第4部 一般特恵制度(GSP):GSP創設の背景と制度の概要
今回と次回の2回に分けて一般特恵制度 (Generalized System of Preferences: GSP) を取り上げます。今回はGSPが実施されるに至った歴史的な背景と制度の概要について、次回は主要供与国で実施されているGSP原産地規則などについて述べていきます。
1. GSPとは何か
GSPは、開発途上国の輸出所得の増大、工業化と経済発展の促進を図るため、開発途上国から輸入される特定の産品に対し、最恵国税率 (一般に適用されるWTO税率又は暫定税率) よりも低い関税率(特恵税率) を適用する制度です。品目カバレッジは特恵供与国の事情によって異なります。先進国から開発途上国への一方的な措置(特別な恩恵)なので、開発途上国が先進国から「見返り」としての関税引下げを要求されることはありません。現在、日本、米国、EU、英国、カナダ、豪州、NZ、スイス、ノルウェー、トルコ、ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、アルメニアの14か国が実施しています[1]。米国はGSP供与を認める期限立法の延長手続きが済んでいませんが、延長が決まると失効していた期間に輸入された原産品に特恵関税の遡及適用ができます。特恵受益国は各国がそれぞれ指定しますが、2022年4月1日現在で、日本では126ヵ国、5地域に対して一般特恵関税を適用しています。その他の供与国の最新の受益国リストは各国のウェブサイトで調べる必要がありますが、2018年版の全供与国のリストが国連貿易開発会議 (UNCTAD) のウェブサイト[2]で参照できます。
GSPの実施において、一般特恵受益国・地域のうちで国連総会決議によって後発開発途上国 (Least Developed Countries: LDCs) とされる国[3]に対しては、各国とも開発途上国に適用される特恵措置に比較して格段に優遇された措置を採っています (日本では特別特恵制度という呼称で、1980年4月から実施)。特に、WTOではLDCsに対する措置が主要議題として取り上げられるようになり、2005年12月の第6回WTO閣僚会議 (香港) 宣言において、全てのLDCsに対してタリフラインで97%以上の産品について無税・無枠の市場アクセスを供与することが合意されました。この合意は既存のLDCsに対する措置を一層自由化するもので、2022年4月1日現在で、日本はLDCs (45か国) に対して少数の例外品目を除く98%の品目について無税・無枠措置を提供しています。GSPを供与している14か国のうち、EUは「武器以外のすべて:EBA (Everything But Arms)」(LDCs向け特恵制度)、米国は「アフリカ成長機会法:AGOA (African Growth and Opportunity Act)」(サハラ以南のアフリカ諸国向け特恵制度)と、GSPとは名前を異にするLDC特恵制度を運用しています。また、アイスランド、中国、韓国、インドはLDCsに限定して特恵関税を適用しています。
2. GSP創設に至る経緯
GSPは、第1回UNCTAD閣僚会議 (1964年) でプレビッシュ (Raúl Prebisch) 事務総長により創設が訴えられ、1968年の第2回UNCTAD閣僚会議の決議21 (ii) で、次の概念が確立されました。
プレビッシュ氏はアルゼンチン生れのエコノミストで、「従属理論 (dependency theory)」[4] の提唱者としても知られています。第1回UNCTAD閣僚会議が開催された1964年 (昭和39年) は、日本が経済協力開発機構 (OECD) に加盟し、国際通貨基金 (IMF) 8条国に移行して為替制限を撤廃し、先進国の仲間入りをした記念すべき年であると同時に、アジア地域で初めてのオリンピックが東京で開催された年でもあります。また、日本がGNP世界第2位の経済大国に躍り出たのは第2回UNCTAD閣僚会議と同じ1968年でした。1960年代は、戦後復興でめざましく発展した日本、西ドイツなどが台頭し始め、冷戦下とはいえ経済的には米国一極の状況に変化が生じていた時でした。そのため、先進国側にはUNCTADの場で議論されていた開発途上国支援策としての一方的な関税引下げを実施できる「国力」が蓄えられ、GSPを実施するための環境が整備されつつありました。
しかしながら、開発途上国産品への一方的な関税撤廃・引下げは先進国側のメリットが薄かったので、関税と貿易に関する一般協定 (General Agreement on Tariffs and Trade: GATT、ガット )の場で関税の相互引下げを進めるべく、ケネディ・ラウンドが1964年から1967年にかけて実施されました。その結果、開発途上国を含むガット締約国 (62か国・地域) 間で、平均約35%の関税引下げ、約3万品目について新たな関税譲許が合意されました。1960年代は、アフリカを中心に旧植民地からの独立を果たした開発途上国がガットに加盟し、影響力を行使し始めます。ケネディ・ラウンド交渉中の1965年には、ガット第4部 (貿易及び開発:第36条から第38条まで) が規定に追加され、その中でも、次の規定が第36条 (原則及び目的) 第8項として挿入されます。
このように、GSP実施をめぐる交渉は「攻め」の開発途上国側と「守り」の先進国側との攻防で、紆余曲折を経ることになります。特にガットの基本原則に関わることとして、開発途上国の製品のみに関税を引き下げるということは、ガットの最恵国待遇、すなわち無差別原則に反してしまうという問題が生じました。本来、開発途上国に対して特定産品の関税を引き下げるならば、その引き下げた後の関税が先進国を含む他のすべてのガット締約国に対しても適用されなければなりません。ガット第25条第5項 (ガット上の義務の免除を定め、「ウェーバー規定」と呼ばれる) は、
と規定されていることから、「第4部として加えられた第36条がGSPの実施に対する法的な根拠を与える」との開発途上国側の主張は先進国側を納得させるものではありませんでした。
その後、1970年の第4回UNCTAD特恵特別委員会でのGSP実施合意、1971年のガット第25条第5項の適用による最恵国原則に対する義務の免除 (10年間の暫定措置) を得て、GSP実施のための前提条件がすべて揃います。ガットの場での先進国、開発途上国双方の議論について、Kevin Kennedyミシガン州立大学教授 (当時) によるガット法制上の論点[5]を整理すると、以下のとおりです。
GSPに関連して、ガット規定の改変は、1955年の第18条 (経済開発に対する政府の援助) の修正と第4部 (貿易と開発) の追加があったが、これらの規定はガットの無差別原則を修正するものではない。第25条第5項の規定は「例外的な場合」に適用できるが、「例外」の定義は存在しない。
指定された特恵を受益する開発途上国からの産品に対する関税の撤廃又は引下げの形式を採るGSPをガットの枠内で法的効力を与えるためには、(i) ガット条文の改正、(ii) 第25条第5項のウェーバー規定に基づき最恵国待遇への免除を供与、又は (iii) 第1条の最恵国原則を暫定的に適用しない新たな特恵制度を承認する締約国団の宣言の採択の3つの選択肢が考えられたが、締約国団は、(ii) を選択し、10年間の暫定的な最恵国原則の義務免除を採択した (1971年5月)。この選択に対しては第25条第5項が「例外的な場合」と限定してあることから「例外」には当たらないとする批判があったものの、(i) は時間がかかりすぎること、(iii) の選択はGSPの恒久化につながるとして採用されなかった。この選択を受けた 「1971年6月25日付一般特恵制度に関する決定」によって、GSPの実施がガット法制上、可能となった。
ガット法制上のGSPの枠組み
GSPは、第2回UNCTAD閣僚会議で採択された内容とする。
すべての開発途上国は潜在的にGSP受益国として特恵関税の適用を受けられ、見返りとしての関税引下げを求められない。本件の義務免除は特定の開発途上国を指定せず、自ら開発途上国としてGSPの適用を希望する国が受益国となる。
本件免除は10年間の暫定的なもので、先進国に対してGSPの供与を義務付けるものではなく、GSPの供与をいつでも改変又は撤回できる。
3. GSP供与国と受益国の資格要件
GSPは、1971年7月に欧州経済共同体 (EEC 、当時6か国) によって開始され、日本はそれに次ぐ同年8月に2番目の実施国となりました。1970年代にGSPを実施した国・地域は、16に上ります[6]。GSPは特恵関税制度としてFTA・EPAと類似した構成になっていますが、交渉によって合意された協定に基づかないことから、「締約国」は存在せず、「供与国」と「受益国」が存在します。供与国にはどの国でもなることができますが、受益国は開発途上国でなければなりません。
GSP受益国であるためには、自ら開発途上国としてGSPを受益することを希望する国でなければなりません。一方、自国が開発途上であると主張しても供与国から見て十分に経済発展を遂げていると認められる場合には、特恵受益国から除外することになります (「卒業」ともいわれます)。例えば、日本では2019年度から中国、タイ、メキシコ、マレーシア、ブラジルが特恵適用除外されましたが、中国はGDPで2010年に日本を抜いて世界第2位になっており、メキシコに至っては1994年から「先進国クラブ」と呼ばれるOECDに加盟しています。ここに、GSPの柔軟性、変則性があります。
単純な疑問ですが、「開発途上国」の定義は存在しないのでしょうか。実は、存在します。OECDが政府開発援助 (Official Development Assistance: ODA) の受益資格を有する国を指定するDAC (Development Assistance Committee) リスト[7] と呼ばれるものを3年毎に更新しています。これは、十分に客観的な基準になり得ます。それでは、このDACリストにODAの受益資格を有する開発途上国として掲載されている国が受益国であることを希望すれば、GSPを享受できるのでしょうか。その回答は否です。日本がGSP特恵適用除外した上記5か国はいずれもDACリストで高中所得国に分類されますが、日本の適用除外基準は、(i) 3年連続して、(ii-1) 「高所得国」に該当するか、(ii-2) 「高中所得国」に該当し、かつ、世界の総輸出額に占める当該国の輸出額の割合が1%以上、であることです[8]。この理由は、一人当たりの国民所得がGSP受益国要件として必ずしも適切ではないからです。ちなみに、メキシコはOECD加盟国であってもGSPを供与していません。また、GSPを供与しつつ他国のGSP受益国である (EUに加盟する以前のハンガリー、ポーランドなど) こともありえます。
4. GSPの実施とその改善をめぐる攻防
GSPの制度的特徴が先進国による開発途上国の原産品に対する関税撤廃又は引下げであることは各国の制度に共通していますが、10年間の暫定措置としての先進国による一方的措置であることから、受益国リスト、特恵品目のカバレッジ、撤廃・引下げのレベル、セーフガード措置、原産地規則、原産地手続きのそれぞれがバラバラです。唯一の共通点は原産地証明書としてForm Aを採用したことです。そのため、GSPの制度的改善・調和がUNCTAD特恵特別委員会で議論が重ねられましたが、先進国側の立場として、UNCTADは交渉の場ではなく、あくまでも開発途上国側と議論し、要望を聴取する場でしかありませんでした。
開発途上国側は、ガットの場での貿易交渉において反撃に転じます。ケネディ・ラウンドの結果は、平均約35%の関税引下げを行ったとしても、その対象品目は開発途上国が輸出できる農水産品のような一次産品ではなく、開発途上国では生産できない品目が大半だったことから、開発途上国を満足させるものではありませんでした。そのため、1973年に始まった東京ラウンドでは、交渉開始時の「東京宣言」において以下の項目を盛り込むことに成功します。
交渉の目的は、・・・ (2) 開発途上国の発展の必要性を考慮し、・・・、(世界貿易の) 拡大から生ずる利益の分配にあたり、可能な最大限度において、開発途上国関心産品の市場進出条件の実質的改善及び、適当な場合にはいつでも、一次産品の安定的な、衡平な、かつ、採算のとれる価格を達成するための措置を通じ、先進国と開発途上国との間のより良い均衡を達成できるように開発途上国の国際貿易にとつての追加的利益を確保すること。
閣僚は、開発途上国がその輸出収益を増大し、その経済発展を促進するために行なう努力を援助するために実施される特別措置及び、適当な場合には、開発途上国の関心産品又は分野に対して与えられるべき優先的配慮の必要性を認める。閣僚は又、一般特恵制度の維持及び改善の重要性を認める。閣僚は更に、可能且つ適当な交渉分野において開発途上国にとって特別且つより有利な取扱いがなされる様な方法で、開発途上国に対し異った措置 (differential measures) を適用することの重要性を認める。
閣僚は、後発開発途上国の特殊な状況及び問題に特別な配慮が与えられなければならないことを認め、これらの諸国が交渉において開発途上国の利益のためにとられるあらゆる一般的又は個々の措置との関係において特別な取り扱いを受けることを確保する必要性を強調する。
こうした開発途上国の声は、東京ラウンド交渉の結果、一般に「授権条項 (Enabling Clause)」[9]と呼ばれるガット締約国団決定として結実し、ガット第1条の最恵国待遇に対する義務を恒久的に免除し、特恵供与国がそれぞれのGSP制度の下で特恵受益国の原産品に対して関税に関する特恵待遇を与えることを許容することになりました。「授権条項」は、GSPのみならず、以下についても適用されます。
東京ラウンド諸協定 (ダンピング防止、政府調達、関税評価など) に定められるガット規定に関する開発途上国への異なるかつ一層有利な待遇
関税の相互引下げ又は撤廃を目的とする、及び ・・・ 他の締約国から輸入される産品に課せられる非関税措置の相互緩和又は撤廃を目的とする開発途上の締約国間で発効する地域的又は世界的な協定
開発途上国を優遇するための一般的又は特別の措置におけるLDCs (後発開発途上国) への特別待遇
すなわち、「授権条項」は、開発途上国間の特恵制度の創設・維持に法的な根拠を与え、しかも、ガット第24条における自由貿易地域 (FTA) 締結の際に求められる厳格な要件[10]に従うべきことを定めていません。「授権条項」においては、以下の3点が求められるのみです。
開発途上国の貿易促進を企図し、他の締約国との貿易に対する障壁・不当な困難を生じさせない
最恵国ベースの関税その他の貿易制限の引下げ・撤廃への障害とならない
先進国から開発途上国に供与される措置が、必要な場合には、開発途上国の開発、財政及び貿易の要望に積極的に対応すべく改変する
このように、「授権条項」は、先進国に圧倒的に有利に働く無差別の最恵国原則に対する例外として、開発途上国がガット交渉において勝ち取ったものといえます。
5. GSPとFTA・EPAの差異
GSPは特恵関税制度の一形態なので、供与国の関税制度に組み込まれて実施され、その観点からはFTA・EPAの物品貿易章も同様な実施形態を取ります。しかしながら、両者は、根拠法令、策定方法において大きく異なります。簡単に図示すると、以下のようになります。
図表:特恵制度としてのGSPとFTA・EPAの比較表
上の図表から明らかなように、GSPは供与国が自由に制度設定を行い、改変し、撤回することができることに特徴がありますが、それ故に開発途上国側の不満も募ります。次に、GSPの実施に係る問題点を述べていきます。
6.GSPの実施に係る問題点
6.1 GSPマージンの侵蝕
1971年のGSP実施以降、東京ラウンド (1979年終了)、ウルグアイ・ラウンド (1994年終了)の2度にわたるガット多角的貿易交渉の結果、最恵国税率の関税撤廃・引下げが大幅に進みました。これは、先進国にとっては関税障壁が低くなり、歓迎されましたが、開発途上国にとっては少し複雑です。なぜならば、特恵関税とは最恵国税率の撤廃・引下げを意味するので、最恵国税率が高いほど稼げるマージンが大きく、魅力的であるからです。具体的な数字を挙げると、主要先進国の鉱工業品の平均関税率は、ガット設立当初が約40%であったのに対して東京ラウンド後には4.7%にまで下がっています[11]。ウルグアイ・ラウンドの結果、鉱工業品における先進国の無税品目は20%から40%に増え、開発途上国から先進国への高関税 (15%超) 品目での輸出比率は、9%から5%へと減少し、開発途上国製品を輸入するインセンティブが低下してしまいました[12]。
6.2 品目カバレッジ
開発途上国の関心品目は農水産品ですが、この品目分野は先進国においても国内産業を保護している場合が多く、必ずしも開発途上国の関心品目が網羅的にカバレッジに含まれているわけではありません。例外は、農業に高い競争力を持つ豪州で、既に大半の品目が最恵国税率で無税になっており、有税品目のほぼ全てをGSP無税としています。
一方、鉱工業品は、EU、日本など多くの供与国で、一部の例外品目を除いてGSPの対象としていますが、米国の場合、繊維・繊維製品、靴、鞄、時計、輸入センシティブなエレクトロニクス製品、ガラス製品、鉄鋼製品などがGSPの対象から除外されています。ただし、他の供与国がGSP税率として最恵国税率からの引下げを対象品目の競争力に応じて個別に設定している (例えば、日本は最恵国税率からの引下率20%、40%、60%、80%、100%) のに対し、米国は対象全品目が無税です。
6.3 受益国資格への非経済的要件の導入
GSP受益国は、受益国としての待遇を自ら放棄して供与国に適用除外を求めることはないので、既述のとおり、許与国が独自の基準を用いて特恵適用除外を行ないます。ところが、米国、EUでは開発途上国であること以外の基準を用いた受益国資格を採用し、特にEUではGSP特恵待遇の差別化を図っています。
まず、米国ですが、GSP受益国は法定受益国資格の要件 (例えば、その国が過去に米国人の所有物を国有化又は没収、米国人の知的財産権の侵害、米国人との有効な契約の履行の拒否又は破棄などをしたことがないこと) を基に大統領が決定します。また、受益国となるためには、国際的に認められた労働者の権利を付与するための措置を講じ、児童労働の最悪な形態を廃絶するための誓約を実施しなければなりません。さらに、大統領の裁量で、その国の経済発展のレベル、外国の産品及び投資に対して合理的で公正な市場アクセス提供の状況、知的財産権の保護のレベル等を考慮することができます[13]。
EUの場合は、特恵関税制度全般を大幅に見直した結果、1971年の実施当初の制度から大きく変遷しています。まず、2012年の改正で新基準[14]を採用し、受益国数を大幅に減らしてそれまでの177か国から2022年1月現在では65か国になっています。差別化のために創設されたGSPプラスは、2002年の3つの特別インセンティブ措置を起源としますが、2006年にGSPプラスとして再編され、2014年に更に改正されてEUの現行GSPの骨格を形成しています。GSPプラス創設の背景には、開発途上国の持続的な発展と良好な統治を確保する観点から、より優遇された関税譲許をインセンティブとして開発途上国による中長期にわたる制度改革を支援し、監視していくことなどがあります[15]。
(参考) EUの現行GSPの骨格
(i) 標準GSP:世銀基準の低中所得国を対象とし、全タリフラインベースで66%の品目について関税引下げ(2014年当時30か国、2022年現在11か国)
(ii) GSPプラス:①標準GSPの受益国のうち、EUへの輸出品目が限定的で、EUのGSP輸入の比率が低い国、②人権、労働者の権利に関する条約15本、環境、良好な統治、麻薬の生産・密輸防止に関する条約12本の合計27条約を批准した国、及び③これらの条約を適正に実施し、求められる報告・監視を受け容れ、EUによる監視手続きを受け容れる国を対象とし、標準GSPと同じ66%の品目について無税 (2014年当時13か国、2022年現在8か国)
(iii) EBA (武器以外のすべて):LDCsを対象とし、武器・弾薬以外のすべての品目に対して無税・無枠 (2014年当時45か国、2022年現在46か国)
1 UNCTADウェブサイト https://unctad.org/topic/trade-agreements/generalized-system-of-preferences
2 URL:https://unctad.org/system/files/official-document/itcdtsbmisc62rev7_en.pdf
https://unctad.org/system/files/official-document/itcdtsbmisc62rev7_en.pdf
3 以下3つの基準を満たした国がLDCと認定されるが, 当該国の同意が前提 (2022年8月現在で46か国)。
(1)一人あたりGNI(3年間平均):1,018米ドル以下
(2)HAI(Human Assets Index):人的資源開発の程度を表すために国連開発政策委員会(Committee for Development Policy:CDP)が設定した指標で、栄養不足人口の割合、5歳以下乳幼児死亡率、妊産婦死亡率、中等教育就学率、成人識字率を指標化したもの。
(3)EVI(Economic Vulnerability Index):外的ショックからの経済的脆弱性を表すためにCDPが設定した指標。人口規模、地理的要素、経済構造、環境、貿易のショック、自然災害のショックから構成。
外務省ウェブサイト (2022年8月25日付)
4 ラウル・プレビッシュによって最初に提唱されたと言われる。・・・ 国際関係論における従属論とは, 圧倒的な政治的・経済的な従属関係をいう。第三世界の低開発は彼らを支配する先進国に原因があり, この問題を解決するには, 前者の後者への従属を断ち切る必要があるというもの。http://kwww3.koshigaya.bunkyo.ac.jp/wiki/index.php/%E5%BE%93%E5%B1%9E%E7%90%86%E8%AB%96
5 Kevin Kennedy, “Special and Differential Treatment of Developing Countries”, Chapter 34 in Patrick F. J. Macrory, Arthur E. Appleton and Michael G. Plummer (eds.), The World Trade Organization: Legal, Economic and Political Analysis, Vol. I, pp. 1,525-1,570 (NY: Springer, 2005
6 1970年代のGSP供与国は、EEC、日本、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、NZ、ハンガリー、ソ連、チェコスロバキア、スイス、オーストリア、ブルガリア、豪州、カナダ、ポーランド、及び米国。
7 OECD DAC List of ODA Recipients (Effective for reporting on 2022 and 2023 flows) https://webfs.oecd.org/oda/DataCollection/DAC%20List/DAC-List-of-ODA-Recipients-for-reporting-2022-23-flows.pdf DACリストには、以下のいずれかを満たす国が掲載されます。
• 世界銀行 (国際復興開発銀行:International Bank for Reconstruction and Development) によって「低所得国」及び「中所得国」に分類される国(2016年時点の一人当たり国民所得(GNI)が12,235米ドル以下の国々)
低所得国は、2020年の一人当たりの国民所得 (GNI) が1,045米ドル以下の国。中所得国は「低中所得国」と「高中所得国」に分かれ, 前者は, 2020年の一人当たりの国民所得 (GNI) が1,046米ドル以上, 4,095米ドル以下の国。後者は, 2020年の一人当たりの国民所得 (GNI) が4,096米ドル以上, 12,695米ドル以下の国。
• 国連によって後発開発途上国 (Least Developed Countries) に分類される国
8 財務省関税・外国為替等審議会資料「特恵関税制度について」https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/customs_foreign_exchange/sub-of_customs/proceedings_customs/material/20211008/kana20211008siryo3-1.pdf
9 「1979年11月18日の異なるかつ一層有利な待遇並びに相互主義及び開発途上国のより十分な参加に関する決定 (Decision of November 18, 1979 on Differential and More Favorable Treatment, Reciprocity and Fuller Participation of Developing Countries)」 (L/4903, IBDD S26/221-223 March 1980)
10 ガット第24条第8項(b)の「関税その他の制限的通商規則が ・・・ 実質上すべての貿易について廃止」されるという要件は、(i) 締約国間の貿易の90%以上の関税撤廃を必要とし、(ii) 主要品目セクターの一括除外を容認せず、同条第5項(c)の「妥当な期間内に」という要件は、(iii) 10年を越えない範囲と解釈 (通説) されている。
11 筑紫勝磨編著『ウルグアイ・ラウンド - GATTからWTOへ -』(日本関税協会、1994年6月)56頁。
12 WTO, “Understanding the WTO”, 25頁。 https://www.wto.org/english/thewto_e/whatis_e/tif_e/understanding_e.pdf
13 米国議会調査局「Generalized System of Preferences (GSP): Overview and Issues for Congress」Updated July 20, 2022 https://crsreports.congress.gov/product/pdf/RL/RL33663
14 (i) EU及び他の先進国の海外領土・領域、(ii) EUのFTA等の特恵スキームの締約国、(iii) 世界銀行の一人当たりの国民所得で「高所得国」、「高中所得国」に3年連続で分類された国、をGSP受益国から除外。UNCTAD GSPハンドブック (2022版) https://unctad.org/system/files/official-document/itcdtsbmisc25rev5_en.pdf
15 European Commission, “The EU’s Generalised Scheme of Preferences (GSP)” (August 2015) https://trade.ec.europa.eu/doclib/docs/2015/august/tradoc_153732.pdf
UNCTAD, “Generalized System of Preferences - Handbook on the Scheme of the European Union” (Fifth edition, 2022) https://unctad.org/system/files/official-document/itcdtsbmisc25rev5_en.pdf
その他の一般参考資料:
ウェブサイト掲載情報(財務省、外務省、経済産業省、UNCTAD、WTO、OECD、European Commission、 USTR、米国議会調査局)