魔女宅の冒頭8分には魔法がかかってると思うはなし
お久しぶりですimdです!
今回はジブリの『魔女の宅急便』!
ジブリ作品って幼い頃から親しみがありすぎて、血液のごとく育ってしまったため好きを叫んだことはありませんでした。が、
オタクとして発信をはじめた今、改めて
「こういうところが好きーっっ!」
という言葉をしたためても良いのでは…と思いました。
とびきりの有名作品ですので、
すでに考察や感想や何もかもが溢れていると思いますが、こういうふうに思う人もいるんだなーくらいで楽しんでもらえたらうれしいです。
魔女宅は!
冒頭!
冒頭の話がしたい!!!!!!
時間をあやつる魔法の言葉がたくさん登場して、すごいと思うんです。
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⚠︎個人の感想文です
⚠︎原作書籍は未読です、すみません
⚠︎セリフは一字一句正しくない場合があります
⚠︎後半部分まで含んだ内容なのでネタバレ感想となります
⚠︎日本語は個人のニュアンスなので学問としての正しさはわかりません
⚠︎画像は全てジブリ公式サイトの画像提供をお借りしています
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冒頭8分てどこ?
というわけで、魔女の宅急便!
冒頭、記憶にございますでしょうか。
ここの、草原に寝転ぶキキから
ユーミンが流れるタイトルまで
ここが冒頭約8分です
ここに、何が詰まってるかというと
セリフに時間を感じる言葉が散りばめられていて
絵、つまり目に見える場面としては
「キキの旅立ち」という"いま"を淡々と描いているのに
セリフの言葉選びによって
“過去”が鮮明に描かれてると思うんです。
いまと過去が同時に語られている!!
見えないのに!過去が見える!!
今回この謎に迫ってみたいんです。
というわけで早速セリフを追っていきます
セリフを追いかけてみる
""で囲ったところが特に時間を感じる言葉で、
"今夜に決めた" → 今まで決めかねていたことがある = 過去
"また" → 前も同じことをした = 過去
"夕べ" → 過去の出来事
"早いもんだ" → 過去との比較
"今の世に合いません" → 過去との比較
”覚えていますよ” → 過去の記憶
全部過去〜〜!
この日本語たち、耳に入るだけで過去を同時摂取してると思うんです。
さらにここから、
お母さんにリウマチの薬をもらう患者さんであるローラおばあさんが過去を語り出します。
これはもうダイレクトに!
目をキラキラさせて…ちょっと生意気そうで…
画面は"いま"のお母さんの様子を見ながら
言葉は"過去"のお母さんの様子を聞いてる
いまと過去を…同時摂取している…
そんな"13歳の頃のお母さんの様子"から、セリフはこう続きます
続いたのは”いまのお母さんの様子"の補足情報
"しか" → 魔女の能力は他にもある
"私の代でおしまい" → 母として、魔女としての苦悩
がサラッと。これは
お母さんの頭の中の過去、と表現したらよいでしょうか。
私たち視聴者がもっている過去ではなく、物語内での常識をお母さんの人生経験の言葉で表現して、過去のと対比で"いま"の世界観設定の補強の役割があるような気がします
どんどんいきます!
次は支度をするキキとジジの会話
“あんなに急かした" → 過去との比較
あんなにが効いてますね。セリフだけで過去の情景がありありと…
次は替え玉!
はい!"未来"きました
"たら" → 未来
これは、この後のストーリーに効いてくるやつ…キキは恋愛に前向きであり興味があるという設定がさらっと仕込まれてる…
そしてお父さん登場
これは来週だから未来?かと思いきや、
“来週”行くと決めた → 過去に決めたこと
なので、過去の出来事を語られている…最近の出来事の補強かなあ
これもお父さんのセリフ。
“こりゃいかん" → これはいかん
これ=キキが本気で旅立つこと
何気ない言葉ですが、日常との比較でどれだけ本気で特別な出来事か強調されてる気がします
特にその後描かれる場面でも、
あわててキャンプ道具をひっくり返すあわてんぼうなちょっとお茶目な姿から、真面目に静かに丁寧に電話する姿、という対比をバチバチに効かせつつ、同時に近所の人も周知のことである…過去からこの日が来ることが予想されていて、かつとびきり特別であるということの重大さ、今までとの違いが温度感たっぷりに伝わってきます
“とうとう” → 過去から継続
お父さんのセリフです。キキはずっと狙っていて、大人のツールとしての憧れや何やかが詰まってる様子が伝わります
さて、次。これがとんでもなく深そうです。
“母さんの若い頃によく似てる” → 過去との比較
これなーっ!
構造としては、今までと同じなのですが、
ここだけ、少しセリフが独特というか…
父子の会話ぽくないというか…
とても不思議な印象に感じていました。
ここから妄想ですが、お父さんの心の声…?をあえて視聴者に伝えてるのでは…?と考えました。
というのも、
さっきローラおばあさんが語ってくれた『お母さんがこの街にきたストーリー』の続きを、この一言で全て完成させてると思うんです。
お母さん=魔女の少女が一人でこの田舎町に降り立った。
お父さん=少年と出会い、愛を育み、このまちで家族となり、キキが生まれ…
というのを、全部、全部回収してる気がします。(これは初見でもそう思うかはもう今となってはわからない)
ですが、なぜこの段階で、この心の声を表に出してまで、キキの両親の出会いを把握しないといけないか。これは、
物語の後半のトンボとの出会いをさらにドキドキさせるための下準備…なのでは…??
お父さんとお母さんの出会いにどこか似ていて、
上記の二人は幸せな家族となってるゆえ、
キキとトンボもきっとハッピーになるのではないか、
という、ものすごい幸せのループを感じさせる…
いや、妄想なんですけど。
妄想です。
でも無意識に未来への幸せのループを感じさせる心地よさに、何度見ても飽きないじーんとしてしまう秘密があったりするのかな…なんて思ったりもします。
「母さんの若い頃によく似てる」
この過去を全て凝縮したような、愛、家族愛に溢れた父の一言…
魔法の言葉すぎて、とんでもねえなって、思う次第です。
と妄想は膨らみますが、シーンは一瞬!!
なので、すぐ次のセリフに続きます。
”小さい頃みたいに” → 過去との比較
“いつの間にこんなに” → 過去との比較
もう、多くは語りませんけども…伝われ…この…すごさ…
そして冒頭8分、最後のシーン。
ご近所さんとキキを見送る場面です
”なら” → 過去のキキを知ってるゆえの励まし
”やだそんな古いの” → これ後述させてください
“相変わらず” → 過去との比較
“あの鈴の音も当分聞けないな” → これ後述させてください
このシーンから、ご近所さんとも仲良しだったことがよくわかります。
また妄想入りますが、
これ、おそらく魔女ではない普通の人間のご近所さんやお友達とも、打ち解け、仲良くしているという、お母さんとお父さんの人柄や努力の結果が想像できるように思います。
そして、友達。
キキと友達、子供達同士でも魔女であることが好意的、憧れもありつつ、対等に笑い合えるって、なんて幸せな日々を送ってきたのだろう…と…。
ここで思いっっきり幸せを描いておくことで、後の友達もうまく作れないしひとりぼっちでがんばらなければならないときの重みが増してると思います。
特に対比になってるのが、飛べないと気づいて坂道で特訓するシーン。
同じ夜のシーンでひとりぼっち…この重みが違うと思うんですよね…
後述1”やだそんな古いの”
先程の坂道で特訓するシーンにとてもつながる、過去と未来をつなぐセリフだと思います。
いつからあるのか、キキも見知ったお母さんのホウキ。
古くてダサい、きっとそう思っていたんだろうから新しい可愛いホウキを作った。
ここで”やだそんな古いの”とけなしたホウキ。
お母さんの作った安心のホウキ。
それが折れる。
心を折る演出をこの時のホウキが手伝ってるのがすごくたまらない、たまらないです。
後述2“あの鈴の音も当分聞けないな”
このセリフ〜〜〜!これは…またすごい…
先程の「ご近所から愛されてる」を強めるパワーが半端ない。
あの鈴をつけたのは誰か、なぜ付けたのか。
また妄想ですが、
キキが空飛ぶ練習をずっとしていた幼い頃に、
おそらく器用ではなく挫けそうになった時があったかもしれない。
少しでも練習が楽しくなるように、ご近所さんが提案したかもしれない。
実際誰かが木に登って、つけた鈴。自分の土地でない、遠くの木にまで…何個も…何個も…
キキのために。
ゴーゴーキーキー!の掛け声も、旅立ちの日用ではないだろう、きっと不器用な魔女であるキキをみんな小さい頃から応援してたんじゃないかって…
いや勝手に過去が、いくらでも温かな過去が想像できる。
風鈴が迷惑な都会と違うような…温かさを表現するセリフとアイテム「鈴の音」鈴…すげーよ…
おつかれさまでした!
というわけで、
お疲れ様でした!!!!!!!
この後のシーンは
ジジ!ラジオつけて!
からの、イントロ、からの、満月で、タイトル…
このタイトルの入りもまたいいですよね〜〜!!
曲がラジオから…なんて自然で美しいんだ、完璧すぎる、ビューティフル、エクセレント、スタオベが止まらない………!!!!!!!
というわけで、魔女宅の冒頭、約8分の出来事です、信じられない
この過去編だけで映画1本分ある気がする
せまる人生での大きなイベントである13歳の旅立ちの日を、
それぞれが期待に、
厳かに、不安に、心配に、憧れに、穏やかに、優しく、むかえる。
なんて解像度が高い冒頭8分なんだ…
というわけで、妄想をたくさん含んでいますが、
この冒頭8分の世界がたまらなく好きなんだ!!!
という叫びでした!
ありがとうございました imd
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