ヘブライ人、イスラエル人、そして、ユダヤ人
我々はよく、イスラエルの民や民族を見て、「イスラエル人」または「ユダヤ人」、はたまたヘブライ語、ヘブライ文字を使う「ヘブライ人(へブル人)」と表現、表記することがあります。
別の民族なのか、それとも同じ民族なのか?同じ民族ならなぜ呼び方が違うのか?真相を究明するため、一緒に聖書の世界に行きましょう!
聖書には「旧約聖書」と「新約聖書」があり、一般的にユダヤ教の正典が「旧約聖書」、キリスト教の正典「新約聖書」と言われます。これは、キリスト教の立場から区分するためにこのように呼ばれます。
今日一緒に見て行くのは、「旧約聖書」です。
旧約聖書は大きく
・モーセと律法(モーセ五書)
・歴史書
・詩歌書
・預言書
で構成されてます。
この中で、モーセと律法を一緒に見て行きましょう!
アダムとイブのお話で有名な天地創造の創世記から始まります。この創世記には、ユダヤの父、信仰の父と、言われるアブラハムが登場します。アブラハムは、BC3000年のころカルデヤのウルから出発して、カランを経てカナン(現在のイスラエル)に移住したと言われてます。
アブラハムには、イシュマエルとイサクという子がいて、イサクの子にヤコブという子がいます。
ある時、ヤコブがヨルダン川を渡る時、神の遣いである天使と戦う事に。
その戦いに勝つと、ヤコブは、神の遣いである天使からイスラエルの名前をいただきます。
イスラ(サラ):支配する、勝利する
エル:神
イスラエルとは、神が与えた名前で、ヤコブの子孫たちは自らをイスラエル人と呼びます。
ヤコブには4人の妻と12人の息子、1人の娘がいました。
ヤコブの子のうち、ヨセフがエジプトに行き、そのヨセフとの再開を目指しエジプトに移ります。ヨセフはエジプトファラオの宰相となるも、その後、子孫たちはエジプトの奴隷になる歴史を歩みます。そしてモーセの十戒につながって行きます。
ヘブライ人とは、ユダヤの父、アブラハムの先祖のエベルの名前が由来とされてます。ヘブライ(へブル)のという意味は、川を越えてきた、国境を越えてきたという意味で、特にエジプトでの奴隷の歴史の中で呼ばれていたそうです。他民族からの呼び名であり、また、自らも外国人に紹介する時に使用することもあるそうです。
モーセによるエジプト脱出の後、ヤコブの子供達の子孫(部族)に土地が分け与えられました。このヤコブの子供達が12部族の祖となるのですが、
上記家族図で見ると、レビ族には土地が与えられず12部族には入りません。また、ヨセフ族はなく、子供のマナセとエフライムを祖とするマナセ族とエフライム族が加わることで、12部族となります。
BC1000年頃、ダビデが12部族をまとめて統一したイスラエル王国を築きます。ダビデ王の後を継いだ子のソロモン王が亡くなると、北のイスラエル王国と南のユダヤ王国に分裂します。
北のイスラエル王国はサマリアを首都におき、ユダ族、ベニヤミン族以外の10部族で構成される王国。
南のユダヤ王国はエルサレムを首都に置く、ユダ族とベニヤミン族の2部族で構成される王国。
北のイスラエル王国はBC721年にアッシリアに滅ぼされ、イスラエルの失われた10支族につながって行きます。
南のユダヤ王国はBC586年に新バビロニアに滅ぼされ、支配者階級は捕囚として連行され、バビロンの捕囚につながって行きます。
バビロンに捕虜になった人たちは、多くがユダ部族であり、ユダヤ地方出身の人たちです。後にバビロンがペルシアに滅亡されると、捕虜であったユダヤ王国のイスラエル人たちは、解放され、バビロンから帰還した後にユダヤ人と呼ばれるようになりました。
ヘブライ人は、特にエジプトの奴隷時代をはじめ、他民族からの呼び名、
イスラエル人は、神から与えられた、自らの呼び名であり、
ユダヤ人は、イスラエル12部族のユダ部族が由来となり、バビロン捕囚以降の呼び名となります。
基本的にはヘブライ人、イスラエル人、ユダヤ人は同じ民族であり、時代や、立場によって呼び方が変わってきたという事ですね。