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計画ー行動ー計画ー行動と短絡的になっていませんか?組織学習からみたNPOの伴走支援~書籍:チームコーチング 集団の知恵と力を引き出す技術から 学ぶ~

NPOの伴走支援をしていく中で、「まずはやってみましょうか」と行動を促したり、「マニュアル化して新しく入った人でもわかりやすくするタイミングでは?」と形式知化することを勧めたり、「これまで得たことを研修化して新事業にしましょう」と団体に蓄積された知識やノウハウを展開することをアドバイスしたり、「まずは複数人で研修に参加して勉強してみましょう」と体系的な知識を得てから行動に移るのがよいのではないか?と問いかけたりします。この使い分けは団体さんがどのような状態であるかによって判断しているのですが、その団体の状態を理論的に説明していた本がありましたので、紹介します。

この本のP176にチームの定義が記載されています。

共通の目的を持ち、アクションラーニングおよびアンラーニングを通じて、互いや自分自身、チーム、さらにチームが機能するより広範囲に及ぶ組織の成長への責任を積極的にとろうとする人々の集団である。

チームコーチング――集団の知恵と力を引き出す技術 P176から抜粋

このチームの定義で触れられているアクションラーニングのサイクルの各局面は以下の4つで、このサイクルをまわしながら、個人的および集団としての基本能力を発展させ続ける必要があると本書では言っています。

チームコーチング――集団の知恵と力を引き出す技術 P178から抜粋

「それってよくいうPDCAを回していくといいよってこと?」と思われた方はその通り!本書では少し回りくどい言い方でしたが、アクションラーニングはPDCA(Plan Do Check Action)を回していくことで、より効率的に仕事ができるようになったり、より本質的な取り組みができるようになることです。

アンラーニングはPDCAが何度も回って組織の中で無意識的に定着したものを一旦手放して、新しい知識や考え方で捉えなおしたり、新しい目標設定をすることを指します。

アクションラーニングとアンラーニングの2つが円滑にできるようになることを「ダブルループ学習」が可能になった状態と呼びます。それができるようになると自律的に組織と個人の成長ができるようになるので、その状態を伴走支援をしていくことを通じて実現できたらいいなと思っています。

少し話を戻して、アクションラーニングのPDCAの話はもう何十年も前から言われていますが、まだ様々なところで言われ続けています。それだけPDCAをまわすことは難しいのです。

アクションラーニングの難しさは、チームのが特定のサイクルに留まってしまいがちであるからです。本書ではそれを5つのチームスタイルで表現しています。所属している組織を思い浮かべながら読むと、どれかに当てはまるのではないでしょうか。

チームコーチング――集団の知恵と力を引き出す技術 P179から抜粋

➀極端に実用主義的なチーム
計画ー行動―計画―行動という状態に陥っており「この計画がうまくいかなければ、また別の行動を計画しよう」という試行錯誤のレベルにいつまでも留まっている。この種のチームは「短期間の戦略で問題は解決できる」と考えがちです。
➁事後検討型チーム
行動ー見直しー行動ー見直しという状態に陥っているチーム。「うまくいかなかったことは何かをじっくりと考え、それを訂正しよう」と考えがちで、行動は間違いの訂正のみに限られる。この種のチームは「ごく最近のうまくいかなかったこと」に焦点を合わせすぎる傾向がある。
➂ひたすら理論を考えるチーム
見直しー理論ー見直しー理論という状態に陥るチーム。「物事をよりよくするためにどうすればよいかを哲学的に思索しよう。だが、その理論を試すリスクは冒さずにおこう」である。
④分析でまひするチーム
分析ー計画―分析ー計画という状態に陥っているチーム。「大きく跳躍する前に考えよう。そのための方法を計画し、さらにじっくり考えよう」と思いがちで、間違えることやリスクをとることへの恐れで学習が限定される。第三者からの「違うやり方をするための助言」や「変更のための提案」には耳を傾けるものの、それらのアプローチの失敗を恐れたり、「完璧な答えを得て自信が得られるまで他者と関わるのはよそう」と考える。
⑤全体主義的チーム
理論ー行動―理論ー行動という状態に陥っているチーム。「理論上で試してみよう。そうすれば何を決定すべきかがわかる」と思いがち。チームで決めたことだけを周囲に押しつけるためにさまざまな抵抗が生まれ、変容や全身に欠かせない「人心の掌握」に失敗しがち。

チームコーチング――集団の知恵と力を引き出す技術 P179-180から抜粋したものを編集

実際の伴走支援で出会った団体さんを思い浮かべると、とりあえず思いついた行動をひたすら続ける団体さん、やると言ってから勉強の時間が長くて実行まで1年以上かかっている団体さん、自分達の考えだけを相手に主張してケンカばかりの団体さん、自分達のやってきたことの社会的インパクトを表現することに苦手意識を持っている団体さんなど、5つのチームの特徴のどれかに当てはまることが多いです。わかっていても次の局面にいくことは難しいものです。

このようにアクションラーニングがきちんと回っていない状況は、なかなか自分達ではわかりません。なので、第三者から、団体が今どの局面にいて、次にいく妨げになっているものは何かをフィードバックしてもらいながら伴走支援をうけると、アクションラーニングを回すことができるようになります。

私はNPOの伴走支援をしています。このnoteを読んで、伴走支援を受けながら我が団体のアクションラーニングを次の局面に進めたいと思った方は以下ホームページからご連絡ください。


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