巡礼11日目 toオルニージョスデルカミーノ(20.5km)祈りとメダイ
👣burgos - tardajos - rabé de las calzadas - hornillos del camino
蜃気楼を歩く
大きな街を抜けるのは時間がかかる。巡礼路を見つけるのに苦戦してうろうろしたり、人に尋ねたり。時にはそれに気づいた人が声をかけて教えてくれたりする。緑道を抜けてブルゴスを出ると、メセタ(超乾燥地帯?ここまでも十分乾燥していたと思うけど)の始まりらしい。
メセタに踏み込む前に、緑道のベンチに座って足のマッサージ。靴下を脱ぐと、おとといマメを潰してキズパワーパッドを貼ったところがブクブクと白く浮腫んでいた。
と、隣りに座っていたおじさんが「マメか?」ときいてきた。「そう、風を通しているところだよ。」と答えると、白く膨れた小指を見て「オイ!バンドエイドないのか?」と驚いている。「これがバンドエイドだよ。」と言うと、「No、No、そうじゃなくて、キズ用のテープだよ!」。あいかわらずキズパワーパッドの説明がうまく出来なくて(※巡礼4日目参照)「ふふ、へへ・・・」と笑ってお茶を濁したら、(おお、可哀想に・・・という風な様子で)「まあ、マメで死んだやつはいないからな、オマエは大丈夫だ!」と励ましてくれた。
そして、メセタに突入。予想はしていたけど、本当に暑くて。「カレンが天気予報で40度超えると言っていたのはいつだったっけ?」と思いながら、次の街まで10㎞以上の距離をヒーヒー歩く。こういう街と街(村?)の間がはなれているときは休憩をとるタイミングが難しくなるのだけど、あまり日陰のない乾燥地帯となると、いつにも増してハードだった。歩きながら、昨日のうちにカットしておいたリンゴ(ふじリンゴがあった)で水分補給。ほとんど誰ともすれ違わずに、地平線の蜃気楼をみつめて黙々と歩く。
次の街だったか、その次か、巡礼路のサイン(黄色い矢印)がわかりにくかったのかな?進行方向が分からなくなって迷っていたら、おじいさんがスペイン語で話しかけてきた。少し先を歩いてはこちらを振り返るので、「ついてこいと言っている・・・?」と思ってあとに続くと、街のはずれまで案内してくれた。暑さでカラカラの身、このやさしさが沁みる(ここでわずかでも道を間違うと堪えるし)。じーん・・・お礼を言って、握手した。
その後、道中に小さな教会をみつける。入っていいのかなと迷っていたら、おばあさんが入口に立ってこちらを見ていた。なんとなく、どうぞ、と言っているように思って入ってみると、中にはもう一人おばあさんがいて、聖母マリアの小さなメダイに糸を通してペンダントを作っている。何か言いながら(スペイン語)それを私の首にかけて、お祈りをしてくれた。シンプルに道行く人の安全を祈ってくれた感じがして、感動する。さっきのおじいさん(道を教えてくれた)のときもそうだけど、こういうとき、「グラシアス」以外に言えることがなくて歯がゆい。スペイン語がわかればいいのに!
教会を出て少し行くと、ずっと先のほう、羊が巡礼路を横断しているのが見えた。牧草地や山だけじゃなくて、こういうところも散歩(?)するんだー、と不思議なような、感心したような気持ちになって、歩くのをやめて通り過ぎるまでじっと眺める。羊のつけた鈴が、あたり一帯に乾いた音を響かせていて、メセタの一部になっている感じがした。
ずっとカラカラだったのに、オルニージョスデルカミーノの手前でポツポツとわずかに雨の気配。時折遠くに稲妻が見えてビビる。「目的地目前でポンチョ出したりするのめんどくさい!」頑張って急ぎ足で歩いて街の入口付近にあるアルベルゲにチェックイン、あまり濡れずに済んだ。私のベッドはまた上段だったのだけど、「あれ?見たことある人、誰だっけ?」と思ったら、きのうブルゴスの宿で私の下の段だったアメリカ人の女性だった。昨日とまったく同じだねと笑って少し話す。
この日、唯一あった商店で買ったのはトマトとヨーグルト1個だけ。アルベルゲはキッチンが使えなかったので、「夜ごはんどうしようかな?」と迷っているうち、数少ないバルやレストランもラストオーダーを過ぎてしまって食いっぱぐれてしまった。「あしたどこかでしっかりあさごはん食べよう。」とあきらめて、手持ちのパン(保存のきくサンドイッチ用のやつ)とビール(アルベルゲの自販機で購入)だけの夜ごはんに。
一日の終わりにゆっくりガッツリ食べられる「夜の」ごはんを毎日の楽しみにしていたから、だいぶガックリきたな。しょわ~って感じ(しぼむみたいな)の気持ちになって、自分でもカラ元気だと知りつつ「まあ、こんな日もあるさ。」と言い聞かせてみる。で、お腹がすくからすぐに寝た。
※巡礼4日目