~「思いやり」が「暮らしやすさ」を育む~【CAP第6期 ソーシャル部門共感賞】橋本葵さん訪問記
令和4年度のCampsアクセラレーションプログラム(通称:CAP第6期)では、ビジネス部門、ソーシャル部門、チャレンジ部門の3つの部門で公募し、合計36者の伴走をさせていただきました。
今回ご紹介する三良ファームの橋本葵さんは、CAP第6期の成果報告会において、聴講者の投票によって選定される「ソーシャル部門 共感賞」を受賞された方です。
「橋本さんを応援したい!」多くの方の心を動かしたその活動とは?!
CAPのその後が気になっていた今井が、現地レポートいたします!
三良ファームの目指すもの
三良ファームは、三次市・庄原市エリアをフィールドとして「農でつながるコミュニティ形成」を目指して活動中の団体です。代表の橋本さんは京都府出身、北海道の大学で畜産を学んだのち、ご縁あって三次市で和牛繁殖農家を営まれている方とご結婚され、家業を担いながら、地域のための活動も精力的に行っていらっしゃいます。
三良ファームのビジョンは、「農家良し、働き手良し、地域良し」の三方良し(triwin)を実現することです。そのために、「ミヨシのミカタ」というコミュニティを作り、農家の方、地域の方が広く情報交換できるプラットフォームを運営されています。
プラットフォーム上では、繁忙期の農家さんが短期のアルバイトを募集することができるため、ちょうど仕事が空いているフリーランスの方がお手伝いに応募されたりと、win-winのマッチングが生まれているそうです。またこれまでは、例えば「ブドウ」なら「ブドウ農家」といった同じ種類の交流が主だった農家さん同士も広くつながって情報交換できるようになり、多様な交流が生まれているそうです。
▼「三良ファーム」紹介動画はこちら
https://youtu.be/1ZC4L7mxb4w
橋本葵さんの覚悟
CAP採択当初から、橋本さんの言葉には家業や地域への想いが強くあふれていました。やりたい事がたくさんあって、でも時間が限られる中でモヤモヤする想いとも向き合われていた橋本さん。CAPの期間中、メンター役の元木さんから一番助言を受けていたのが「顧客視点」でした。“自分のやりたい事ではなく、地域の「課題を抱えている顧客」の気持ちになってサービスを研ぎ澄ましましょう“という言葉を前に、深く悩みつつ腹落ちするまで何度も面談されていた姿が印象的でした。
橋本さん自身も「課題を抱えている顧客」の立場でもあるからこそ、「自分のやりたい事」と「客観的な顧客視点」の境界線が見えづらくなりますよね。私も非常にわかります、その感覚!
でも、自分のやりたい事を何度も客観的にも見つめ直したことで、CAPの最終段階である3月頃には、言葉に“覚悟”がにじむようになっていました。
3月のCAP成果発表会では、まず取り掛かる事業を明確にし、でも他の事業も諦めず、ビジョンのために今後も邁進する覚悟を語られて、多くの聴講者の心をゆさぶりました。
採択当初、育児をしながら、働きながら参加されることを心配されていた橋本さんが、、、(感涙)もうすっかり勝手に母心でいっぱいの今井です!
現場のリアル
2023年6月某日、ついに行ってきました!三次市!”
橋本さんの家業の現場を見せていただき、“和牛繫殖農家“として感じている、和牛価格の暴落や飼料の高騰、糞尿堆肥化など、リアルな経営のお話を伺ってきました。
リアルな現場に触れ、子牛の可愛さを感じ、そして命の行く末に思いを馳せる・・・
“農業を知ってもらうことで、農業に誇りをもって働いている姿を見せることで、次世代の子供たちに農業のバトンを引き継いでいきたい”
そう語っていた橋本さんの言葉が、重みと温度感のある言葉として心に残りました。
命をいただく私たちが、もっと農家さんに感謝し、命に感謝して生きる。忙しい現代社会のなかでこうした感謝や想いを忘れてしまわないためにも、「もっと“食”に関わる生産者の方々に、“思いやり”が集まる地域をつくる」その橋本さんの使命に、改めて強い共感を覚えました。
CAPのその後
「今度、地域の方を呼んでバーベキューをするんですよ!」と語ってくれた橋本さん。農業や地域に関心のある学生さんも仲間に加わり、着実にコミュニティが広がっていることを感じました。
CAP終了後3か月の橋本さんは、少し肩の荷が下りて軽やかに、そして改めて、コミュニティづくりや人との出会いを楽しまれているようにも感じました。
橋本さんの活動が、多くの方に応援されることで、橋本さん自身がたくさんの方の思いやりに触れ、改めて地域の良さを感じられているのだと思います。
「働きやすさと子育てのしやすさは「思いやり」に左右され、
暮らしやすさにつながると知りました。
その恩恵は私だけでなく地域に広がって「人の良さ」が地域の良さだと、
皆の共通認識にすることで次世代に継いでいきたいと思いました。」
応援の力は、起業家を強くする、と私も思います。
橋本さんが、たくさんの方に応援されて活動が広がっているように、橋本さんの応援で、たくさんの方が幸せになっていく地域づくりを、私もこれからも応援したいと強く思います!
橋本さん、これからも応援しております!!!
EDITORIAL NOTE —今井のつぶやき
起業家の方にお話を伺う際は、なるべく自分の中の経験と重ねてリアルに想像をしながらお話をさせていただくのですが、改めて今回、現場を体感させていただく大切さを痛感しました。
「この見渡せる集落の中で、子供がいるのは私たち夫婦ぐらいで、ほとんど60代以上の方なんですよ」
そう橋本さんから伺ったとき、橋本さんの目指されているコミュニティづくりの難しさや、地域の距離感が一気にリアルなものとして感じられました。
広島県は広く、Campsに閉じこもっていては起業家の皆さんと同じ目線で語れない!
たくさんの場所に遊びに(いや仕事に笑)行かなければ、と決意をした今井です。
県内起業家の皆様、ぜひお招きくださいねー!!!
『“い”ま、いこ』 今井恭子
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