中高年からの麻雀プロのススメ。パイロットを夢見た少年はどこへ?
はじめに
私が日本プロ麻雀協会のプロテストを受けたのは2022年。46歳の時でした。
プロテスト受験時点で、私は麻雀業界のことをほとんど何も知りませんでした。
麻雀業界無知ランキングがあれば、間違いなく優勝したと思います。
Mリーグを一度も観たことがないだけでなく、Mリーグの存在自体をほぼ知りませんでした。
(言われてみればなんか聞いたことあるかも、というレベル)
Mリーガー含め、有名プロのこともほぼ知りません。
当時の協会の雀王は渋川難波さんでしたが、まったく知りません。
五十嵐代表は知っていました。私にとって麻雀プロとは、井出洋介さん、忍田幸夫さん、伊藤優孝さん、金子正輝さん、安藤満さんたちでした。
20年間一度も麻雀していませんでした。X(当時Twitter)のアカウントも持っていなかったので、世の中にこんなに麻雀プロがいることも、対局が放送されていることも知りませんでした。本当に何ひとつ知らなかったのです。
私がプロテストを受験しようと思った理由は、ここでは省略します。本題に関係がなく、またちょっとした勘違いもありました。ともかくふと麻雀プロになるという選択肢が浮かび、何も知らないまま受験してしまったのです。知らない強みで飛び込んだわけですが、もし業界についての知識があれば、尻込みしていたかもしれません。
ところで歳をとるとこれまでできていたことができなくなりますよね。
私が最初にそれを感じたのは、30代後半でしょうか。
全力で走れなくなりました。筋力的にはまだ走れるので、走ればそれなりにスピードは出ます。でも自分の筋力的全力を出すと、心肺機能がついてこられないようで呼吸困難になって視界が明滅して倒れそうになりました。何度かそれがあり、
「もう全力を開放して走っちゃいけないんだ」
そう思いました。
これが最初でしたが、今ではそれよりはるかにボロボロです。
腰が痛くて長い時間立っていられなくなり、冷え症が酷くて夏でもレッグウォーマーが必要で、段差が不安で特に下りは慎重に踏み出さないといつも踏み外しそうです。
もちろん体だけではありません。
集中力は明らかに落ちました。特に集中の持続力の低下が著しいです。読書やゲームなどの昔から好きでやっていたことでさえ、途中で疲れてしまいます。嫌なことが飽きるのは仕方ないですが、いつの間にか好きなことまで持続できなくなってしまいました。以前はそれこそ何時間でも飽きずにやっていられたのに。
随分とポンコツになりました。
体と頭だけでなく、気持ちも知らないうちに変化が起きています。
失敗が怖くなりました。冒険心が失われ、リスク計算が先行し、一見賢明で無難な降りばかりを選択しがちです。
仕事はできるんです。経験の積み重ねがあるので予想外のことはそうそう起きず、大抵のことは対処の仕方がわかります。ある程度の知識もあるので、物事が予想の範疇内で進んでいきます。
立場的に意見を求められたり決断をする場面も多くなります。たいして難しくないので無難にできますが、若い頃よりも発言の影響力が増しているので、迂闊なことは言えない気分になります。そのせいでより無難な発言に片寄りがちです。
何か大きな不満や問題があるわけではないのですが、静かに停滞していっている感覚があります。駄目なわけではないけれど、このまま終わっていくんだなという諦観と、それに対する微弱な抵抗感。
もしかして中高年の方で、私と同じような感覚をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ではここで1曲聞いていただきましょう。
プリンセスプリンセスで『パイロットになりたくて』
1992年にリリースされたプリンセスプリンセスの14枚目のシングル。
当時私は17歳。バブル経済の崩壊の年です。
ところがひょんなことから私は麻雀プロになりました。
無難な根を縦横無尽に張り巡らせていたのに、麻雀界のことを知らないがためにうっかりなってしまったのです。
なってから驚きました。こんなにもきらびやかで、こんなにも凄い人たちばかりの世界なのか、と。
正直なところ、とんでもないところに入ってしまったという気持ちも持ちました。
場違いすぎて、ここにいていいのかと何度も自分に問いかけました。今でも問い続けています。
一方で久しく感じなかった充実感も味わうことができました。
すごく嬉しかったり、強烈に悔しかったりします。
(圧倒的に悔しいことが多いのですが)
感情の起伏を感じること自体が極端に少なくなっていましたので、これ自体がとても貴重なことに感じます。
そしてまだ自分が成長できることも知りました。私は20年のブランクがあったので、20年間分の戦術を勉強して試行錯誤し、まだ強くなれると思いました。成績も全然ふるわず、滅茶苦茶弱いんですが、でも少し前の自分よりもは強くなっていると思うことができます。
生活に張りができました。
日々の生活が文句なく充実している方はそのままでいいと思いますが、もし停滞を感じているのなら、麻雀プロはオススメです。
まだまだ長い道を生きていきます。少しポンコツになってきていても、ドキドキする方へ向かってみませんか?
サークル活動?
麻雀プロは会費を払って「プロ」活動をするので、時に「サークル活動」と揶揄されたりもしますが、
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