別れの決断
私がアマチュアのテニスを始めたのは7年ほど前で、初心者教室で出会った同い年のパートナーとペアを組んだのはまだアマチュアテニス界の右も左も分からない時分だった。
相方も趣味としての活動を楽しんでおり、お互い中学の部活3年間がテニス部だったこともあり、初級での試合に出場すれば、賞状をもらえるくらいの結果を残せた。
ところが、階級が上がり年を追うごとに、悔しい敗戦を経験することになる。
精神力のせいか技術のせいか、または戦略が足りないのか、勝ち上がれずに終わり、次第に試合は重苦しい日に変わる。
一度ペアを組めば、特段の事情がない限りは他の人と組んで出場することは勧められない。
何より人間関係を優先する暗黙の決まりがあることを知ったのはそう以前ではない。
戦況に比例して、彼女との関係性もぎこちないものになっていったように思う。
相方は17歳という若さで母になり立派に3人の子供を育て上げている素晴らしい女性で、心から尊敬してやまない友人であるのは偽りのない本心だ。
しかし先だっての試合で惨敗した事が私達の心に深い闇と傷を残してしまった。
彼女は今後の試合に出ることを断念した。私は彼女と違う決断をした。
方向は違えど、決別を決めたのはお互いに一致した。
たしかに女性ばかりの世界だから、風紀が重んじられるのは頷けるが、それにしても、もう少し気楽に色んな人とペアを組んで挑めたらこんなにお互いが苦悩することはなかったかもしれない。
精神的に彼女に負担をかけてしまったことに申し訳ない気持ちと今まで2人で頑張ってくれたことに対しての感謝の気持ちで、今はいっぱいいっぱいだ。