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【旅日記】病み上がりの体で大山詣りと豆腐料理(神奈川県/伊勢原)

「大山詣り」をご存知だろうか?東京の人口が100万人だった江戸時代、20万人が訪れた地、それが大山である。当時、五穀豊穣や商売繁盛を願って、江戸庶民の信仰を集めていた。東京に住んでいる身としては、いつか行ってみたいと思っていて、なかなか行く機会がなかった場所だ。

お盆の週に体調を崩してしまって、1週間程度、風邪気味で仕事も休みがちになる毎日。金曜、土曜と、家で安静にしていたのだが、なかなか風邪が治らない。良くなる兆しはあるのだが、スッキリと回復しない。ずっと家に閉じこもっているのもなぁと思ってでかけた先が大山だった。

風邪を引いているのに、大山詣りって言っていることとやっていることが矛盾してない?と思うかもしれない。大山詣りは昔でこそ、山登りが必要な大変な道のりだった。しかし、現代では大山の入口までバスが、大山阿夫利神社まではケーブルカーが通っている。なので、ほとんど歩くことなくお参りができてしまうのだ。もちろん、山頂まで行こうとするとさすがに山登りが必須となるが、今回はパスした。

小田急線に乗って電車に揺られること2時間強。最寄り駅である伊勢原駅まで来た。駅前では、大山詣りが大々的に宣伝されていて、バスとケーブルカーの料金込みのフリーキップもあるとわかった。駅でフリーキップを購入し、大山行きのバスに乗り込んだ。ここまで来て、すでにふらふらだ。お昼近くの時間帯だからだろうか、思いの外、バスに乗っている人は少なく、全員が座れるくらいの人数だった。大山付近まで来ると、それなりに人がいたので、もっと早い時間から来ているか、車で来ている人が多いのだろう。

駅構内「大山、ふたたび」…とは?
駅前。ここから参道なんだろうか?
大山詣りとは?
あいにくの雨

大山のロープウェイの最寄り駅までバスで行き、そこからは歩きでロープウェイの駅を目指す。階段を登って行かなくてはならず、これは病み上がりの体にはこたえる。階段の両脇には食べ物屋さんやお土産屋さんが立ち並んでいるが、帰りに寄ろうと思ったので、素通りしてゆっくりと階段を登っていった。時間が11時近くだったので、休憩も兼ねて早めのお昼を取ることにした。お店は事前にリサーチ済みで「とうふ処小川家」という店だ。

こま参道(大山ケーブルカー駅までの道のり)
商店や食べ物屋さんが立ち並ぶ(大山ケーブルカー駅までの道のり)
「とうふ処小川家」

予約をしていなかったので、恐る恐る「一人なんですけど、入れますか?」と聞くと、椅子に座ってお待ち下さいと中に通された。玄関で靴を脱ぐスタイル。これはゆっくりできそうだが、結構待たされるのかなぁと不安に思った。5分ほど待っていると、「席のご用意ができたのでお上がりください」と階段を登って2階に通された。畳の上に机と椅子が並んでいて、2人席に座った。

1階の玄関前で待つ
2階の店の中

豆腐料理が特別好きというわけではないが、大山といったら豆腐。豆腐を食べずして帰ることはできない、という謎の使命感があった。また、体調を崩していたので、体にもいいだろうとも思っていた。豆腐のコース料理が順々に運ばれてくるのだが、どれを取ってもおいしい。豆腐ってこんなに美味しいものだったのかと改めて気付かされる。子供の頃は豆腐を美味しいと感じたことはなかったのだが、この年になるとその良さがわかるようになってきた気がする。この豆腐料理を食べるためだけに大山くんだりまで来た感じになってきた。

弾力のある豆腐。オクラに生姜が乗っていて、あっさりとした出汁がかかっている。
湯葉は噛み応えがあって、自家製のポン酢でいただく。
豆乳に浸かった湯豆腐。表面に湯葉ができるので、箸ですくって食べる。
最後につゆを入れてスープにもできる。
椀物。エビ・たら・舞茸・卵。

手前に座っている親子の話し声が聞こえてくる。「見て見て、佐川急便の人が荷物を背負って階段を登っていってるよー」「えっ?どこどこ?」私の目の前の窓から、チラリと外の様子が見えるだが、なるほど、その様子がハッキリと見える。こうやって大山の上まで荷物を運んでいるかと思うと頭が下がる思いだ。車が通れる道路もないので、人力で運んでいるというわけだ。

デザートまでしっかりと食べて、お茶を飲みながら少し休憩して腹を落ち着かせた。一階に降りてゆき、会計を済ませる。女将さんらしきお婆さんが出てきて見送りをしてくれた。なんとなく自然と「豆腐料理美味しかったです」という言葉が出た。靴を履いて頭を下げて外に出る。とても穏やかな気分だ。

豆腐屋さんから少し登ったところがケーブルカーの駅になっていた。ちょうど出発するタイミングだったらしく、席に座ることはできなかったが乗ることにした。途中駅があり、大山寺に向かう場合は途中駅で降りる必要がある。今回は体力的に行ける気がしなかったので、そのまま大山阿夫利神社まで一気に行った。途中駅で降りる人はほとんどいなく、みんな神社を目指しているようだった。

ケーブルカーの駅から神社まで、また階段になっていて、「また階段かぁ」という気持ちになった。本堂の前で二礼二拍手一礼した。それ以外、特にすることはなかったが、神社からの眺めは良く、あいにくの曇り空だったが、伊勢原の市街地が木々に隠れながらも一望できる。

また階段…
国土安泰。天下泰平。
大山阿夫利神社

30分も滞在していなかったと思う。体調も優れないので、ケーブルカーに乗ってそのまま下山してきた。帰り、大山ではきゃらぶきが有名のようで、せっかく来たので思い、買って帰ることにした。明日は月曜だが、気持ち、体が軽い気がした。こんなローカロリーの日記もたまにはいいだろう。

神社の隣が喫茶店になっている。そこにある柱時計。
ロープウェイで電車がすれ違うポイント
なにやら旅館もあるよう。いつか泊まってみたい。
きゃらぶきのお店。

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