【phonicsの授業見学】

本日は、レセプション(1年生の前の学年)の子どもたちが受けているphonicsの授業見学をして参りました。Phonicsとは、英語の綴り字と発音の関係性を教える教授法で、英語圏の子どもたちが小学校や幼稚園で読み方を教えるのに使われています。先日、レセプションの保護者対象にphonicsについての講義があったのですがそちらは勘違いで受講せずじまいに。今週は実際に授業でどのように教えられているかを見学できるということで、レセプションにお子さんがいる友人に誘っていただき参加しました。朝イチの授業です。


まず出席を取ったあと、ゴルフボール大ぐらいの粘土が配られました。子どもたちは電子白板を見ながら、その粘土を手でこねます。にぎって潰したり、穴を開けて見たり。先生は手を温めて!と言っています。手先を動かして脳を刺激し、レッスンに集中できるようにしているのでしょうか?5分ぐらい、両手をそれぞれ使って粘土をこね回し、最後にまた丸めて先生のところに戻します。毎日のウォーミングアップなのかもしれません。


それから、phonicsのレッスン開始。最初は今まで習った文字について発音を練習します。フラッシュカード式に電子白板に文字が現れ、順々に子どもたちが発音していきます。母音・子音合わせてもうすでに10以上の文字と発音を覚えています。先生が手振り身振りをしながら教えていきます。


今日の新しい文字はthでした。これはちょっと難しいですよ〜と言いながら、まずは親指を立ててthumbの音だと知らせます。中には、fの音と混同してしまう子もいるようです。先生が「私の口元をよく見て」と言ってthとfの発音をそれぞれします。先生が、何が違うかを質問すると、ある子が「th では舌が突き出て、fでは舌が出ないと」と答えていました。それから、thのつく言葉をいくつか電子白板に出して子どもたちと一緒に読んでいきます。次にclothesを出して、先生が自分の洋服を指しながらこの音は何でしょうと子どもたちに質問します。thがついているので、子どもたちは迷っていましたが、多分klˈəʊ(ð)zだろうと、濁音のthを答える子もいます。先生が、濁らない方で発音すると、子どもたちから笑い声が上がります。そして、thの濁る発音は舌を振動させることを実演してみせていました。先生が最後にまとめで、thは二文字でさらに2種類の音があることを伝えます。the, theyなどの例を挙げます。


それから、文章の組み立て。単語が書かれたカードが配られ、文章を作るゲームです。クラスが4チームに分かれて対抗します。そこにも先生はひと工夫。ここまでおよそ20分近くはじっと座っていたでしょうか。4歳の子どもたちにとっては長い時間です。そして次の文章作りに取り組む前に、体を動かすゲーム。チームが列になって、その渡されたカードを一つずつ、頭の上、又の下を通して後ろの人に渡していきます(up and doun gameというそうです)。子どもの頃にお楽しみ会などでやった、一列に並んでボールを後ろに渡していくあのゲームと同じです。そして、すべてのカードが一番後ろに人に渡ったところで、文章の組み立てが始まります。


まだ、文字と発語がリンクしていない子も多く、文章作りは少々難航していました。ヒントとして、その文章を表す絵が電子白板に映し出されています。答えはA man is on the path. なのですが、聞き取った文章の意味はわかっても、発音しているのがどの言葉に当たるのかはまだ勉強中のようです。
ここまでで見学終了。


なるほど、こうやって文字と音をリンクさせていくのですね。私は発音記号なるものと、単語をとにかく覚えることでなんとなくリンクさせていたという感じです。
そして。文字と音のリンクに工夫が必要だからこそ、学校で習う意義があるのかなと思いました(そのために、1年入学を早めているのかなとも)。翻って日本では、小学校に上がる前にひらがなは読めることが暗黙の了解になっています。入学前に学校から配られるプリントにも読めることが好ましいだったかしら?書いてあります。確かに、日本語は音と文字(ひらがな)の名前が一致していて、しかも音と文字の対応もほぼ一対一だから、子どもたちにとって読み方を習得しやすいという面があるでしょう。でも、それは日本語が家庭で話されている場合に出来ること、あるいは、幼稚園や保育園に行って学ぶ機会があればできることであって、すべての家庭で当たり前に出来ることではないのですよね。これから、いろいろなバックグラウンドを持つ方々を受け入れていく上で、はたしてその前提で小学校のカリキュラムを構成して良いのだろうか、とふと考えた次第です。

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