【断髪小説】愛の約束(1) 愛と勇気
いったい、何回繰り返せばいいんだ。
なぜ、何回も繰り返す。
青木 勇気(あおき ゆうき)は、幼馴染の赤城 愛(あかぎ あい)を見ながら、頭の中で考えていた。
高校の休み時間。ガヤガヤとした生徒達の話し声がする。
白石 彩(しらいし あや)と愛が楽しそうに会話をしている。
「え!?愛、髪の毛短くするの!?」
「う、うん、アヤと同じくらいの短さにしたいなーって思ってるんだけど…似合うかなぁ!?」
「私と同じって、刈り上がっちゃいますけど?愛は、ロングヘアーがいいと思うんだけどなー」
「でも、私…決めたから」
「そう。あんたがそう言うなら、止めないけど…」
「ねぇ、アヤ、私1人じゃ不安だから、美容室についてきてくれない?今週土曜日に予約いれたから」
「うん、もちろん!私が付いてるから、安心して刈り上げちゃいなよ~!あははははは♪」
「・・・うん」
愛は、どことなく不安そうな表情を浮かべながら、髪の毛をバッサリカットする話をアヤにしていた。
(今週…今週土曜日…。愛がまた髪の毛をバッサリ切ろうとしてる…。
なぜ!?なぜ何回も繰り返すんだ…)
「おい!」
黒沢 秋(くろさわ あき)が話しかけてきた。
「ん!?」
「アキ!?」
「おう、ユウキ。
どうしたんだよ、ユウキ、なんか浮かない顔して!?
大ニュースじゃ無いか!俺も聞いてたぜ、愛とアヤの会話~♪
愛がついにあの綺麗で腰まである長い黒髪をバッサリとカットするんだってな~♪
俺はワクワクが止まらないよ!
愛と言えば学年1番の美髪の持ち主で、成績優秀、顔も美人、すらっとしたボディ、イメチェンする人間として言う事なし!」
「お前、イメチェン好きだもんな。
しかもショートカットの刈り上げフェチ」
「あまりめーだ!
女は刈り上げショートって相場が決まってるだろが!」
「いや…。
俺はロングヘアの方が…」
「お前はロングヘアフェチだもんなー!まぁ分からんでも無いが、これがまたロングヘアーの子がショートカットになるのがいいんじゃないかよ!」
「なんなんお前のそのイメチェン好き。
てかフェチって何だよ、俺にはよく分からないわ」
「まぁまぁ、でも本人がバッサリ切りたいって言うんだからさ、それを止めるのはヤボってもんじゃーないかね、ゆうきくんよー」
「まぁ…そうなんだけどさ」
ユウキには、愛がロングヘアーでいて欲しい理由があった。
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