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本音なんてなかなか言えないものだから

梅雨の晴れ間。
オフィスの隅のミーティングルーム。
入社したてのわたしは、事務員さんを相手に
カウンセリングの練習をしながら
どうしても彼女におすすめの化粧品が選べないでいた。

化粧水美容液、乳液。フルラインナップでしっかりお手入れをしているけれど
基本的に最低限のお手入れしかしたくなくて
めんどくさがり。でも最近乾燥が気になって...

メイクが好き、というだけで
化粧品会社へ入社したわたし。
覚えたてのフェイシャルマッサージを忘れないようにするのに精一杯で、彼女のお悩みを聞けば聞くほどどんどん頭が混乱していく。

そんなわたしに、トレーナーはこう言った。

めいりんさん、この方の爪をみて。


当時はジェルネイルがまだ出始めたばかりの頃。ネイルサロンにいくのは芸能人か、余程美容に対する意識が高い人だけ。
事務員さんの爪にはマニキュアが美しく施され、アートまでしてあった。しかも彼女は、それをセルフで行っていたのだ。

こんなに爪の先までキレイにされていると言う事は、この方は美容がとっても好きなのよ。

え?
でも、お手入れはめんどくさいんじゃなかったの?と目を丸くしているわたしを横目に
事務員さんはトレーナーにおすすめされた
保湿パックの話をフムフムと興味深く聞き、
『次の社販で買います!』と言い残して
ウキウキと自分の仕事に戻っていった。

人の気持ちを知りたかったら聞くだけではなくて聴くこと。相手をよく観察すること。
それを、身をもって体験した出来事だった。

すっかりオンラインでのやり取りが主流となり、マスクをしたまま話す事が当たり前となった今。相手の微妙な表情を読み取るのもむずかしい。

それでもわたしたちは、
人の気持ちに共感し、寄り添う事はできる。

いくら生活様式が変わっても、
寄り添う気持ちを忘れたくないな。
画面の向こうの相手に話しかけながら、
そう思った今日だった。

【まとめ】
本音なんてなかなか言えない。
だからこそ、きちんと相手の気持ちに寄り添っていきたいと思う、今日このごろ。

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