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山に入っては山に従う
7月に入り、1年で一番登山者の多い「夏山シーズン」を迎えます。
楽しみにしている方も多いでしょう。今年はコロナによる外出自粛もあり、例年以上に「待ちに待った」という方も多いかもしれません。
ただ、冷静な判断を忘れないでください。
人の都合
「どうしても行きたい」のには色々な理由があるでしょう。
・ずっと楽しみにしていた
・長年の夢(憧れ)だった
・頑張って休みを取った
・仲間と行けるのはこの日しかない
・せっかく来たんだし
・次はいつ行けるかわからない
・来年登れる自信がない
・今なら安く行ける
・遠くへ引っ越してしまう
・仕事(職場)が変わって、休みが取れなくなる
・SNSにのせて「いいね」が欲しい
・自慢したい
実に様々な理由を耳にします。
中には同情したくなるものもあります。
ただ、そうした様々な事情が、時に冷静な判断を狂わせることがあります。そういう時に事故が起こります。
どんな事情があったとしても、それらはすべて「人の都合」です。
山には関係ない
どんなに切実な事情があったとしても、山はそんなことを知りません。
雨
風
台風
雷
地震
土砂崩れ
増水
吹雪
雪崩
山はただ自然のままにあるだけです。
どんなに長年の夢だとしても、雨は降ります。
どんなに休みを取ったとしても、台風は来ます。
どんなに経験の浅い初心者だとしても、土砂は崩れます。
人の都合は、山には関係ありません。
山に入っては山に従う
よく「気象遭難は防げる遭難だ」と言われます。
正しい知識と情報を把握していれば、ある程度予想できるからです。
大雨が降る、台風が来る、土砂崩れが起こる・・・、それらは予想できるはずです。
中止する、撤退する、停滞する、エスケープする・・・、正しい判断をしてください。
その際、決して「人の都合」に左右されないでください。
「郷(ごう)に入(い)っては郷(ごう)に従う」ではありませんが、「山に入っては山(ありのままの自然)に従う」です。
登ろうとしている山の、最新の状況と気象情報を入手してください。
そしてどうか冷静な判断をしてください。
登山で一番大切なことは「登頂すること」ではなく「無事に下山」することなのだから。
穂高連峰では春から地震が群発しています。落石、地割れ、土砂崩れが発生し、また今後も発生する恐れがあります。
また梅雨前線が停滞し、大雨が降りました。地震で緩んだ地盤は崩れやすくなっています。
今年はコロナの影響で、いつもとは違う夏山を迎えています。
いつも以上に安全に気をつけて、山を楽しんでください。