学生でクレジットを組むのはダメ! #① 【息子への手紙】
日本信販から電話がかかってきた。
「電子ピアノの代金17万円のクレジットが、月々13,000円の15回払いとして申し込まれており、その保証人として今泉浩一様のお名前が記入されていますがご承認いただけますか」と。
「未だ19歳の大学生がクレジットの申し込みをするなんて認めない!」
と言う私の大声にお母さんは間に入って困り果てている。
「アルバイトして返すから、今度だけはお願い!」
「どうしても必要なんだ」
「真面目に授業にも出るし、単位も取って必ず卒業するから、お願い!」
押し問答のすえ、
「どうしても欲しいならその理由と、その為に払う犠牲は何かを出しなさい!」
「お前の一番大事な車と携帯電話を返すか?」
「・・・・・・」
「家に帰ってお父さんと話し合いなさい」
ということになった。
自宅に帰ってきて、
「アルバイトで返すから」
「学校に行かずにアルバイトして崩れた生活してきたのに、これ以上崩れたら卒業できなくなってしまうからダメ!」
「そんなことするなら仕送りも全部止める!」
「・・・・・・判った、バイトはしない。でも、今はもう授業も真面目に受けてるし、学校も卒業するから、それに仕送りから月に1万円ぐらい返済できるから、お願い!」
「ダメだ!」
「・・・・・・そんなら車を返すから認めて下さい!」
と、どうやら本気で欲しいらしい。
「そんなに大切なら、その前に正月に渡した本を読んでレポートを書きなさい。その結果を見てどうするか決めよう」
それから3日くらい、ナポレオン・ヒル著「思考は現実化する」を読み耽っていた君が、レポートを出してきた。
結果として、君の電子ピアノを認め、車も使わせることにしたが、親の立場からの本音を言えば、本当はそんなことは問題じゃない。
「大事なのは、君が自分の将来に対して本気で考え、取り組み、夢を目的に変えて今を行動し、楽しい学生生活を送ってくれること」であり、そんな姿の子供を応援するのが親の楽しみなのだ。
レポートで、「クレジットはもう二度と申し込まない」とあったが、学生時代にはそれが正しいが、自分で職業を持ち、返済の目途も十分に立てられるようになったら、例えば「住宅ローン」のように低利・長期で社会的にも必要なものとして国が保護したクレジット制度もあるので、よく考えて決めなさい。
いずれにしろ、「クレジットで欲しい物を先に買って、後で苦しく働く」より、「欲しい物を頭に描いて楽しく働き、お金が貯まってから欲しい物を手に入れてまた喜ぶ方が二度楽しい」と思うがどうだろうか。
また、レポートで、
「朝は7時に起き、夜は12時に寝る」
「体重を60キロにする」
「三年生では全部の授業に出て48単位取る」
「二級建築士と宅地建物取引主任者の資格を取る」
「彼女の為に曲を作り、彼女の良き理解者になる」・・・・・・等々。
本当は彼女の為にピアノが欲しいんだな。 うん、良いだろう。 若いうちは大いに女を好きになり、好かれたり、上手く行かなかったり、苦しんだりすればいい。本音が何であれ、君は私を説得する為に「思考は現実化する」を真剣に読み、今の自分に当てはめてそれをレポートした。
「もし、世の中にある全ての本を一冊だけしか読めないとしたら、どの本を読みますか」と聴かれたら、私は躊躇なくこの本を選ぶだろう。
この本には、ナポレオンヒルが23年をかけて、世界中の成功したと思われる人々にインタビューして、その人達に共通する成功のノウハウをまとめ上げたものが書かれている。
「自分の一番望むものは何なのかを知り、その為に自分は何を犠牲にしても、どうすべきか」
「夢や欲望を具体的な目標に置き換えて」
「それは何時までにするのか期限を決め」
「それを紙に書き、朝夕繰り返して読み、人に語り」
「決して諦めずにやり続ける」と、
「人は自分の思った通りの人間になる」、という実証例とそのノウハウの本であることがもう君にも判っただろう。
「どうだ、何かできそうな気がしてきただろう」
私が口癖のように言う「目先にとらわれないで、もっと遠くを見ろ! 長い目で見ろ! 大きく見ろ!」というのはこういうことを言いたいのだ。