第4話:EUの品目別非特恵原産地規則《繊維・繊維製品(HS第50類~第63類)》
(2021年3月、JASTPRO令和2年度 調査研究報告書『非特恵原産地規則~米国、EU及び我が国における主要製品分野に適用される非特恵原産地規則の概要と比較~』第3編第2章として公開。2022年1月19日、note に再掲。)
欧州関税法典第60条は委員会委任規則(EU)第2015/2446号第32条、第33条及び附属書22-01により実施されます。附属書22-01には第33条で言及される「類別レジデュアル・ルール」も規定されています。これらが法的拘束力のある規則を構成します。
一方、附属書22-01で言及されない品目に係る原産地規則は、WTO非特恵原産地規則の調和作業におけるEU提案が、法的な拘束力のない規則としてそのまま適用されます。法的な拘束力がないといっても、実際にその適用結果が覆るのはEUの裁判所によって欧州関税法典第60条(原産地の取得)の規定の趣旨に反する旨の判決が出て初めて可能となるので、輸出入者及び各国税関・欧州委員会にとっては「目安」として活用されます。
留意すべき点としては、拘束力のある品目別規則がHS2012年版に準拠しているのに対して、拘束力のない品目別規則はHS2017年版に調整されていることです。
ここから先は
1,307字
/
6画像
実務者向け原産地規則講座
¥500 / 月
2025年は「トランプ2.0の世界における原産地規則」を中心に連載します。このマガジンは、日本の二国間貿易のみならず、第三国間のFTAの活…
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?