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特集:米国のセンサーに関する原産国判断(第2部:イメージセンサー、モジュール)
今回は、センサー特集の第2部としてイメージセンサー及びモジュール化した半製品について取り上げます(次回は、カメラ及びカメラ・キットの予定)。
CMOSイメージセンサー(2019年10月16日、N306471)
【製造工程】
本製品は、中国にあるG社により設計され、イスラエルのウェハー製造業者によってウェハーが製造される。イスラエルのウェハーには複数のシリコンダイが含まれている。各シリコンダイは、光子を収集し、光子信号を変換及び増幅し、デジタル信号として出力できる完全な機能を有する集積回路である。イスラエル製のウェハーはG社によって中国に輸入され、テスト・検査が行われる。その後、ウェハーは中国から日本に輸出され、センサーの組立てが行われる。
日本では、ウェハーが最終的なセンサーに組み立てられる。最終組立工程では、中国で設計された日本製のセラミック・パッケージとガラス蓋が使用される。セラミック・パッケージは複数の層から構成され、各層には金属配線が含まれる。セラミック・パッケージの主な機能は、シリコンダイのパッドをセラミック・パッケージのピン/パッドに接続することであり、これははんだ付けされるか、又は後にプリント基板に接続される。セラミック・パッケージはまた、機械的な衝撃、振動、ほこり、汚染からシリコンダイを保護する役割も果たす。ガラス蓋はエポキシ又はテープでセラミック・パッケージに取り付けられる。ガラス蓋はほこりや汚染から保護する役割を果たすほか、光信号を反射を最小限に抑えてシリコンダイに伝達する。日本では、ウェハーがダイシング(個々のICチップに分割)され、セラミック・パッケージに接着され、ワイヤー・ボンディングされ、ガラス蓋が取り付けられる。
組み立てられたセンサーは、最終検査と試験のために日本から中国に輸出される。CMOSイメージセンサーは、科学用途に使用するために中国から米国に輸出される。
サイドセンシングカメラ・フォワード・モジュール(2019年12月18日、N308138)
【製造工程】
本製品はサイドセンシングカメラ・フォワード・モジュールで、自律走行が可能な車両向けに毎秒30フレームで画像データを取得するように設計されている。本製品は、車両のBピラー (前後のドアの間にある車体) に取り付けられ、前方側方の検知を90°の視野で行うよう設計されている。さらに、本製品は、ビデオ画像を取り込み、カメラの外にある場所に送信する。
対象のカメラ・モジュールの製造工程は以下の通りである。
本製品のセンサーとプリント基板アセンブリ(PCBA)はベトナムで製造され、表面実装技術を用いて28個のディスクリート電子部品が実装される。受動部品には、7個の抵抗器、7個の積層セラミックチップ・コンデンサー、3個のインダクター、及び3個のフェライトビーズが含まれる。能動部品には、多層1過渡電圧抑制ダイオード、6つの集積回路(シリアライザー/ライントランシーバー、電気的消去・プログラム可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、DC/DCコンバーター、リニア電源レギュレーター、発振器クロック、及び120万画素1/3インチ相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサーが含まれる。さらに、本製品のPCBAには、同軸電気コネクター、エポキシ接着剤、はんだ、及びバーコード・ラベルが含まれる。
中国での最終組立ては、中国製レンズから始まる。6枚のガラスレンズを含む円筒形のレンズは、韓国製プラスチック・ハウジングの上部に固定され、韓国製プラスチック・ハウジング下部にはPCBAが隠されている。その後、Oリングシール、3本の金属ネジ、エポキシ接着剤、バーコード・ラベルが取り付けられる。梱包には、カバー付きプラスチックトレイ、発泡パッド、箱、箱用ラベル、袋、テープが含まれる。
サイドセンシングカメラ・バックワード・モジュール(2019年12月18日、N308136)
【製造工程】
本製品はサイドセンシングカメラ・バックワード・モジュールで、車両の前面側に取り付けられる。本製品は、自動運転が可能な車両向けに、毎秒30フレームでビデオを撮影するように設計されている。このカメラ・モジュールは、ビデオ画像を車両のデシリアライザー集積回路に転送し、車両の電子制御ユニット(ECU)で後続処理を行う。さらに、本製品には録画機能は一切搭載されていない。
対象となるカメラ・モジュールの製造工程は以下の通りである。
本製品のセンサーとプリント基板アセンブリ(PCBA)はベトナムで製造され、表面実装技術を使用して47個のディスクリート電子部品が実装される。受動素子には、13個の抵抗器、12個の積層セラミックチップ・コンデンサー、6個のインダクター、4個のフェライトビーズが含まれる。能動半導体素子には、5個のダイオード(ツェナー、ショットキー、過渡電圧抑制、発光)、6個の集積回路(シリアライザー/ライントランシーバー、電気的消去・プログラム可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、DC/DC コンバーター、リニア電源レギュレーター、発振器クロック、及び120万画素1/3インチ相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサーである。さらに、本製品のPCBAには、同軸及びヘッダー型電気コネクター、エポキシ接着剤、はんだ、及びバーコード・ラベルが含まれる。
最終組み立ては中国で行われる。 まず、中国で製造されたレンズから作業が開始される。レンズの円筒形の筒は、韓国製アルミニウムホルダーに固定され、韓国製プラスチックブラケットがサブアセンブリをPCBAに固定する。次に、Oリングシール、2本の金属ネジ、エポキシ接着剤、バーコード・ラベルを取り付ける。最後に、プラスチックトレイ、箱、箱のラベル、発泡パッド、袋、テープを含む梱包作業が行われる。
自動車用カメラ・モジュール(2021年12月3日、N322834)
【製造工程】
本製品は車載カメラ・モジュールで、アラウンドビュー・モニター (AVM) カメラであり、車両の前部、後部、側部に搭載され、車両の周囲360度の視界を提供する。さらに、対象カメラは車両外のビデオ画像を撮影し、車両の電子制御ユニット(ECU)に送信する。
AVMカメラは、レンズ、エポキシ、PCBA、シールド缶、カバーで構成されている。PCBAの製造工程は表面実装技術で構成されており、韓国で行われる。アンダーフィル、ICT/DCテスト、ルーティング、カバーとレンズの組立仕上工程は中国で行われる。
提供された情報によると、韓国ではPCBAに45個の電子部品が搭載されている。カメラの主な機能と部品は、表面実装技術プロセスで製造されたPCBAに搭載される。同プロセスには、はんだ印刷、表面実装部品、リフロー、3D AOI(自動光学検査)、ICT(インサーキットテスト)、DCテスト、梱包が含まれる。さらに、表面実装技術は、自動機械で電子部品を組み立てるプロセスであり、部品を基板(プリント基板)の表面に配置する。
この工程では、コンデンサ(11個)、ダイオード(2個)、フィルター・ビーズ(3個)、イメージセンサー、メモリ(EEPROM)、IC電源(3個)、インダクター(2個)、OSC-クリスタル(1個)、抵抗(13個)、ベアPCB、コネクター、シールド缶などが含まれる。 カメラからの画像の取り込みと処理機能は、韓国でPCBAに追加されるイメージセンサーによって行うことができる。
韓国でPCBAが製造された後、中国に送られる。中国での組立ては、アンダーフィル、ICT/DCテスト、PCBAのルーティング、レンズ、ハウジング、シールド缶の組立てからなる。アンダーフィル/ICT/DCテスト/ルーティング工程の目的は、部品(イメージセンサーなど)とPCBの結合力を強化することである。最終組立工程は、PCBAカメラハウジング、シールド缶などを組み立てる単純な工程である。
原産国判断
CMOSイメージセンサー
改正1930年関税法第304条の原産国表示に係る法的根拠 (合衆国法典第19編第1304条)、原産国を定義する連邦規則集第19編134.1条(b)を引用し、関税率決定目的での米国判例 (ギブソン・トムセン判決、ナショナル・ハンドツール判決、アンハイザー・ブッシュ判決、ユニロイヤル判決) における「実質的変更」が名称・特性・用途の変更であることに触れ、軽微な加工では実質的変更が生じないことを述べたユニロイヤル判決に言及し、実質的変更は証拠の総合的な判断によるべきことを示し、以下のとおり決定した。
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