お買い物を楽しいエンターテインメントにすべく奔走する――「最高の顧客体験を、ITとお買い場の力で提供していきたい」
こんにちは!IMDigitalLab(アイムデジタルラボ)広報担当です!
本日は、当社の代表取締役社長 三部 智英(さんべ ともひで)のインタビューをお届けします。
三越伊勢丹にジョインした経緯、代表に就任するまでのエピソード、当社のミッションやビジョンについて語っております!
■伊勢丹浦和店で、パッションにあふれたお買い場を経験
大学卒業後、三越伊勢丹HDに新卒入社した私は、伊勢丹浦和店の婦人服で、お買い場(売り場)を担当していました。実は、理工学部の出身なのですが、研究室になぜか伊勢丹のパンフレットが置いてあって、何気なく興味を持ったことがきっかけでした。理系といえば、製造やメーカーといった業界に就職する人が多いと思うのですが、あんまり面白くなさそうだなと思っていたので、明るくてパッションにあふれた人が多かった伊勢丹に入社しました。
そこで3年半ほどお買い場を担当していたのですが、当然のことながら、いずれはバイヤーもしくはマネージャーになりたかったんです。ちょうどバブルがはじけた90年代後半だったのですが、浦和店の婦人服には、情熱的な上司や仲間がたくさんいて。気合と根性でないですけど、日常からどうやったらお客様に喜んでもらってお買い上げにつながるか?ということを常に考える意識は強かったですね。いまだに先輩方には頭が上がりません。
また、私は、子供の頃にハンドボールなどの部活をやっていたので、元々は体育会系の人間です。「勝つためにどうしたらいいのか」という訓練をずっとしてきました。そういった意味で、販売の仕事は、日々の売上目標という勝ち負けの世界ですよね。プロのスタイリストは、トークも素晴らしいですし、ものすごく販売するんです。私はそのレベルには全然達しませんでしたが、このときの経験は一生忘れられませんし、今の仕事の原点のような気がします。
■情報システム部に異動後、三越伊勢丹システム・ソリューションズの代表取締役社長を兼務
ところが、4年目に伊勢丹の情報システム部門に異動になりまして……。パッションあふれる店頭から、静かでロジカルに黙々と作業をするような場所に異動になったので、当時は、モチベーションがかなり落ちていましたね。大きなプロジェクトも立ち上がっていたのですが、何も言葉が分からないような状態でずっと椅子に座っている日々でした。
徐々に仕事に慣れてくると、同業他社の中では、最先端だったマーチャンダイジングのシステムの立ち上げに携わりました。その後は、経理系の基幹システムをずっとやっていたので、経理はもちろん、三越伊勢丹HD全般を理解しているような状態になりました。そして、2018年に、兼務という形で、三越伊勢丹システム・ソリューションズの代表取締役社長に就任しました。
しかし、時代の流れですよね。現在、百貨店という業界自体、「今後どうなっていくのか?」という岐路に立たされていると感じています。私は四半世紀ほどIT畑で仕事をしてきましたが、意識が薄れてきちゃってるなと感じていることが、お客様との最高の顧客体験なんです。お客様に対して、「良いものを提供できているのだろうか?」という問題意識が、アイムデジタルラボを設立するきっかけになりました。
■スピード感と外部でともに創る伴走者を獲得すべく、アイムデジタルラボを設立する
アイムデジタルラボを、三越伊勢丹HD内の一部署としてではなく、会社として独立させようと思った理由はスピード感です。既存の組織や体制のなかで新しいことをやろうと思っても、時間がかかりますよね。短期間で課題解決をしていくには、意思決定のプロセスを見直す必要がありました。
また、外部の人間も入れていかないと、より良いサービスができないと思ったこともきっかけのひとつ。取締役を務める鈴木雄介氏(すずき ゆうすけ)のように、外部にビジネスもわかり技術もわかる伴走者がいることで、内部の人間だけでは発想できなかったようなアイデアも生まれますし、これまでとは違う世界を構築することができると考えました。
会社設立にあたっては、社内でもっと色々言われると思っていましたが、割とスムーズにいきましたね。それだけ三越伊勢丹HDのトップ陣もデジタルに関心が高く、スピード感を持って良いサービスを提供したいという思いがあったから。世の中的にも、デジタルの人材をいかに獲得するかという流れですし、反対した人はいないと思いますね。
■百貨店のあり方が問われている近年、ITの力で最高の顧客体験を
お買い物は、本当は楽しいことであるべきで、その楽しさを売りにするためには、何をしたらいいのか。時代が変わった今は、お客様も変わりましたし、百貨店自体のあり方が問われてきています。それでも、たくさんのお客様がお店に足を運んでくださいます。アイムデジタルラボでは、そんなお客様に対して、「最高の顧客体験を提供できているか?」という課題感を持って取り組んでいきたいと思っています。
例えば、これまではセグメント別にお客様に対してアプローチをしていましたが、実際は、AさんとBさんの体験は一人ひとり違うわけです。そうすると、本当にお客様の気持ちになって、課題解決をしようとしたときに、それぞれのやり方やソリューションというものが絶対にあるはずなんですよね。しかし、そこに十分に応えられていないため、接客をしてもご興味いただけなかったり、スタイリストのファンになってくれなかったり、そういう状態が続いているのではないかと感じています。
また、私が入社したころのスタイリストたちのように、原点に立ち返って、「目の前のお客様は何を求めているのだろうか?」というところから始めるべきだと思っています。そこの課題解決をするときに、テクノロジーで手助けできる部分があると思うんですよね。優秀なスタイリストであれば、お客様を見ただけで「このお品物が合うだろう」ということが分かると思うのですが、テクノロジーが加われば、もっともっとできることが広がると考えています。
■多数のお買い場を持つ百貨店において、アイデアは無限にある
例えばYour FIT 365は、お客様の足型を計測して、適切なサイズの靴をレコメンドするサービスですが、それ以外にも違う課題があるはずなんです。それを、どんどんブラッシュアップして解決していくということが、今の百貨店の店頭で求められていることだと思います。
その点、プロダクトオーナーの河村明彦(かわむら あきひこ)は、そういった課題解決を考えながら、これまで仕事をしてきた人間です。河村のように、自分のお買い場領域で、お客様のことをよく知っていて、お客様のために何とかしたいと思っている人はたくさんいるはずなんです。
最近、お買い場でワークショップを開催したのですが、お客様の課題について良いネタがたくさん出てきました。百貨店にはお買い場がたくさんあるので、それぞれで面白いやり方やソリューションが生まれてると思っていて。すべてを解決することはできませんが、テクノロジーを使った課題解決が増えていけば、百貨店はもっと楽しい場所になると確信しています。
百貨店において、アイデアは無限なはず。例えば、婦人服のお買い場では、お客様のサイズを計測して適切なサイスの商品を提供するとか、化粧品のお買い場では、肌に悩んでいるお客様に対する提案をするとか、食品のお買い場では、データを参考にしながら週ごとにイベントを開催するとか。
それらのアイデアを元に、スモールスタートのプロダクトを作り、上手くいったらもっと拡充していく。失敗するケースも多々あると思いますが、それはそれで良しとして、サービスをどんどん増やしていきたいですね。お客様を知った上で何を解決していくかを考えて、プロトタイプを作るというプロセスを回していきたいですね。
■「新たなお買い物体験のイノベーションを担う」というミッション
1673年に三越ができましたが、その当時はイノベーションだと言われていました。だから私たちは、2020年代において、新たなお買い物体験のイノベーションを作らなければならないと思っています。とにかく、百貨店の面白いところは、お客様と接点があること。お客様の接点を大切にして、お客様を中心に物事を見ることができれば、お買い物がもっと楽しくなるのではないでしょうか。
ただ、これらの課題について、ITの力だけでは絶対に解決することはできません。ITのメンバーとお買い場のメンバーをミックスしたチームを作ることが理想的だと思っています。モチベーションが高い少人数のチームをたくさん立ち上げて、一週間単位で迅速に回していくような体制にしていきたいですね。
そのため、「百貨店をもっと盛り上げたい!」「お買い物を楽しいエンターテインメントにしたい!」というパッションを持っている人を私たちは求めています。また、失敗しても許される環境なので、パッションさえあれば活躍することができると思いますよ。お客様が「買って良かった」と帰り道に思っていただけるような最高の顧客体験を、一緒に作っていければと考えています。