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北海道一人旅 総括
空港の外に出ると、そこは日本ではなかった。
北海道はまだ蝦夷地だから外国です。土人が住んでいました、と主張をしたいわけではない。単純に、外国人観光客で溢れかえっていた。平日だし空いてるだろ、と言う算段は、2、3年前までは通用したかもしれないが、今はもう時代遅れだった。小樽に向かう電車の中、豊平峡温泉や支笏湖に向かうバスの中、夜景を見るために乗ったロープウェイの中、どこにいても私は独特な4つのアクセントを持つ言語から逃れることはできなかった。日本の経済を回してくれてありがとう。謝謝。そういえば春節でした。そりゃ混むわな。
外国人だから嫌だったとかそういうことでは全くなく、人が少ない北海道を気ままに回って、地元の人や店の人と会話なんかしちゃってる自分を想像していたもんだから、出鼻を挫かれた気分だったというだけだ。あと、人混みが苦手な自分には単純にキツかった。
そんな始まり方だったが、旅自体は楽しかった。初めての一人旅のプランは、ナッシング、マジでノープランだった。宿すらとっていなかったため、カラオケ館と快活クラブを駆使して寝床を確保した。が、次回からは流石に宿は取ろうと思う。理由は単純。隣の部屋で粉雪が熱唱されている中、睡眠など取れるはずがない。ちなみに前泊も含め、八重洲、すすきの、札幌駅前、千葉駅前のカラオケ館で宿泊したが、すすきの店が意外にも一番きれいで使いやすかった。札幌駅前店は古いが、ソファが柔らかく睡眠をとるにはちょうどよかった。参考までに。今更だが、札幌に下宿している友達に会いがてら泊めてもらえばよかったと後悔。次は会おう。
全部語ると長いので、何個か印象深かったものをピックアップ。1日目は小樽を周ったが、北一硝子が素敵だった。食器だけでなくネックレスやシャンデリア含め全部が美しく魅力的だった。目に留まるような輝きを放ち、それでいて繊細で脆いというギャップにも萌え萌えきゅんだ。運河の通りはあまりに人が多く一人で歩くには難易度が高かったので、一本外れた誰もいない通りをのこのこ歩いていたのだが、そこにあったスイーツ屋でプリン大福なるものを発見し即購入。文字通り大福の中にプリンが入っているのだが、これが背徳感も相まってとても美味しかった。そのあと小樽中をぐるぐる、気づいたら20km歩いていた。
2日目のハイライトは上の写真にもなっている豊平峡温泉。まさに写真のような感じ。露天風呂に入った時はちょうど雪が降っていて、幻想的な雰囲気だった。湯加減もちょうどよくリラックスできた。めちゃくちゃおすすめ。定山渓温泉も有名だが、豊平峡温泉の方が人が少なそうだった。穴場かも。正直札幌は他にあんまり観るところはなく、ずっと何かしら食べていた。食べ物は、悔しいが美味かった。全部美味かった。
3日目は支笏湖に行ったが、ここがかなりよかった。湖は視界に収まりきらず、それを囲む山々は雪で覆われていて、まるでスイスにでもいるかのような絶景だった。スイスに行ったことはないが。だが何よりも思い出深いのはヒメマスだ。ヒメマスは支笏湖の名物らしく、それを使った天ぷらそばを食べたのだが、これが北海道で食べたものの中で一番美味しかった。店を調べていなかったこともあってあまり期待していなかったのだが、お店のおばちゃんに誘われるまま偶然入った店がまさかの大当たりだった。ありがとうおばちゃん。
その後帰りの飛行機が遅れ、終電にはギリ間に合ったものの自宅までは帰れず、途中の千葉駅前のカラオケ館で一夜を過ごした。成田空港からJRの駅まで全力疾走したことは忘れ難い。帰るまでが遠足です、はあながち間違ってないな、なんて思いながら走った。これも良き思い出。