オーストラリア日本語教師奮戦記127日本にも広めてください!
イマニュエルカレッジ日本語教師2年目。Year 8 日本語クラス。Year 8はイマニュエル小学校で、簡単な補助教材を使ってひらがなやカタカナの練習をしたり、簡単な日本語の表現を覚えたり、日本語への興味を引き出すためのレッスンを受けてきた生徒たちだ。
新年度から読む、書く、聞く、話すの総合的な勉強が始まる。Year 8は3クラス、各クラス18人ずつ合計生徒数54人。まず最初に私と生徒たちとの一つのことを話題にしたQ&Aの時間を設けた。まだ質疑応答をするには単語力も文章力も十分ではないが、単語だけでも、英語混じりでも、間違っていても気にしないでいいと前もって伝えておいた。日本語での質疑応答とはいえ、英語での応答や質問が当然多くなった。私からの質問や応答は必ず英語で言い換えるようにした。生徒たちの積極的な姿勢がこれからの日本語の学習に繋がることを期待していた。
今日はクラス1、クラス2に続き、クラス3の授業の日。話題を決めて質疑応答をしながら、今覚えている単語や文章を使って答える練習をすることにしている。目の色のブルーの子、グリーンの子、ブラウンの子、髪は金髪の子、ブラウンの子、黒の子とさながら人種の博物館のようだ。ほとんどの子は小さい体、キラキラの目で、私との質疑応答を楽しみに待っている。机の並び順に一人づつ生徒から私に質問をしてくる形にしている。最初の話題は「オーストラリアの水」。次は「オーストラリアのおやつ」。3つ目は「オーストラリアの寿司」。4つ目は「オーストラリアの魚」。5つ目は「オーストラリアのスクールバッグ」。6つ目は「ベジマイト」。ベジマイトはオーストラリアにしかないチョコレート色の「まず~~~~い」ペーストだ。でもどの生徒に聞いてもベジマイトは大好きだという。そのベジマイトがまた話題になった。
生徒たち:S 私:K
S: ARAISENSEI BEJIMAITO SHIRIMASUKA
(あらいせんせい ベジマイト しりますか)
K: HAI SHITTEIMASU TOOSUTONI NURU PEESUTODESUNE
(はい しっています トーストに ぬる ペーストですね)
(Yes , I do . It's paste to put on the toast , isn't it ?)
S: HAI DOODESU OISHIDESUNE
(はい そうです おいしですね)
K: MADA OISHIIKA DOOKA WAKARIMASEN
(まだ おいしいか どうか わかりません)
(I don't know it's good or not yet )
S: SUKIDESU NAIDESUKA WATASHIWA DAISUKIDESU
(すきです ないですか わたしは だいすきです)
S: WATASHIMO BEJIMAITO DAISUKIDESU KAZOKU DAISUKIDESU
(わたしも ベジマイト だいすきです かぞく だいすきです)
K: SAISHO BEJIMAITOWA CHOKOREETODATO OMOIMASHITA
(さいしょ ベジマイトは チョコレートだと おもいました)
(At first I thought VEGEMITE was chocolate )
S: HAI CHOKURITO NITERUDESU
(はい チョクリト にてるです)
K: DEMO TABETE ODOROKIMASHITA
(でも たべて おどろきました)
(But I got surprised after eating )
S: DOOSHITEMASUKA
(どうしてますか)
K: TABETEMITARA SHIOKARAKUTE HENNANIOIGA SHIMASHITA
(たべてみたら しおからくて へんなにおいが しました)
(I tried it and found it salty and smelled strange)
S: DEMO TAKUSAN nutritious DESU nutritious NIHONGO NANIDESUKA
(でも たくさん nutritious です nutritious にほんご なにですか)
K: nutritious WA EIYOOGAARU DESU
(nutritious は えいようがある です)
S: ARAISENSEI TAKUSAN TABERUKUDASAI
(アライせんせい たくさん たべるください)
S: GAIKOKUHITO BEJIMAITO ODOROKISHIMASU WAKARIMASEN
(がいこくひと ベジマイト おどろきします わかりません)
K: TABUN MEZURASHII AJIDAKARADESHOO
(たぶん めずらしい あじだからでしょう)
(Maybe it has rare taste )
S: ARAISENSEI BEJIMAITO ITU DEKIRU SHIRIMASUKA
(アライせんせい ベジマイト いつ できる しりますか)
K: IE SHIRIMASEN OSHIETEKUDASAI
(いいえ しりません おしえてください)
(No , I don't . Please tell me )
S: SENKYUHYAKUNIJYUNINENDESU NAGAI REKISHIMASU OKASANWA
BEJIMAITONO SUKOON JYOZUDESU
(せんきゅひゃくにじゅにねんです ながい れきします おかさんは ベジマイト スコーン じょずです)
K: SOODESUKA BEJIMAITOWA PANNI NURUDAKEJYANAINODESUNE
(そうですか ベジマイトは パンに ぬるだけじゃないのですね)
(Oh , really ? VEGEMITE is used not only for putting on the toast )
S: TAKUSAN RYORI TUKAIMASU
(たくさん りょり つかいます)
S: NIHON BEJIMAITO URUDESUKA
(にほん ベジマイト うるですか)
K: IIE NIHONDEWA MITAKOTOGA ARIMASEN
(いいえ にほんでは みたことが ありません)
(No , I have never seen it in Japan )
S: ARAISENSEI BEJIMAITO NIHON SHOKAIDESUKA
(アライせんせい ベジマイト にほん しょかいですか)
K: SOODESUNE WATASHINOKAZOKUYA TOMODACHINI TAMESHITE MORAIMASHOO
(そうですね わたしのかぞくや ともだちに ためしてもらいましょう)
(Well , I'll have my family and friends try it )
S: YOROSHAKU ONIGAE YUTASHIMASU
(よろしゃく おにがえ ゆたします)
どの生徒も例外なくベジマイトが好きだという。まさにオーストラリアの国民食だ。その「おいしさ」「栄養豊富さ」には大いに自信がるようだ。日本の人々にも食べてもらうように宣伝係りを頼まれてしまった。
オーストラリアではお馴染みの「ベジマイト」。オーストラリアでは冗談半分に国民食といわれることもあるほどポピュラーだが、ほかの地域ではめったに見られない。はじめて食べると思わず吐き出したくなるほど強烈な味なのだが、その個性的な味が逆にクセになるとハマる人も結構いる。
ベジマイトは、さまざまな野菜をイースト菌で発酵させたもので、その独特の塩辛い味とビール酵母のような香りが特徴の発酵食品だ。イースト菌抽出物(酵母エキス)や麦芽エキスでつくられ、合成保存料や合成着色料は使われない。見た目はチョコレートクリームのような黒いペーストで、独特の臭気を持つため、一般的には理解できない味とされている。
オーストラリアのスーパーでは、ベジマイトはピーナツバターやジャムが置いてある場所に並んでいる。味は八丁味噌とアンチョビとチーズと醤油を足したような独特な塩辛さで、発酵臭がかなり強烈だ。
基本は、パンに塗ってトーストにして食べる。意外と日本人の口にも合うような味に仕上がり、焼くことによって、香ばしい醤油の匂いと味そのものになる。ところが、その独特の風味から「世界一まずいジャム」と言われてしまうこともある。
味があまりに衝撃的すぎて、外国人が初めて日本の納豆を食べるとき同じような思いになるかもしれない。ビタミンB1やB2、葉酸なども含まれているので、栄養のために積極的に食卓へ取り入れている人もいる。
オーストラリア人が好きな食べ方の第1位は、トーストにバターと一緒にぬって食べるというもの。チーズやアボカドとサンドイッチにして食べたり、クラッカーにつけるのも定番。シナモンロールのようにパン生地にベジマイトとチーズを巻いて焼き上げるCheesy Scrollも人気がある。クッキーに混ぜたりチョコレートと混ぜてケーキにしたりもする。ベジマイトは定番の離乳食でもあり、オーストラリア人が小さい頃から口にしている正真正銘の国民食だ。
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