短編漫画「NOTEBOOKS」ができるまで❶/着想〜ネーム(途中まで)編
歩です。
コルクラボマンガ専科での課題もこれで最後。最終課題は32Pのバディ漫画(のネーム)を描くこと。それがこの半年間学んだことのの集大成、という感じ。
制作前に決めたのは、この作品で新しい扉を開けること。というかマンガ専科自体、人生を変えるために応募しました。そして、BREAK THE BORDERに活かしたかったから。
思いがけず受講してから知ったのは、漫画の世界基準が縦スクロール・オールカラーになってきているということ。へえ、そうなのか…
以前カラー漫画を描いていた僕は眠っていた気持ちに火をつけられてしまい、最終課題は縦スクロール・オールカラー漫画にチャレンジしようと決めたのでした。そういう新しいチャレンジこそ、本当に次の扉を開けてくれるだろうなと思ったから。
で、ちょうどいいところに見かけたLINEマンガ大賞にこの漫画を応募すればいいじゃん!となったのがここ最近。何か目標があったほうが頑張れますからね…もし間に合わなかったとしても何かしらの展開はしたい。
というわけで、まだネーム途中ですが短編漫画「NOTEBOOKS」の制作過程を、工程ごとにリアルタイムでお届けしていきます。ちなみに、課題締め切りには全パートは間に合わず、、最初と最後の部分だけ提出しました 笑
ここからはもう自分が納得するところまで描くぞ…!という感じです。
制作過程なだけにネタバレ全全全開なので、あとで読むのを楽しみにとっておきたい方はここで引き返しましょう٩( ᐛ )و
では行きます。
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題材を決める
そういえば最初は題材候補としてこんなスケッチを描いていた。
これはこれで超ぼんやり構想がある話なのだけど、たぶん短編向きじゃないので今回は却下。(初老の大人と子供の話という意味ではちょっと共通点があるな…)
じゃあ、短編が1作描けそうなほど愛着あるテーマってなんだろう…と考えた時に、前からノート(手帳)を題材にした漫画を描きたいと思っていたのを思い出した。
僕は高校時代からずっと日記を書いている。毎日ではないし、数ヶ月空くこともあるけど。とくにここ10年くらいは、日記だけでなく将来の夢や、作品のアイディアノート、仕事のことを書くノート、などカテゴリごとに1冊ずつ使い分けているくらい身近で、大事なアイテムだ。
で、ついでにメーカーも決まっている。モレスキンというブランドのノートブック。ここ10年くらいはずっとこれ。たぶん生涯これ。
ただの真っ黒な(最近は色んなカラバリが出ている)ノートなんだけど、だからこそ持ち主によって使い方に相当な個性が出る。そこにとてもドラマがあるアイテムだ。表紙に好きなシールを貼ったり文字を書いたり、中に何を書くかも自由だ。絵や旅行記、ライフログとしてチケットや写真、切り抜きを貼る人もいる。
うん、これでいこう。ノートを題材にした漫画を描こう。
グッと来る案を探る
題材が決まったところで次はどんな話にするか。全く何も決まってないのでとにかく連想ゲーム的にポンポン書き出してみた。ちゃんと短編を描くのが久々すぎて、ノウハウなどない。
こんな案使わないだろうなーという突飛なものとかクソ案もあえて出してみる。このやり方はかなり有効だった気がする。使えそうな案/明らかに違う案を一覧で見ていると、どの案に自分の心が反応しているかわかるから(僕は直感でいろいろ決める)。単純に頭のストレッチみたいなとこもある。最初からキメにいこうとしてしまうと変に緊張してしまうし、いいことが全くない!個人的に一番頭が働くな〜と思うアイディア出しのお供アイテムは付箋。付箋がないと生きていけません…。
バディ漫画だから交換日記なんかもいいなと思ったり、SF的なのもアリだなーと思いつつ、一番グッときたのがノートを拾った人と、そのノートの持ち主との話だった。本来人に読まれる前提で書かれたものでないものが、読まれてしまう…それだけでもおもしろい。
一緒にノート持ち主を探す"同行者との"バディ漫画もありだし自然だなとは思ったのだけど、なんだか普通でピンと来なかった。うーん、漫画だからこそできること…ノートの中で想像上の持ち主と交流するってのは?いいんじゃない?バディ漫画感あるし、絵的にも面白そうだ。絵的に面白いってめちゃ大事。
絵的に〜の観点で、じゃあノートに何が書かれていたら面白そう?と考えてみる。これも色々考えてみたが、旅行記が一番ピンときた。旅行とくれば、チケットや写真や、なんか旅先で手に入れたショップカードとかシールとか色々貼り込んだりして面白そう。表紙にもかなりその人の個性が出るのがノート。もう、表紙で趣向がわかるくらいがいいでしょうよ。
旅行記だと良いなと思ったもう1つのポイントは、絵的に飛躍があること。カラー漫画になるのだし、どこかで転調がほしかった。この話をなんの工夫もなしに描こうとすると延々と「ノートを読んでいる主人公」の画が続くことになるのだが、それが面白いわけが…ない!!描く側も、読む側も。自ら作画辞退してやる。
描くのは大変そうだけど青空や海や、旅行先の色んな景色が出てきたら鮮やかな印象になりそうだ。今のご時世もあって、読者の旅行したさをちょっとだけ満たせるような作品にもなったらいいなと思った。
というわけで、てきとうにサムネイルでイメージを描いてみる。ぼんやり主人公も、持ち主も男性と決まった。ロードムービーっぽい雰囲気だったら素敵だなぁ。ふたりで並んで歩いている後ろ姿とかもあったら最高だ。
・(何かの拍子に)ノートを手にした少年が、
・読み込むうちその世界に入り込んでしまい、
・ノートの中の青年と交流するうち彼に会いたいと願うようになり
・最後には持ち主を見つけ出し、ふたりは歳の離れた友人となる
ざっくりそんな話になりそう。と、同時に「ノートを書かなかった人(主人公)が、ノートを書くようになる」話にしようと最初に決めた。
↑この絵を描いたのは2月末くらいだったんだけど、今振り返ってみると最後のほうのシーンのイメージはこの時からはっきり固まっていたみたい。
プレイリストを作る
漫画を描くときに、だいたいイメージが見えてきたら必ずやるプレイリスト作成。これはまだ漫画を描かずに漫画の設定だけは考えまくっていた子供の時からやってるかもしれない。やらないと気が済まないのでもう癖のようなもの。
音楽は漫画に登場しないけど、大いにイメージを膨らませてくれるし、何より楽しい。
今回は男2人の話なので、意識したわけじゃなくとも男性ボーカルでちょっと渋めの曲やギターの曲、旅っぽい開放感ある曲などが並んでいった。
大半は自分で選んだものだけど、このチョイスを汲んで自動的に似た雰囲気の曲をおすすめしてくれたりする(かなり精度高め)のがサブスクのよいところ…!そんな調子で現在進行形で延々と曲が増えていく。
ストーリー構成
マンガ専科を通して学んだのが「型」という概念。これに自分の描きたいストーリーを当てはめていく。
*講義動画はYoutubeで公開されているので、マンガ描きの人はぜひご覧ください↓
32Pの中で、だいたい4P刻みで物語が展開していく。全員この型に描きたい物語を当てはめていって漫画を作るのだけど、本当に人によって全く違うものが出てくるので面白かった。
❶情報
❷コレドナ感(これからどうなる)
❸主人公がしたいこと
❹相手のしたいこと or 壁
❺対立 or 葛藤
❻キャラの深部
❼クライマックス
❽いい余韻
最初に提出した32P配分表がこちら。正直この時はまだ全然時間を使えてない&没入できてなかったので、あくまで「とりあえず提出するために書いたざっくり案」という感じ。今見ると要らないものとか、よくわからんものがいっぱい入ってる…!!
のちのち、冒頭の「お父さん」には全く愛着が持てなかったのでご退場いただいた。ていうか、終盤の銃口を向けるって何wwその謎設定はいらんwこれもカットだ。
こういうざっくり・ぼんやりした所からストーリーを整えていったり話の説得力を磨いていったりする。次の次の章で改めて何が描きたくて、何が不要なのかはっきり・スッキリさせていく。
キャラクターデザイン
これも最初はぼんやりしているので、とりあえず手を動かしてみる。
そう、最初は本当に描いてみないとどんな奴かわからない。
だいたい決まってきたキャラデザがこちら。
悠人(ゆうと/主人公)
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