AIがもたらすファッションモデル撮影の新たな可能性
こんにちは! アイムデジタルラボの採用広報担当です。
アイムデジタルラボでは「伝統×テクノロジーで小売の未来を切り開く」というビジョンのもと、テクノロジーを使った新しいお買い物体験を提供しています。
今回は2024年3月に、三越伊勢丹の撮影スタジオ「ISETAN STUDIO」の新たなサービスとしてローンチした”AIモデル撮影サービス”をテーマに、導入に至った背景やリリースに至るまでのプロセス、そして今後の展開について、立役者であるアイムデジタルラボメンバーの長峯(前回のインタビューはこちら)と柏木に詳しく聞きました。
テクノロジーで工数を削減し、最先端の撮影サービスを提供
ーー まず、お二人の自己紹介をお願いします
長峯:アパレル販売員としてキャリアをスタートした後、ファッション業界に特化したECシステムの会社で、WEB制作・倉庫管理システムなどアパレル事業の一括支援に携わり、その後アイムデジタルラボに転職しました。現在は、三越伊勢丹の撮影スタジオ「ISETAN STUDIO」で、社外向けの撮影サービスの営業推進の役割をになっています。
柏木:前職は生活雑貨の製造と小売りを行う企業で、販促企画や撮影のディレクションなどを担当していました。店頭とECをつなげるためのOMO施策や、販促プロモーションの経験を活かしてアイムデジタルラボに転職。現在は「ISETAN STUDIO」の撮影ディレクションを担当しています。
ーー お二人の現在の役割について教えてください
長峯:ISETAN STUDIOは、主に三越伊勢丹のECサイト「MIオンラインストア」の撮影を行っています。私のミッションは、ISETAN STUDIOを活用して社外向けの撮影サービスを拡大することです。自分たちで営業するだけでなく、パートナー企業と連携して営業窓口を設けるなど、営業の仕組化と営業ネットワークの拡充に取り組んでいます。
また、特殊マネキンや電子メジャーなど、新しいデジタル技術開発を通じ、撮影クオリティの向上や撮影工数削減の取り組みも行っています。
柏木:私は撮影のディレクションを行っています。お客様がイメージするものを表現として形にするために、課題解決型の提案を行っています。アパレルに限らず、食品などの撮影もあるのですが、さまざまな課題に対して、いかに価値提供できるかに注力しています。
AIモデル撮影サービスについても、長峯さんと協業して事業拡大のミッションを担っています。
AIがファッションモデル撮影に革命を起こす
ーー AI model社との協業でスタートしたプロジェクトについて概要を教えてください
長峯:“AIモデル撮影サービス”は、AI技術によって各ブランド専属のファッションモデルを生成するサービスです。ブランディングやプロモーションの最適化、ECサイトや店頭でのインタラクティブなショッピング体験や顧客に合わせたスタイリング提案、撮影におけるコスト削減とリードタイム短縮の実現が期待できます。
AIモデルは創造性や表現の豊かさを広げて新しい価値を提供することができるため、広告業界をはじめさまざまな業界での展開が広がっています。
ーー AIモデルをサービスに導入したきっかけは何だったのでしょうか?
長峯:外部とのアライアンスを強化し、なにか面白いサービスを提供できないかと調べていたときに、AIモデルの技術を知り衝撃を受けました。AIモデル技術に可能性を感じて、長くつながりのあったAI model社さんに協業させてほしいと話を持ち掛けたのがきっかけです。
合同展示会でAIモデルのセミナーを開催するなどして営業活動を行う中、三越伊勢丹の社内でもAIモデルへの注目度が高まっていきました。2023年11月、MIオンラインストア(三越伊勢丹のオンラインストア)での採用が決まり、アイムデジタルラボが開発のサポートを担当して2024年3月に導入が実現しました。現在はISETAN STUDIOのメンバーが運用を行っており、課題感の改善をサポートしています。
ーー AIモデルの持つ可能性について教えてください
長峯:従来のモデルさんを使った撮影には、いくつかのネックがありました。使用期限が定められているので利用範囲に制約があること、また、モデルさんの拘束時間を撮影に合わせるという時間的な制約もあります。AIモデルであれば使用期限の制約が各企業に最適化できること、撮り直しの手間を省くことができること、さらにブランドがイメージする世界観を反映したモデルさんを用意できるメリットもあります。
モデル撮影において時間的、金銭的コストが大幅に削減できるのは革命的なインパクトを持っていると思います。結果としてファッションモデル撮影の裾野を拡大することにつながりますし、AIのベースモデルやパーツモデルを作るといった新たなニーズも生まれ始めています。撮影スタジオ業界そのものを成長させていく可能性も秘めています。
ーー 実際に、どのようにAIモデルを生成していくのでしょうか?
柏木:まずはお客様にモデルさんのイメージ、肌の色、年齢、髪の長さ、身長、スタイルなど要望をヒアリングし、それをもとに10パターンほどコンポジを作成します。その中から、よりイメージに近いものを選んでもらい、調整をかけていきます。
ただし、そのイメージの共有が非常に重要かつ難しいところです。例えば「抜け感」という言葉ひとつとっても捉え方はさまざま。調整したものに対して何度も修正を繰り返しながら、時間をかけて擦り合わせを行います。眉毛や顔にかかる髪の毛の形まで細かく確認していきます。
長峯:撮影自体は大きく2パターンあり、本物のモデルさんで撮影をした画像をAIモデルに置き換えるパターンと、マネキンで撮影した画像をAIモデルに置き換えるパターンがあります。マネキンの場合は、AIモデルにするタイミングでポージングをつけることもできます。いずれも撮影から1週間程度で完成します。
ーー MIオンラインストアへの導入はどのように進みましたか?
長峯:AIモデルを利用した画像は洋服の着用感やサイズ感をよりリアルに伝えることができます。ぜひ、MIオンラインストアにも導入したいと考え、いろいろな部署と連携して進めていきました。
AIモデルは初めての取り組みであり、社内の注目度も高かったので、よいものを作りたいという想いがあり、イメージの擦り合わせを何度も行いました。
MIオンラインストアのAIモデルは、マネキンで撮影を行い画像を生成します。実際のモデルさんではなくマネキンで撮影を行っているので、モデル手配の調整や撮影時間の制限はなく、商品が入荷したら都度撮影する方法を取ることができ、ヘアメイクの手配は必要なく、撮影準備のハードルを低くしています。
現在は〈リ・スタイル〉、〈プライムガーデン〉、〈クローバーショップ〉の3売場からスタートしていますが、今後はもっと多くの売場に展開していきたいです。
AIモデル撮影の先駆けとして、サービスを世の中に広めていきたい
ーー サービスの今後の展開について教えてください
柏木:もともとトルソー撮影だけだったお客様を中心に、AIモデル撮影に興味を持っていただき、多くのお問い合わせをいただいています。まずは実績を積み重ねて、AIモデル撮影サービスを世の中に浸透させていきたいです。
長峯:低コストでスピーディに導入できる点や、モデルの使用期限の制約が最適化する点はブランド側にとって非常に大きなメリットです。今後はモデル撮影にハードルを感じている個人ブランドでも気軽に導入できるようになるはずです。
アパレル撮影でのAIモデルの普及はまだこれからですが、業界の先駆けとして、より多くのお客様の撮影を行っていくことが直近のミッションです。
扱う仕事量を増やして社内の経験値を上げ「ISETAN STUDIO」のクオリティやアイムデジタルラボのエンジニアメンバーの経験値もさらに高めることに繋げていきたいですね。
ーー 最後に、アイムデジタルラボで働く魅力を教えてください
柏木:お客様に伴走していることを実感できるのが楽しいです。「こんなことできないですかね?」とお客様からいただくご相談に対して「弊社でしたらこういう風にできます」といったご提案をしてかたちにし、信頼をいただけることにとてもやりがいを感じています。
長峯:三越伊勢丹という350年超の歴史を持つ百貨店で、最新の技術を導入してブランドさんに価値提供できるのは、他社ではできない仕事の面白さ、醍醐味だと思っています。三越伊勢丹に対する信頼感や期待感を持っていただいているお客様へ、わくわくするサービスをより多く届けていきたいと思っています。
いかがでしたでしょうか? アイムデジタルラボでは、先端技術を活用しファッション業界の先駆けとなるプロジェクトを推進しています。ご興味のある方は、ぜひお気軽にご応募ください!
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