見出し画像

モチベーション靴を買った話

ここ最近、私の勤務先が時代に逆行するが如くフル出社になった。

それまではハイブリッド型で出社リモートが半々くらいで、私にとって理想に近い働き方が出来ていたのだ。しかし悲しきかな。盛者必衰。諸行無常の響きあり、と言うことで私のユートピアは音を立てて崩れ去った。

恥ずかしい話だが、心身共に結構食らった。
元々新卒の頃はコロナ前で普通にフル出社していたので当時のスタイルに戻るだけなのだが、出社しなくても成り立っている業務をわざわざ出社して行う不条理に堪え難さがある。ましてや、その背景がなまじ精神論ベースと言う事なので尚更だ。

人間とはたくましいもので、そうなればそれに適応するためのモチベーションを探し出すものである。そこで、私は靴にそれを見出す事にした。

「イケてる靴を履いて、それに俺のモチベ全部詰め込めばええんちゃう?」
という事で半ば自己暗示でもある。

私は魑魅魍魎の有象無象が住まうインターネットを奔走し、情報収集に明け暮れた。明け暮れた結果、至高の一足を見つけるのに2ヶ月もかかってしまったというのはここだけの話である…。

X-ALP LEATHER / SALOMON

巷でサロモンと言えば、XT-6やACS PROが最近の流行りだろう。テックスタイルの足元として、タウンユースにも引っ張りだこな印象がある。私もInstagramで100回以上は見かけた。しかし、このX-ALPについては極端に情報が少ない。
理由は単純で、タウンユースするには性能がガチ過ぎるのだ。つま先の部分にプロテクション、ソールの性能、テキスタイルの堅牢さ、それに伴い重量も450gくらいあって普段使いを考えると少しオーバースペックである。しかし、正直ハイクやトレッキングに履くにはややもったいないような洗練された佇まいがあり、私はこれをガシガシ普段使いしているというわけだ。


扱いが難解で有名なサロモン公式クイックシューレース

デフォルトでは普通の紐が付属していて、これの質感や太さも大変素晴らしい。しかし、サロモンは全体的に細めの作りになっていて少し脱ぎ履きが大変だったりする。(普段26.5〜27だがサロモンに関しては27.5を購入している。)なので、私はクイックシューレースに付け替えているのだ。

サロモンストア渋谷店に買いに行った時の話だが、スタッフの方が
「付属の説明書がとても分かりづらいので、YouTubeとかで調べてやるのがオススメですよ!」と爽やかに言っていたのが面白かった。
実際に調べてみると、クイックシューレースの取り付け方の動画が複数ヒットする。私もそれらを参考に取り付けたわけだが、確かにIKEAの説明書並みの情報量しかないのと、シンプルに作業が難しい部分があって初見殺しだった。

タイトルが穏やかではない。


やや細身な作りでその分包まれている感がある。この肉厚感伝わるか。


収まりが良い。この美的センスはおフランス様ならではでしょうか。


リサーチの過程で、HOKA、OAO、Merrell、MIZUNO、NewBalance、ASICS、On、ROA、Reebok、PUMA、Adidas、Nike、OnitsukaTiger、KEEN、Oakleyなどとにかく調べまくったので、副産物としてスニーカー勢力図がだいぶインプットできた。今のところ特に役には立っていない。


以下、番外編として好んで愛用してる靴を列挙していこうと思う。

シングルモンクストラップ / Dr.Martens

これは数年前にメリカリで購入したもの。
学生時代からマーチンは愛用していて3ホールとブーツはよく履いていたが、ある時から黄色いステッチが忌々しく思い始めそれが施されていないものを購入。外で履いているとまず被らないので気に入っている。

この前に銀座を歩いていたらすれ違ったインド系カップルに「それクールだね!どこで買ったの?」と声をかけられて「Um…」とか言いながら「中古なんだ」と伝えるなど、グローバルコミュニケションを生む力もあるようだ。

と、書いていたところでmonkって「僧」を意味するからインドらへん由来なのか?と思い調べてみたところ、「修道士」の方が由来との事でした。ヨーロピアンですね。

購入時点ですでに履き込まれていて良い味がでている。

普通の3ホールはつま先がややもったり丸みを帯びているのに対し、この個体は少しシュッとしていて野暮ったくないのが上品で、でも尖り過ぎてはいないのがかなり良い。


だいぶ摩耗しているかかとが気になる。

ストラップの金具とかかと部分にロゴの刻印。これは現行のモデルではなかなか見られない。イングランドの強い主張を感じる。

PASTANI / KLEMAN

またまたフランスの選手。いわゆるポストマンシューズ。
主にスーツを着る時用の革靴として購入。紳士服チェーンにあるような軽くて柔らかい物では無く、しっかり革でちゃんと履き潰せるが値段は可愛い革靴を探していて見つけた物である。就活時に使い倒して、これは2代目。


外羽根プレーントゥ。内羽根が最もフォーマルだとは知らなかった愚かな就活時代。

ちゃんとワックスで磨けば良い感じに輝いてくれる。革靴磨きの面白さを教えてくれたのも今思えばこのKLEMANだったかも。会社に不満しかなかった新卒の頃は、革靴のきったない営業部の上司を内心見下していたような気もする。なんてひどい革靴ルッキズムだろうか。


全体的にミニマルで好き。

KLEMAMはPADRORというチロリアンシューズの型が有名で、Parabootには手を出せないが良いチロリアンが欲しいという事であればうってつけだと思う。
私が買った頃は無かったが、ここ最近公式オンラインショップをオープンしていたので日本市場が意外とアツいのかもしれない。


993 "Taupe" / NewBalance

言わずと知れた名作スニーカー。
Aimé Leon DoreとNewBalanceのコラボである。スニーカー好きの間でも人気のあるナンバーで、プレ値がついたり偽物が出回ったりしている。私はスニーカーラバーではないのでこういうコラボとかには基本疎いのだが、これに関してはいかんせん配色が良すぎるのである。初めて箱を開けて実物を見た時は思わずため息が出た。このグレージュみたいな色が最高にラブリー。ちなみにNのマークは小さければ小さいほど良いと思っている。


ここまでくると履かないで家に飾っておきたい気持ちが高くなってくるが、絶対に雨の降らない日にのみ慎重に履くようにしている。一見奇抜な色だが、意外と合わせやすいので使いやすかったりする。

993は元々ランニングシューズの系譜として開発された事もあって、コラボ云々を抜きにしても普通に靴としての性能がめちゃくちゃ高い。故に、履き心地の良さは言うまでも無いが、それにこのデザインが加わると履いている時の全能感が凄まじい事になる。具体的には、いつもより財布の紐が緩くなるなどの症状がある。


NewBalance、他にも良いなと思うモデルがたくさんある。例えばAURALEEの1906Rとか、KITHの1000、JJJJoundの2002Rなど、これも調べ出すとキリが無いし、可愛い物は大体値段が可愛く無い。


以下、番外編の番外編である。

ダウンサンダル / SUBU

靴というか私の室内履きである。寒がりマンなのでこれを室内で履いているのだ。今シーズンも最近履き始めた。私の認識する限りでは、ダウンサンダルの火付け役はSUBUなんじゃないかと思っている。キャンプなんかで履く人が多いイメージだが、だとすればNANGAとコラボで出していた難燃性の物が良さそうだ。


内側はほんのり起毛していて裸足で履いても心地よい。というか、むしろ靴下を履くと少し滑る感じがあったりするが、室内で履く分には何の問題も無い。元々屋外用に作っているだけあって保温性に関しては申し分無く、むしろ室内履きとしての完成度がかなり高いのではと思っている。その割には価格も高く無いのと、カラーバリエーションも豊富なので人を選ばず、プレゼントにも使えそうだ。


というわけで、モチベーション靴に端を発し、ただの靴紹介記事になった格好である。書いていて思ったが、冒頭のサロモンは夏にも履いていられるのだろうか。真っ黒だし、ちょっと暑そうな気がする。また別のモチベ靴を買わなければいけないかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?