アスベスト含有建材の事前調査について
大気汚染防止法改正に伴い、令和5年10月1日以降に着工される建築物の解体・改修工事から、アスベストの有無の調査を有資格者が行うことが義務付けられます。
これに先立ち、令和4年4月1日から、建築物等の解体、改造又は補修工事等を行う前に実施する石綿含有建材の事前調査が義務化されました。また、一定規模以上の工事を行う場合、当該調査結果を石綿含有のあるなしに関わらず都道府県等に報告する必要があります。(大気汚染防止法第18条の15第6項)
携帯電話基地局工事は、
①コンクリート柱タイプの基地局
②鉄塔タイプの基地局
③ビル屋上に設置する基地局
④建物等構内サービスのための基地局
の基本的に4パターンです。
今回のアスベストの事前調査は③と④の基地局に該当します。また、③、④の基地局でも、建物や内装材、区画貫通処理材に穿孔や切削、除去が発生しないもの(単に置くだけのようなケース)は該当しません。
よって、建物や内装材、区画貫通処理材に穿孔や掘削、除去が発生する場合は、事前調査が必要となります。
事前調査は書面調査と現地調査が必要です。
書面調査を行い、当該建物が2006年(平成18年)9月1日以後に設置の工事に着手した建築物や工作物であることが設計図書等の書面で明らかである場合は、書面調査のみで構いません。
なお、事前調査に関する発注者への説明、行政への事前調査結果報告、記録の作成・保存等、調査結果の掲示などは必要です。
【事前調査結果の発注者への説明】
元請業者は、発注者に対し、事前調査の結果を書面により説明する必要があります。(電磁的方法により書面を発行し説明することもできます。)
◆説明時期 ◆
1.届出対象特定工事に該当する場合
次のいずれか早い日までに。
解体等工事(特定建築材料の除去以外の工程を含む。)の開始日
特定粉じん排出等作業の開始の日の14日前
2.届出対象特定工事に該当しない場合
解体等工事の開始日までに。
【事前調査結果報告(令和4年4月1日以降着手の工事)】
令和4年4月1日以降に着手する工事について、元請業者又は自主施工者は、事前調査結果の整理など必要な作業を行った上で速やかに(遅くとも解体等工事に着手する前に)、事前調査の結果を行政に報告する必要があります。
◆報告の対象となる解体等工事◆
①建築物の解体作業を伴う建設工事で、当該作業の対象となる床面積の合計が80平方メートル以上であるもの
②建築物の改造・補修作業を伴う建設工事で、請負金額が100万円以上であるもの
③特定の工作物の解体・改造・補修作業を伴う建設工事で、請負金額が100万円以上であるもの
◆報告の方法◆
原則として、石綿事前調査結果報告システムから行うこととされています。
【事前調査に関する記録の作成・保存、記録の写しの備え置き】
元請業者又は自主施工者は、事前調査に係る各種事項(大気汚染防止法施行規則第16条の8で規定)の記録を作成し、解体等工事が終了した日から3年間保存する必要があります(電磁的記録を使用して保存することもできます。)。
また、元請業者又は自主施工者は、事前調査に関する記録の写しを当該解体等工事の現場に備え置く必要があります。
【事前調査結果の掲示】
工事現場において公衆に見やすいよう、次に掲げる事項について、日本産業規格A3判以上の大きさの掲示板を用いて掲示する必要があります。
①事前調査の結果
②事前調査を行った者(元請業者又は自主施工者)の氏名又は名称及び住所(法人の場 合は代表者氏名も記載)
③事前調査を終了した日
④事前調査の方法
⑤特定工事に該当する場合は、特定建築材料の種類
【作業方法等の掲示(特定工事に該当する場合)】
実施しようとする解体等工事が特定工事に該当する場合は、前述の「事前調査結果の掲示」だけでなく、次に掲げる事項を表示した掲示板の設置が必要です。
なお、前述の「事前調査結果の掲示」、作業方法等の掲示、石綿障害予防規則などの他法令に基づく掲示を一つにまとめて掲示することもできます。
①特定工事の発注者及び元請業者又は自主施工者の氏名又は名称及び住所並びに法人に あっては、その代表者の氏名
②届出対象特定工事に該当する場合にあっては、届出年月日及び届出先
③特定粉じん排出等作業の実施期間及び方法
④特定工事の元請業者又は自主施工者の現場責任者の氏名及び連絡場所