電気工事士等資格不要の「軽微な工事」や「軽微な作業」とは?
電気工事士等資格不要の「軽微な工事」や「軽微な作業」について、判断に困った事はありませんか?
電気工事士の資格が不要な「軽微な工事」や「軽微な作業」については、ネットでググってもなかなか適切な回答がアップされておりません。
経済産業省のサイトに記載のある以下の資料をみても、実態に即した回答になっていません。
電気工事士等資格が不要な「軽微な工事」とは
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/electric/files/1-3keibi.pdf
これらを参考に実態に即した見解をまとめてみました。
【質問1】
以下の電気工事士不要の軽微な工事の条項により、RM工事で用いられるCVケーブルのELBや機器への接続作業も「軽微な工事」として扱えるか?
①電圧600V以下で使用する差込み接続器、ねじ込み接続器、ソケット、ローゼット、その他の接続器又は電圧600V以下で使用するナイフスイッチ、カットアウトスイッチ、スナップスイッチその他の開閉器にコード又はキャブタイヤケーブルを接続する工事(電気工事士法施行令第1条)
【見解1】
軽微な工事となる対象は、コード又はキャブタイヤケーブルを接続する場合に限られ、コード又はキャブタイヤケーブル以外でこれらに接続する場合(CVケーブル等を接続する場合)は電気工事士等資格が必要となります。
【質問2】
以下の電気工事士不要の軽微な工事の条項により、整流器の電源コネクタへのCVケーブル接続、ブレーカ、スマメ等へのCVケーブル等の接続・取外し作業は「軽微な工事」として扱えるか?
②電圧600V以下で使用する電気機器(配線器具を除く。以下同じ)又は電圧600V以下で使用する蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル及びケーブルを含む。以下同じ)をねじ止めする工事(電気工事士法施行令第1条)
【見解2】
ここで言う『電気機器』は、電気用品安全法施行令別表第1第6号から第9号まで及び別表第2第6号から第11号までに掲げる以下の交流用電気機械器具をいいます。
別表第一
六 電熱器具
七 電動力応用機械器具
八 高周波脱毛器
九 第二号から前号までに掲げるもの以外の交流用電気機械器具であつて、次に掲げるもの
(一) 磁気治療器
(二) 電撃殺虫器
(三) 電気浴器用電源装置
(四) 直流電源装置(交流電源装置と兼用のものを含み、定格容量が一キロボルトアンペア以下のもの)
別表第二
六 小形交流電動機
七 電熱器具
八 電動力応用機械器具
九 光源及び光源応用機械器具
一〇 電子応用機械器具
一一 第三号から前号までに掲げるもの以外の交流用電気機械器具
以上より、整流器の電源コネクタへのCVケーブル接続、ブレーカ、スマメ等へのCVケーブル等の接続・取外し作業は該当しません。
【質問3】
以下の電気工事士不要の軽微な工事の条項により、需要家設備内に設ける「電力量計」及び「電流制限器(アンペアブレーカー)」へのCVケーブル等の接続・取外し作業は「軽微な工事」として扱えるか?
③電圧600V以下で使用する電力量計、電流制限器又はヒューズを取り付け、又は取りはずす工事(電気工事士法施行令第1条)
【見解3】
「電力量計」及び「電流制限器(アンペアブレーカー)」は、電力会社が契約電力に基づき需要家宅等に設置する機器である場合は、需要家設備でないため、電気工事士法の対象外となります。
「電力量計」等を需要家設備内に設ける場合(子メータ―として設置する場合等)は電気工事士法の対象となります。
【質問4】
以下の電気工事士不要の軽微な作業の条項により、整流器等へのCVケーブル等の接続・取外し作業は「軽微な作業」として扱えるか?
【見解4】
「軽微な作業」は以下に定められた作業である。
(軽微な作業)
第二条 法第三条第一項の自家用電気工作物の保安上支障がないと認められる作業で
あつて、経済産業省令で定めるものは、次のとおりとする。
一 次に掲げる作業以外の作業
イ 電線相互を接続する作業
ロ がいしに電線を取り付け、又はこれを取り外す作業
ハ 電線を直接造営材その他の物件に取り付け、又はこれを取り外す作業
ニ 電線管、線樋ぴ、ダクトその他これらに類する物に電線を収める作業
ホ 配線器具を造営材その他の物件に取り付け、若しくはこれを取り外し、又はこれに電線を接続する作業
ヘ 電線管を曲げ、若しくはねじ切りし、又は電線管相互若しくは電線管とボックスその他の附属品とを接続する作業
ト 金属製のボックスを造営材その他の物件に取り付け、又はこれを取り外す作業
チ 電線、電線管、線樋ぴ、ダクトその他これらに類する物が造営材を貫通する部分に金属製の防護装置を取り付け、又はこれを取り外す作業
リ 金属製の電線管、線樋ぴ、ダクトその他これらに類する物又はこれらの附属品を、建造物のメタルラス張り、ワイヤラス張り又は金属板張りの部分に取り付け、又はこれらを取り外す作業
ヌ 配電盤を造営材に取り付け、又はこれを取り外す作業
ル 接地線を自家用電気工作物(自家用電気工作物のうち最大電力五百キロワット未満の需要設備において設置される電気機器であつて電圧六百ボルト以下で使用するものを除く。)に取り付け、若しくはこれを取り外し、接地線相互若しくは接地線と接地極とを接続し、又は接地極を地面に埋設する作業
ヲ 電圧六百ボルトを超えて使用する電気機器に電線を接続する作業
二 第一種電気工事士が従事する前号イからヲまでに掲げる作業を補助する作業
2 法第三条第二項の一般用電気工作物の保安上支障がないと認められる作業であって、経済産業省令で定めるものは、次のとおりとする。
一 次に掲げる作業以外の作業
イ 電線相互を接続する作業(電気さく(定格一次電圧三百ボルト以下であつて感電により人体に危害を及ぼすおそれがないように出力電流を制限することができる電気さく用電源装置から電気を供給されるものに限る。以下同じ。)の電線を接続するものを除く。)
ロ がいしに電線(電気さくの電線及びそれに接続する電線を除く。ハ、ニ及びチにおいて同じ。)を取り付け、又はこれを取り外す作業
ハ 電線を直接造営材その他の物件(がいしを除く。)に取り付け、又はこれを取り外す作業
ニ 電線管、線樋ぴ、ダクトその他これらに類する物に電線を収める作業
ホ 配線器具を造営材その他の物件に取り付け、若しくはこれを取り外し、又はこれに電線を接続する作業(露出型点滅器又は露出型コンセントを取り換える作業を除く。)
ヘ 電線管を曲げ、若しくはねじ切りし、又は電線管相互若しくは電線管とボックスその他の附属品とを接続する作業
ト 金属製のボックスを造営材その他の物件に取り付け、又はこれを取り外す作業
チ 電線、電線管、線樋ぴ、ダクトその他これらに類する物が造営材を貫通する部分に金属製の防護装置を取り付け、又はこれを取り外す作業
リ 金属製の電線管、線樋ぴ、ダクトその他これらに類する物又はこれらの附属品を、建造物のメタルラス張り、ワイヤラス張り又は金属板張りの部分に取り付け、又はこれらを取り外す作業
ヌ 配電盤を造営材に取り付け、又はこれを取り外す作業
ル 接地線(電気さくを使用するためのものを除く。以下この条において同じ。)を自家用電気工作物(自家用電気工作物のうち最大電力五百キロワット未満の需要設備において設置される電気機器であつて電圧六百ボルト以下で使用するものを除く。)に取り付け、若しくはこれを取り外し、接地線相互若しくは接地線と接地極(電気さくを使用するためのものを除く。以下この条において同じ。)とを接続し、又は接地極を地面に埋設する作業
ヲ 電圧六百ボルトを超えて使用する電気機器に電線を接続する作業
===条文おわり===
よって、自家用電気工作物、一般用電気工作物とも、機器に電線を接続する作業は上記条文の『ホ』に該当するため、軽微な作業とは言えない。
接地線の接続、取外しも『ル』に該当するため軽微な作業とは言えない。