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NPOの組織と個人のパーパスをみんなで考える研修を実施させて頂いたので、その共有

団体設立時に代表や理事が中心となってつくったビジョンやミッションを、設立5年や10年をきっかけに「みんなでつくったビジョン・ミッション」に変更したいと思う団体さんは多いです。

なぜ変更したくなるかというと、➀活動を続けているうちに事業や活動領域が拡がり、設立時に思い描いていたビジョン・ミッションでは捉えらないものが出てしまうことや、➁活動年数を重ねることで、設立当時のことを経験していないスタッフやボランティアが増えてきて、「その団体らしさ」がわからなくなってしまう等、といった理由があります。

こうした背景から”みんなでビジョン・ミッションをつくろう!!”となったとしても、いきなりなにもない状況からビジョン・ミッションを考えることは難しいです。日ごろから受益者に接していたとしても、それを言語化するのはなかなかできません。その難しさゆえに、結局、何度か話合いをした上で代表や事務局長がつくった言葉に同意することになり「みんなで考えること」ができていなかったりします。

以前のnoteでは、みんなで考えるための方法について扱いました。

今回はその実践編で、2021年12月に某NPOに実施した研修内容を共有します。この団体さんは1年かけてビジョンとミッションを見直すプロジェクトを計画されており、今回が3回目の研修となります。みんなで組織と個人のパーパスを考えていったプロセスを見て頂ければと思います。

組織と個人のパーパスを考える研修の内容

研修の参加者には初めてパーパスを聞く方や、ビジョンとミッションとパーパスのつながりを知らない方もいらっしゃいましたので、前半はそこを説明していきました。

なぜビジョン・ミッションをつくるためにパーパスを考えないといけないのか?

みんなでビジョンとミッションを考えていくには、その土台となっているパーパスを考えていくことが大切ということを説明していきます。

なぜ個人と組織のパーパスを考えないといけないの?

パーパスの大切さを理解してもらった上で、組織のパーパスを考えるためには個人のパーパスを捉える必要があることを伝えていきます。

パーパスって何?

組織と個人のパーパスがどういう構成なのかを説明していきます。この団体さんのケースでは、前回・前々回の研修で、個人と組織の社会的意義について触れてきたので、今回の研修では”自身の価値観””組織の価値観”にフォーカスしていくことを伝えました。一般的なケースでも、NPOは活動と社会的意義が密接に関係していることが多いので、個人と組織の価値観に重きを置いて扱うのがいいかなと思います。

本日のワークショップの流れ

今回の研修は5時間の研修でしたので、まず最初に”自身の価値観”を考えてから”組織の価値観”をみんなで考える順番で進めることを伝えました。

皆さんにお願いした宿題

研修の1週間前に参加者に2つの宿題をお願いしていました。前日にそれを集めて研修資料に反映していきます。

宿題共有

研修前に2つの宿題を出し、その内容を研修資料に人毎にまとめておき、それを表示しながら、ご本人から全体に共有してもらいました。表示している「宿題共有」は空欄のシートですが、実際は宿題で回答されたエピソードと選んだ理由と価値観がびっしりと書かれています。

他メンバーからのフィードバック⇒自信の価値を一言で表す

研修では、本人からの共有の後に、他メンバーからのフィードバックや補足をしてもらい、それを受けた上で本人から「自身の価値観」を一言でコメントしてもらいました。このような順番にした理由は、宿題のエピソードを挙げることは皆さん比較的容易にできていたのですが、価値観を一言で表すことは難しいようだったので、皆さんからのフィードバックを受けてからであればまとめやすくなると思ったからです。ひとことでまとめるのは難しいですが、頑張ってやってもらいました。

共有タイム

全員の発表・フィードバック・自身の価値観を述べてもらった後で、改めて感想を皆で出し合いました。組織の価値観を考える前に一旦まとめの時間です。

組織の価値観を考える

共有タイムの後で、組織の価値観を言葉にしていってもらいました。研修全体でここが一番難しいところでありますが、皆さんから一人ひとりコメントをもらい、それを模造紙に書き込みながら、ああでもないこうでもないと言葉をつくっていきます。言語化が難しいところがあれば、私の方でことばを投げかけてみて、「ちょっと違和感があるな・・・」「この表現の方がいいのではないか?」など皆さんからのフィードバックを反映させて言葉にしていきます。また、全体の話を聞いた中で漏れているなと気付いたら、そのことを伝えて、団体の価値観が全部出たなと感じるまでやっていきます。

今回の研修で出た組織の活動の根底にある価値観は以下となりました。※公開について研修を実施させて頂いた団体の理事長から許可を得ております。

チェックアウト

研修が終わり、皆さんの発言内容を記載した研修資料を理事長さんにお送りしたところ、以下の感想を頂きました。

団体の価値観は例えば理事長の私が一人で決めるようなものであってはいけないわけです。そういうことをすると、メンバー一人ひとりに話を聞くとそれぞれ全然違ったことを言われる、というようなことにつながります。

しかし今回、研修の中で丁寧に個人の価値観が何でそこからつながる団体の価値観とは何かを導き出していただいたおかげで、うちの法人メンバーがみんな共通して大事にしてきたことが明らかになりました。

全部読んでみても、本当にうちらしい、と思えます。

さいごに

研修を振返って、よかったと思ったのは、今回のnoteでは共有できなかった”個人の価値観”のところ。皆さんが一人ひとり持っている価値観を全員と共有できると、だからあの時ああ言ったんだ!と後追いで言動の理由がわかってお互いの理解が深まります。この深まりが連帯感を生んだり、団体らしさにつながったりするのだと思います。

今回実施させて頂いた団体さんとは伴走支援で長くおつきあいしているので、研修の内容や進め方は参加メンバーに合わせてカスタマイズしています。一般的なケースに適応できるかどうかはわかりませんが、同様の研修を実施したいと考えている方は是非ご参考にしていただければと思います。

私はNPOの伴走支援をしています。このnoteを読んで関心を持った人はホームページからお問い合わせください。


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今給黎 辰郎(いまきゅうれい たつお)
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