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【食の小話】心のゆとりと生芋こんにゃく

前回の投稿からだいぶ間が空いてしまった。。。
今年は気合を入れて書く頻度を増やそう!(と、心に誓う。)

新年一発目は、味覚と食材の話。

「いま、ここ」に集中すると味覚が鋭くなる

昨年以降、時間に余裕ができてから、味覚が鋭くなった気がしている。
コーヒーの濁りの有無、野菜の味の濃さ、お米の粒の弾力、、、
口に入るものの全てが以前より鮮明に感じられる。

変なものだ。食べている時間自体はさほど変わったわけではないのに。
変わったのはきっと「心のゆとり」。「味わう」という行為は心にゆとりがないとできないものなのだ。そして「心のゆとり」というのは、いま、目の前にあるものに集中すること。

「いま、ここ」

そう、最近、いろんな本を読むと、このフレーズによく突き当たる。
瞑想やマインドフルネスの文脈で出てくることが多いけれど、私はこれを自分の日常で感じる。食事をする、読書をする、街を歩く、そんな日々の所業でもやっぱり「いま、ここ」は大事だと感じる。心を豊かにしてくれる魔法のワード。
ただこの話は書き出すと長くなるので、今日はそんな心のゆとりが気づかせてくれた新しい味覚について書いてみたい。

生芋こんにゃくとの出会い

その食材との出会いは、群馬県川場村の道の駅だった。
夏休みにふらりと寄った道の駅の野菜直売所の片隅に、ビニールパックに入った10cm角の茶灰色の物体が積み上げられていた。

「何これ?生芋こんにゃく?」
「普通のこんにゃくとなんか違うのかな?」

こんにゃくなど普段ほとんど食べない私が、どうしてこれに目を留めたのかは今でも謎だ。

見た目は普通のこんにゃくとほとんど違いはない。「生”芋”こんにゃく」という字面に感じたかすかな違和感、そしてここ群馬はこんにゃくの産地という唐突な想起が背中を押したのだと思う。

当時の記憶を頼りに検索してみたところ、その時の私が手に取ったのはたぶんコレ

田口農園さんの生芋こんにゃく(板)

川場村では、昭和初期から全域でこんにゃく芋を栽培していたらしい。そして田口農園さんも古くから川場村でこんにゃくを作っていて、農林水産大臣賞も受賞した経験があるとのこと。

そんなこととは露しらず、興味本位で人生初の生芋こんにゃくを買って帰った。そして煮物にしてみて驚いた。

「今まで食べてたのはいったい何だったのか!」

生芋こんにゃくと普通のこんにゃくの違い

生芋こんにゃくは全く違う食べ物だった。何が違うのか?

その1。歯ごたえが違う。
市場で手に入るこんにゃくのほとんどは、こんにゃく芋を乾燥させて粉にした“こんにゃく粉”を使用している。一方、生芋こんにゃくはこんにゃく芋を擦(す)って作る。そうすると、歯応えがガラリと変わる。普通のこんにゃくはプルンとして噛むと逃げる感じだけれど、生芋こんにゃくはシャクッ、サクッ、とした歯当たりで気持ちよく噛み切れる。

その2。味が違う。
ツルンとしてあまり味がしない普通のこんにゃくと違い(ゴメンナサイ)、生芋こんにゃくは土で育てられた野菜の味がする。繊維っぽさも感じられ、こんにゃくって「芋」だったんだぁと実感できる。

その3。栄養価が違う。
生芋こんにゃくには、美肌成分であり「セラミド」が多く含有されている。私にはその効果はまだ現れないけれど。

いつまで続く!?生芋こんにゃく祭り

というわけで、すっかりはまってしまった我が家の冷蔵庫にはここのところ生芋こんにゃくが常備されている。煮物、きんぴら、鍋、炒め物、田楽、なんに入れても、どう料理しても美味い。もちろん新年の雑煮にも入れた。
一度はまると飽きるまで食べるのがうちの習性なので、今は生芋こんにゃく祭り。一体いつまで続くことやら。

ほとんどのスーパーには置いてあるので(はず)、見かけたら一度試してみて欲しいと思う。普通のこんにゃくよりはちょっと高いけれど、絶対その価値はある。こんにゃく観が変わるはずだ。(表が「生芋こんにゃく」の表記でも粉が混ざっているものもあるので、裏の成分表でこんにゃく芋100%であることを要確認)

微妙に味や触感が違うので是非好みのものを見つけて頂けたらと思う。
それにしても川場村のはほんとに美味しかったなぁ。。。

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