クリエィティブという言葉の曖昧さが好きになってきた理由 ③ 撮影 前編
さて今回は撮影の段階です。
撮影日は2日間、京都市内の漆工房と南丹市にある木地作業小屋の2箇所で撮ります。不幸なことに最強寒波といわれる日がその2日間にかぶってしまいましたが…スケジュール的にもこの機会に撮ってしまいたい気持ちと、言うてもそんなに凄い状況にはならんでしょうと正直ちょっと思ってました。
ただ、一応なんか対策はしとこうかとおもって、車に機材を積み込んで東京から京都市内のホテルに向かう途中、カー用品店で非金属製のチェーンを購入しました。
また、私は普段、身軽なドキュメンタリースタイルで撮影することが多いので、今回は違うスタイルにチャレンジしたいと考えていました。
昨年、若干無謀的に(笑)中古で購入したCANONのC700FFというごついカメラと照明をセットして、どっしり構える映画のようなスタイルで撮りたいと。
ちなみにこのカメラはレンズマウント(カメラ本体にレンズを付ける形)がPLというタイプで、これが兎にも角にもお高いのです(涙)。
なのですが、せっかくなら単焦点で撮ってみたいじゃないですか(カメラマンあるある)。
なにか手はないかと思って調べたら、敬愛する撮影監督ホイテ・ヴァン・ホイテマ氏が映画テネットで昔のハッセルブラッドのレンズ使ったとあるじゃないですか!まじっすか!
ハッセルは中判といわれるタイプなので、確かに解像度はあるかもですが、いかんせん古いハッセルレンズでいけるのか…?とおもいつつレンズは資産と念じながら購入してみました。で、αのフルサイズで試し撮りしてみました(写真ですけど)。
いい…。オールドらしい柔らかめにはなりますが…確かにとてもいい。
ホイテ、有難う!
ということでerakkoさんの映像は全カット、ハッセルブラッドのレンズで撮ってます。
ちょっと脱線しました(笑)。
初日は京都市内のホテルからTABITOTEさんと合流して、南丹市の木地作業小屋に向いました。
この時点では雨が降っていて、夕方に撮影予定の「孤独も愛する器」の屋外シーンまでに止んでくれないかなぁと願いつつ到着して、柴田さんと見学で来ていたお弟子さんとご挨拶し、簡単に2日間の撮影予定を説明してから木地工程の撮影を始めていきました。
自分が想像していた状況より、柴田さんの作業をする位置が壁よりで、アングルに苦労しましたが、照明のセッティングを皆さんにも手伝ってもらったお陰で1つ1つ良い画をおさめていきました。
ただ、普段の倍は時間がかかってしまい、タイムスケジュールは確実に押していました。
昼を過ぎてから次第に雨が雪にかわり、あっという間に積もりました。
ほんまに寒波やなー!と驚きと普段雪に馴染んでいない私はちょっとテンション上がりつつも、もし明日は雪が止んだとしても、雪解けが微妙に残っている夕景はかえって微妙です。
かといってこのシーンが撮れなければプロモーション映像の狙いが成立しない。
最悪撮れなくても、インタビューと合わせて1本の映像は作れるという確信はありますが…どうせならチャレンジしたい…、
あ!むしろ雪景色の中に佇む柴田さんがこっちを見詰めている方がありやん!と気づき、急いでカメラをビニールで包んで、皆で傘をさしながら、外にカメラを構えましたが、傘が壊れるほどの猛烈な吹雪にあえなく室内に退散しました。
あんまりに凄い状況だったのでしばらくは笑うしかない感じでした。
しかし、次第に日が落ちる状況で、これは今のうちに帰らないと峠を越えて市内に戻れなくなるぞとなり、シチューを作って食べるシーンとラストの「孤独も愛する」柴田さんの演技シーンも撮らないといけないスケジュールなのですが、急いで終了して市内に戻ることになりました。
外に出ると深い溝も雪に覆われてまったく見えない状況。
柴田さん、お弟子さんの誘導で、農協さんの屋根の下まで車を移動させ、初めてのチェーンを装着しようとしますが、説明書やYouTubeの映像通りやっても上手くつきません。あっという間に日が落ちて、もはや屋根の意味をなさない吹雪のなか凍える状況下で、妙な団結感が生まれつつなんとか装着して(皆さん本当に有難うございました!)、帰路に着きました。
しかし…寒波じゃなくて、最強寒波の力を思い知らされるのはこの後なのでした。。。