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ファンドレイジングを社会とのコミュニケーションと捉えると、やるべきことがわかる


今回のnoteは「儲けの科学」を参考に作成しました。

どんな寄付者が増えて欲しいのか、そしてどう変化してもらいたいのかビジョンを持とう

寄付獲得に向けたファンドレイジングは、「寄付者の開拓」と「既存寄付者の維持」の2つになります。

寄付者の開拓においては、社会問題を解決する活動者の視点ではなく、日常生活の中で寄付をしたいと思っている人の視点を持って、どのように接点をつくっていくかを考えることが中心となります。

伴走支援の現場で、これをNPOさんに伝えるとほとんどのケースで、きょとんとされた後で、

私たちの活動を一生懸命伝えて共感を生み出します!

と言われます。

いえいえ、私が言っているのは、日常で生活されている人が寄付をするので、団体さん側からそういう方に共感することをお願いしているのです。

と返すと、再びきょとんとされます。

気候変動に関する活動をされている団体がいて、寄付者を増やしたいと思ったとします。これまで気候変動に全く関心がない人が、この活動に関心を持つのはどんな時でしょうか?

例えば、赤ちゃんが生まれて、この子が育った時に四季がある日本であって欲しいと思った親かもしれません。そうした親向けに100名限定で赤ちゃん用のスタイ(よだれかけの和製英語)をプレゼントし、申し込む際に気候変動へのアクション宣言を書いてもらい、個人情報を得ます。そして親子で参加できるイベントを定期的に開催するキャンペーンを実施し、得た個人情報に告知し、イベント参加費や寄付を獲ます。

今給黎が考えた例

どんな寄付者に支援をされたいのか、そして支援してくださっている方が1年後どのような変化をしてもらいたいのかを明確にして、そのためにどのようなはたらきかけが必要か考えることが、団体側から寄付者に共感することなのではないでしょうか。

例で挙げた、赤ちゃんが生まれた親であれば

大切な子どもの未来のために、育児が忙しい中でもできることに気づき、親子一緒に取り組めている状態になる。

今給黎が考えた例

が1年後に目指す変化です。

共感は相互に感じ合うことで、本当の共感になるのだと思います。団体側が一方的に理解されることは共感ではないのではないでしょうか。

団体は支援対象の困難を抱えている人がどうなって欲しいというビジョンはもちろん持っていますが、寄付者にどうなって欲しいビジョンやミッションも必要だと思います。でも、それを掲げている団体さんはあまり見ません。

例えば、

寄付することによって寄付者の人生の彩りになる経験を提供すること

今給黎が考えた例

といったことです。これあるだけで、メルマガや年次報告書の内容やトーンもそれに合わせたものになりますし、イベントやホームページの発信にも表れてくるのです。「なんかいいな」はこうして作っていくものなのです。

ファンドレイジングを社会とのコミュニケーションと捉えると変わる

マーケティングの本質は市場とのコミュニケーション(会話)であり、ダイアローグ(対話)です。市場と製品やサービスの声を注意深く聴いて、その姿を見て、観察し、時に優しく話しかけたり、大声で叫んだりします。つまり、常にデータを見ながらコミュニケーションすることが最高に面白いのです。

書籍:儲けの科学P56-57から抜粋

企業のマーケティングでは、市場とのコミュニケーションと位置づけられています。これと同様にファンドレイジングは社会とのコミュニケーションだと思います。

自分たちがしたことを発表することは単なる情報提供であり、それをコミュニケーションにしていくことがファンドレイジングの活動です。

単なる情報提供をファンドレイジング活動と捉えていらっしゃる団体さんが多いなと感じます。

伴走支援をしている団体さんが、これまで年次報告書をつくっていらっしゃらなかったので、作りませんか?と質問しました。すると「何のために必要なのですか?」ときかれました。

寄付してくださった方に、おかげさまでこれだけのことができましたと伝える時に、あると相手の理解が深まるからですよ。

とお伝えしました。すると、

では、事業内容を細かく説明して20ページくらいにします!

と言われました。

大口寄付をしてくださっている法人の社長さんに、ご説明に行ってお話する時に適したページ数はどれくらいですか?

と聞くと、

うーん、10ページくらいかな。相手も飽きちゃうものね。

と落ち着きました。

単なる情報提供ではなく、コミュニケーションと考えると、いろいろなことが自然かつ迅速に決められます。

ページビューがファンドレイジングとどう関係あるの?

オンラインを中心に寄付を集めていらっしゃる団体さんと話しをしていると、ページビューがこれくらいで、直帰率がこれくらいで、月別にこう変化していますとデータを見せられることが多いです。

先月より今月はページビューが30%も増えたんですよー

と言われたので、

じゃあ、寄付金額もそれに合わせて増えたのですか?

と聞くと、

それは毎月同じくらいです。

と答えられました。

そうなのですね。ではそのページと寄付は直接関係なさそうですね。寄付につながる、どの行動にそのページはつながっているのですか?

と伝えると、

それはわかんないです。

と会話が終わりました。

ファンドレイジング活動が寄付額にどれだけ貢献しているかがわからないとその活動を継続していいかどうか判断できないですよね。そのため、寄付というKGI(重要目標達成指標)に関連するKPI(重要業績評価指標)を設定することが大切になります。

ひとつ例をお伝えします。

伴走支援をしていた団体さんが月に1回発信するメールマガジンは、寄付者に送信しているのですが、発信するたびに何万円か寄付があります。

このメルマガの開封率はとても高く、滞在時間もとても長いです。皆さん読んでいるのがわかります。

このメルマガは代表さんが書いているのですが、一本書くのに何時間もかけていらっしゃいます。たまに別の方があるパートを書くことがあるのですが、全然違うのがわかるくらいです。

これはメルマガの内容が寄付に密につながっているので、時間をかけてつくる意味がありますし、その質のバロメーターとして開封率や滞在時間を見るのは意味があります。

寄付につながる意味のあるKPIを見ていくことが重要です。

団体・事業・代表者のブランド力に沿ったファンドレイジング

NPOのブランドには「団体のブランド」、「事業のブランド」、「代表者のブランド」の3つがあると思います。

日本の学習支援をしているNPOは?と聞かれてぱっと思い浮かぶ団体に入っていれば団体のブランドが強いです。

NPO法人◯◯といえば居場所事業とアウトリーチ事業が強いとぱっと浮かぶ団体でしたら事業のブランドが強いです。

子どもの貧困問題に積極的に取り組んでいるのは◯◯さんとぱっと浮かぶようであれば代表者のブランドが強いです。

このブランドが強いところから寄付が集まりやすいので、団体設立当初は代表者の関係者から寄付が集まることが多いです。

そして組織が成長していくにつれて、団体のブランド、事業のブランドが強くなっていきます。それに合わせて団体で寄付集め、事業で寄付集めをしていけると寄付額は上がり続けます。

しかし、団体が成長しているのに寄付額の上昇が止まってしまっている団体は、代表・団体・事業が別々に寄付集めをしていることの表れです。ファンドレイジングは横糸として機能させなければいけません。

代表は寄付を迷っている人に寄付してもらう決断をさせる力があります。事業には社会を変える活動として人を納得させる力があります。団体には継続的に活動をしていく安心感をえてもらえる力があります。

事業・組織・代表が連携してファンドレイジングを行うことが大事になります。

事業と組織でファンドレイジングできている団体は強い

伴走支援で様々な団体さんを見てきましたが、事業と組織が力を発揮しているファンドレイジングは強いです。

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