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15 不必要な収容を止めさせよう!

 モハマドは、イラン国籍の両親の間に生まれた小学校6年生。近所の子どもたちと同じように、近所の小学校に通っていました。両親は近所の工場で働いていて、職場や近所の人たちとも仲良く暮らしていました。ところが、ある日、学校に紺色の服を着た知らない大人二人が来ました。お父さんとお母さんは、ビザがないので入管というところに捕まった、あなたは家に帰れないから、児童相談所というところに行かなくてはならない、ということでした。

 お父さんとお母さんが捕まって6カ月経ちました。お父さんとお母さんを助けるために、弁護士さんがついてくれましたが、弁護士さんの話では、いつ外に出られるか分からないということです。モハマドは、弁護士さんに、どうして普通に働いていたお父さん・お母さんが捕まったのか、なんで出てこられないのか聞きましたが、弁護士さんは答えられません。お父さんたちを捕まえた出入国在留管理庁(入管)が何も理由を説明してくれないから、とのことです。いつになれば出てこられるのかも質問しました。ですが、これにも弁護士さんは答えられません。期限が決まっていないのだそうです。もう一度、お父さんたちを外に出すためのお願いを入管にしてくれると言っていましたが、入管が、いつ、答えを出すのかもわからないということでした。


▶非正規移民だからといって……

 日本の入管法では、「収容令書」あるいは「退去強制令書」に基づいて、非正規移民(在留資格のない移民)を捕まえ続けることができます。これを「収容」といいます。

 法律上、単にオーバーステイというだけでも収容令書を出すことができるように書かれています。そのため、モハマドの両親のように、工場で働いていて小学生の子どもがいるような人たちでも、子どもと引き離して、収容することができるのです。

 この収容令書を出す権限があるのは、入管の中の「主任審査官」という人です。同じ人を捕まえるのでも、警察が犯罪の容疑者を逮捕するときは、裁判所という、警察とはまったく違う、独立した組織が、逮捕状を出してもよいかどうか、第三者の立場から吟味します。入管の収容令書には、このような第三者によるチェック機能がありません。

 さらに、収容令書による収容は30日間。この期間は、一度延長をすることができて、合計で最大60日間も収容することが可能です。

 そして、「退去強制令書」による収容は、「送還可能なときまで」収容が可能とされているため、法律上、無期限の収容が可能となっています。そのため、現に送還の目途がたたない被収容者を数年にわたって収容することも、珍しくないのです。いったん収容されてしまった人は、仮放免という許可をもらえれば外に出てくることができます。ですが、その判断をするのは、主任審査官または入国管理局収容所の所長です。どういう場合に外に出られるか、基準は明らかにされていません。

 仮放免許可の申請をしてから、いつまでに結論を出さなくてはならないかの決まりもないので、申請から判断まで1カ月から2カ月かかることも普通です。それだけの期間をかけて何を審査しているか、まったく不透明なのです。

 さらに、その審査過程は入国管理局内部の書面審査のみで不透明です。不許可の場合であっても、その具体的な理由は一切明らかにされません。

 このような入国管理局収容の問題点は、国連や弁護士会という弁護士の団体からもたびたび指摘されています。非正規移民だからといって、逃げる危険もないのに、入管だけの判断でいつまでも捕まえ続けることができる、日本の収容制度は間違っています。


▶法改正の必要性

 このような問題点を解消するためには、不必要な収容を止めるよう、今の法律を改正すべきです。具体的には、①収容の要件として、収容の必要性を明記すること、②収容令書発付およびその解放について、迅速な司法判断を受けられるようにすること、③収容令書による収容期間を短縮し、上限を設けること、④仮放免は、逃亡の危険がない限り原則として許可すること、⑤仮放免の審理を公開法廷でおこなうことが、必要です。

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