかっててもできないこといっぱいあるから、我が身を振り返りつつ。「言うは易し、でも、じゃあ、どうするの、私?」
話の続きに、私は「何かを信じる、って大事に思うってことだと思う。それが何であっても、大事に思う気持ちはみんな一緒だと思うし・・・」「同意じゃなくても、理解(しようとしてくれているの)を示してもらえたらうれしいな。それを信じてる(ということを含めて)私を大事にしてくれてるんだな、って感じるから。」って付け加えた。アンジェラは目を丸くしたあと、「まあ!あなた、平和大使になれるわよ。」って言って、にっこり笑ってくれた。
うれしかったな。特定の何かを信仰してるわけではない私の、ただ感じたままの一意見を「あなたにはわからない。」って否定せずに、理解しようとしてくれたのが。ここにも愛と温かさを発見した気分。
それと、もうひとつ。ディナーのサラダにオリーブオイルとかビネガーとかかけてた時、フランス人のおじさんに、「ちがう、ちがう、タップリのオリーブオイルにビネガーすこし、が旨いんだぞ!」って教えてもらった。日本だと酸っぱいほうが美味しいなと思ってたけど、たしかにオリーブオイルタップリが美味しく感じて。多湿の日本と、乾燥のスペインの違いかなあ?って思ったりした。オリーブオイルの香りで食べる感じ。教えてくれなくたっていい話、敢えて話してくれたことで知ることの出来た味に、「うーん、これも愛か?」「・・・うん、愛だな!」
よる、なんだか満ち足りた気持ちでベッドに入る。アンジェラとの会話をぼんやり反芻しながら、「こんな話をするなんて、ちょっと英語が上達したんだろうか?」と、自分に感心して眠った。もちろん、アンジェラの聴こうという姿勢に助けられている部分がおおきいのだけど!
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