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【断髪小説】第三部: イメチェンバトルロワイヤル(2)戸惑い

割引あり

高校生たちが謎の施設に拉致され、過酷なサバイバルゲームに参加させられた。男性は女性を丸坊主にし、女性は男性の美容道具を奪うというルールのもとで、命をかけたバトルが展開されようとしている。

「うっひゃぁ〜〜〜!マジで死にやがったぁ〜!
やべ〜〜!やべ〜〜な!俺等もこうなるんかなぁ〜?
うひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」

事件の後、最初に口を開いたのはナチュラルなミディアムストレート、ワックスで少し動きをつけたスタイルの桐谷 健太(きりたに けんた)だった。

「よさないか!・・・人が死んだんだぞ!」
冷静な態度で続けてマコトが口を開いた。

「とりあえず、状況を整理して、お互いの知っている情報を教え合うのが良いと考えているのだが、みんな、どうかな?」

一同頷く。

「俺は山本 誠(やまもと まこと)、高校1年生です。まず、みんなの年齢は、俺と同い年くらいに見えるけど、違う者がいたら教えてほしい」

一同誰も反応せず。

「全員高校1年生ということだな。
あとはお互いが知り合いの者たちはいるか?」

そこで手を上げたのが、スポーティなベリーショートヘアで、サイドを刈り上げた感じの高橋 和樹(たかはし かずき)。

「俺、こいつ知ってるっす。
あ、俺は高橋 和樹(たかはし かずき)。
そしてこいつは、山本 涼子(やまもと りょうこ)」

「はい、山本 涼子(やまもと りょうこ)です。
カズキとは、同じ陸上部の仲間です。
あ、えーっと、それとカズキとは恋人同士です」
山本 涼子(やまもと りょうこ)は、綺麗な黒髪を一つ結びに結んでいるポニーテールスタイルの女子。

「分かった。ありがとう」

「それと、ここへ来た時の事を覚えている者はいるか?」

「確か、駅前のカフェ「サリ」で勉強をしていたんですけど、突然この空間に一瞬で瞬間移動?したような感じでここへ来ました」
黒髪メガネで三つ編みヘアの田中 美月(たなか みつき)が言った。

あ、私も!僕も!と皆が主張し始めた。

「なるほど。俺もそこにいた。ということは、サリに居た者達が何者かの能力によってこの空間に飛ばされたと思って、よさそうだ」

「ってことは、ここは現実の世界ではない?ってことかしら」
黒髪ロングヘアーの鈴木 菜々子(すずき ななこ)がマコトに質問した。

「おそらく・・・。
以後助け合いたい。
・・・っと、言いたいところだが、このゲームのルール上、過度な馴れ合いは逆に危険だ。
ある程度の距離感でお互い接したほうがいいと俺は思ってる」

「それは賛成だわ。
だけど、3日以内にポイントを取らないと、坊主になり、死ぬことになる。
そういう意味では、悲しいけれど、争いは避けられないわ」

「もしくは、この能力を解除する」

「え!?そんな事が可能なの?」

「それは分からない。だけど、可能性は十分にある。
俺はそれを探ろうと思う」

「私は・・・申し訳ないけど、もし、その方法が見つからなかった場合は、このバトルに参加するわよ」

「あぁ。わかっている」

「何お前ら甘いこと言ってんだよ〜!
これは殺し合いのゲームだ!俺は、迷わずお前らを狙う!
せいぜい殺されないように身を隠す事だなぁ〜!はっはぁ〜!」
ケンタが皆に脅しをかけて、そのままその場を立ち去る。

「とりあえず、各々が自分の見を守ってくれ。
あと、信用できる者同士は一緒に行動する。
俺は、探索へ向かう。
一旦、解散しよう」

一同頷いた。
カズキとリョウコはお互いの顔を見合わせて頷いた。
マコトは探索のためにその場を後にした。



「リョウコ〜。俺等どうするか〜?
3日間何もしないで時間が経ってしまえばお互いが・・・。
だから、ポイントを取りに行こうと思っているんだけど」

「え!?カズキくんー。
それって、人を殺すってことになるんだよ?」

「あぁ、わかってるよ!
でも・・・やらなきゃやられる・・・。
だから、俺達は生き残りたいんだよ!
それに、俺等は2人だ。他の奴らより有利なはず。
2人で襲えば大丈夫だと思う!」

「う・・・うん。そうだね・・・。
でも、誰を狙うの?」

「田中 美月(たなか みつき)」

「ミツキってあのメガネを掛けている三つ編みスタイルの子?だよね?」

「あぁ、あの中で一番弱そうだったからな。
まずはミツキを狙おうと思う。
これでとりあえずステージ1は2人ともクリア出来るはず」

「う・・・うん。
でも私は何をすればいい?ミツキと力も対して変わらないだろうし、出来ることあるかな?」

「リョウコは、ミツキと友達になりたいと近づいて、宿泊施設のリョウコの部屋に連れ込んでほしい。
俺は事前にリョウコの部屋に隠れているので、そこで安心しきったミツキの三つ編みを2人でバッサリと断髪する!」

「わ・・・分かった。カズキくんの為にも頑張るね!」

2人は抱きしめ合い、カズキはリョウコのポニーテールを優しく撫でた。
リョウコは頬を赤らめて嬉しそうにしている。

「リョウコ・・・頑張ろう」

「うん」

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