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凪の状態

3~4年くらい前、小学校で英語を教えていた時、「鬼滅の刃」が大流行していて、子どもたちの会話についていくため、息子に借りて全巻読破したことがある。マンガはあまり読まないけど、あれは面白かった。敵である鬼ももとは人間で、悲しい過去を抱えていたり、味方の中にもいろいろな個性を持った人がいて、それぞれの人間模様を繰り広げながら成長していく姿が描かれていた。
その時、「誰推し?」という会話で盛り上がったりしたが私は断然、「冨岡さん」推し。無口で不器用だけど、温かい心をもっていて、圧倒的な強さで主人公たちを支える。その中でも凪という技が好き。静かだが最強の技。

今の心の状態は、その凪に似ている。

ここ1~2か月ほど、様々な事があり、心が動揺したり体調を崩したり、大笑いしたかと思えば落ち込んだり、アップダウンが激しくて疲れてしまったが、今まで抑え込んでいた感情が心の奥から出てきたのはとても良いことなので、それを受け止め、癒し、手放していくたびに、本当の自分に帰る感覚があった。

ここ数週間は、積極的に温泉や落ち着けるカフェに行ったり、川のそばや自然の中を歩いたり、ハーブティーや甘酒を飲んだりして心や体を癒したり、身の回りのものや感情など、いろんなものをそぎ落としたりしてきた。あまりにしんどい時はお風呂にも入れずに寝てしまう日もあったが、例え1日の中で心がざわついて落ち着かない感覚に陥ったとしても、お風呂に入れば落ち着くということも分かった。

そして、今日、お風呂上りになんとも言えない静かでおちついた気持ちになった。頭の中に「凪」というワードがうかんだ。まさに凪の状態ともいえる、静かな水面のように落ち着いた状態。

過去に、自分が動揺して心が乱れてしまうことが何度もあったような状況と同じ状況が起こったとしても、それはそれ、自分は自分、と思えている。
自分の気持ちをちゃんと受け入れた上で、相手が何を選ぼうとそれは相手の自由なのだから、そこに自分の気持ちを持っていかれる事はない。
完全に自分の人生の舵取りを自分でしている感覚があり、相手がどうあれ、自分がどう感じるか、自分がどうするかは自分次第。同じことが相手にも言えるわけで、相手の選択は相手のものだから、コントロールできないものは手放す、ということが、心底腹落ちした感覚がある。

頭でわかっているだけではまだ不十分。いらないものをどんどんそぎ落とし、本当の自分に帰っていくことで、余計な雑念が消え、凪の状態になったのだと思う。この何とも言えない心地よい感覚、覚えておこうと思った。

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