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人生に大切なのは、何回呼吸するかではなく、何度息をのむ瞬間に出逢えるかよ。

新しいコーヒー体験とはなにか。先日アナエロビックコーヒーという嫌気性発酵を利用したコーヒーの焙煎を見学させてもらった。現地の農場にて、精製過程で酸素を抜き、嫌気性細菌による発酵を促進し、生豆に新しいフレーバーをつける。生豆の状態では特に大きな違いは視認できなかった。

アナエロビック、ドライフルーツのような甘さが感じられた。うまい。品評会のCOEでもアナエロビックが入賞しているが、その土地特有さ、ユニークさを出す試みであり、大学時代に訪れた筑波の醤油屋さんを思い出した。その蔵に住む菌が醤油をつくり、他の蔵との差異を生み出すということだった。

コーヒーは品種x気候x処理 で味が変わるわけだが、アナエロビックはその土地特有の微生物を利用するわけで、後天的なフレーバーは偶然性が多いと予想される。つまり安定的なフレーバーの付与は多大な資金と研究が必要であり、大農家のみが扱える分野になる。

バレルエイジドコーヒーという、ウイスキーを作った後の樽に保管して生豆にフレーバーをつける(着香)コーヒーがある。アナエロビックに比べるとより”後天的”な方法だが、樽についたフレーバーを付与するわけなので幾分人口的な工夫(統計)があれば、安定供給(少量)ができるように思う。

コーヒーもワインもカカオもその土地の特性テロワールを楽しむのが現在の”新しい”カタチである。フレーバーが微生物の働きに大きく依存するアナエロビックは、さらに農園と消費者を強くダイレクトに繋ぐコーヒーになる。コーヒーのユニークさが農園や処理施設により大きく影響を受けるからである。

生産過程なのか、精製過程なのか、保管過程なのか、焙煎過程なのか...化学的アプローチが新しいコーヒー体験を生み出すことは間違いない。成熟したと思われていた分野でも日々現状を打開しようと挑戦している人が、新しい世界を作り出しているんだと再認識した。そんなことを考えさせられた1杯だった。

[2020/1/4 13:36 連続ツイート]

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