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【断髪小説】ヘアフォールウイルス(5)サクラの断髪

割引あり

「死にたくない・・・死にたくない・・・死にたくない・・・死にたくない・・・。
彼氏・・・彼氏・・・彼氏・・・彼氏欲しい!!!!!」

ケンタの妹の田中 桜(たなか さくら)はヘアフォールウィルスの恐怖に耐えれずにいる。

サクラは、少し茶髪かかった綺麗なセミロングヘアで、前髪は一直線に綺麗に整っている。
身長は低く158cmくらい、内気で人見知り。 だけど、親しい友人とは仲良く話をするが、人の目を気にする性格。

「ねぇ〜、怖いよ〜、ポンタ〜!」
サクラが飼っている子犬のポンタに話しかけている。

「ワン!ワンワンワン!」

「ん〜、どうしたぁ〜ポンター。今日はやけに吠えるねぇ〜。私が心配なのかい〜」

「ワン!ワンワン!」

「とにかく私を好きな人を見つけないとイケないから・・・でも・・・私の好きな人はショウタくんだから・・・ショウタくんに髪の毛を切ってもらいたい。けど・・・ショウタくんはリンコの事が好きなのは知っているの。
だけどだけど、ダメ元でショウタくんに告白する!」

鈴木 翔太(すずき しょうた)はお調子者でチャラい。引き締まったボディーに身長172cm。少し長めのショートで無造作ヘア。軽くブリーチした茶髪。

「ワン!ワンワンワンワン!!!」
ポンタがしっぽを振っていつもより多く吠えている

サクラはショウタに電話して、駅前のファミレスで合う約束を交わし、1階の食卓へ降りる。

「あにぃ〜、ちょっとそこどいて〜、出かけて来る〜」
サクラの兄のケンタはサクラの事をじっと見つめて言葉を発した。

「サクラ、どこへ行く?兄をおいていかないでくれ」

「は?何冗談言っているの?」

「そうよ、サクラ〜。外は危ないんだから、私もついていこうかしら?」

「母(はは)までどうしたの?なんか、今日変だよ」

「サクラが愛しくて・・・心配なだけだよ」
「そうだよ、サクラ、僕の前から居なくならないでくれ」

「はぁ〜?どうしちゃったんだよみんなぁ〜。まぁ〜いいよ、いってくるよ」

「気をつけるのよ」
「ゆっくり歩くんだぞ」

(なんか、今日は二人ともどうかしちゃったのかなぁ?
もしかして、ウィルスの影響?うーーーーん、わからない!
でも、今日はショウタくんに告白する日、だから、一旦ショウタくんに集中しよう)

カフェへ行く道中でガラの悪い高校生の集団3人を目にした。
一人はおそらく親分的存在のガチムチ体育会系男子。もう一人はひょろくて長い要領の良さそうな男、もうひとりは小太りで大柄の男。
(えー、やだな〜。あんなところでたまられたら、カフェいけないなぁ・・・。でもあそこの道通らないといけないし、そーっと下向いて通るしか無いかな)

彼らが会話に盛り上がっているところ、悟られないようにそーっと通り過ぎようとする。

「おい!」
ビクッとサクラの体が反応した。

「おい、ねぇ〜っちゃん!どこの学校だい?」
(やばいやばいやばいやばい・・・怖いよ〜!)
サクラと不良のボスっぽい人とが目が合って、不良が再び口を開いた。

「申し訳ありやせん!こんなところにたむろってしまって!邪魔でしたよね?お前らも謝れ!」
納得いかないような表情を浮かべる他の不良達。だが、その不良たちと目が合うと、小太りの不良が態度を豹変させて答えた。

「はい、申し訳ございませんでした!あなた様のようにお美しい方にこんな迷惑をかけてしまい、私めができることならなんなりと言って下さいませ!」

ひょろのっぽ男が続いて答えた。
「失礼しました!好きです!」

「え!?」

「あ、本当に失礼しました。つい、私の恋心が口を滑らせました」

「あ、あの、初対面だと思うんですけど・・・」

「はい、私とあなたは今合ったばかり、だけど、目と目が合った瞬間にズキューンという音とともに恋い焦がれてしまいました。

「あっしも、ズキューンという音を聞きました」
「私めもズキューンという音がしてからあなたの事が愛おしくなりました」

(え?どういう事?朝からあにぃ、ははもおかしかったのと一緒の現象?目と目が合った瞬間恋に落ちる?そんなことある?でも、もしウィルスのせいで特殊能力に芽生えたのだとしたら、有り得る話?)

「あ・・・あの、私急いでいるので」

不良たちが敬礼して、サクラを優しく送り出してくれた。

カフェのドアを開けるとガチャンガチャンという音と共にいらっしゃいませの挨拶が行われた。

席を案内されている最中に、男と目があった。
彼はスラリとした長身で、切れ長の目が特徴的な美青年。彼の全体的な印象は、落ち着いていて知的、どこかミステリアスで人を引きつけるものがある。

「ほほぉぅ」
彼がなにか口にしたようだが、気にせず、ショウタの居る席へと向かった。

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