徳島の葬儀について
葬送儀礼(葬儀)は、地域独自のしきたりや風習による違いがみられる文化活動といえます。今回は葬儀の流れに沿って、徳島県でみられるならわしや風習をご紹介します。
【ご逝去】
講(講組/隣組/講中ともいう)に連絡:講に連絡をを入れ、受付、食事の買い出しなどの役割を分担します。
※「講」とは
徳島県では不幸事があった時に、数件の家がまとまって通夜・葬儀の準備などを手伝う「講」と呼ばれる組織があります。主として、寺院への連絡、ご葬家の神棚封じ、役所の手続き、葬列用具の準備、受付の手伝い、などを行います。仕事や用事よりも手伝いを優先する地域もありましたが、家族葬という葬儀形態の変化とともに役割がなくなりつつあります。
【ご搬送】
自宅や式場に向かう前に、故人様ゆかりの地を経由します。
宜しければこちらのnoteもご覧ください(*‘∀‘)
【ご安置】
陰膳のご準備:療養中、思うようにご飯が食べられなかった故人様に対して感謝の意味を込めてお食事をご用意します。
【お打ち合わせ】
喪主様との打ち合わせ、講組との打ち合わせ
【お通夜】
夜伽見舞い:通夜に訪れる弔問客が、喪家にお菓子や果物など食べ物を差し入れる「夜伽見舞い」という風習があります。近年では現金を夜伽見舞いとして渡すケースが増えています。
通夜振る舞い:通夜の枕経が終わった際に、参列者に対して「通夜振る舞い」と称して食事を振る舞います。最近では、一般の参列者には食事の代わりに通夜菓子をお渡しして、親族のみ食事を振る舞うことが多くなっています。現在でも徳島には、参列者全員にうどんと巻きずしを振る舞う風習が残っている地域があります。
枕返し:人が亡くなった時に、お釈迦様の故事にならい、枕を北向きにかえます。
一膳ご飯:生前使用していたお茶碗にご飯を盛り付けて、お箸を立てて枕元へお供えします。故人様のこの世での最後の食事という意味合いがあり、お通夜の作法に使われるようになりました。
枕団子:枕元にお団子をお供えします。六つ盛ることが多く、これは六道輪廻をあらわしているそうです。
納棺:徳島県の山間部では、棺の底ににおい消しや魔除けとして番茶の葉を敷き詰めて使用している地域があります。
【葬儀告別式】
門出の膳:葬儀当日の朝に門出の膳として親族やお手伝いの人たちが集まり、故人を囲み一緒に食事をとります。
食い供養とも呼ばれる風習です。現在は幕ノ内弁当のような形式が多いのですが、講組がちらしずしをふるまう地域もあります。
鉦打ち:自宅葬儀の際に葬儀の始まり、途中、終わりごろに鉦を鳴らしながら、近隣を歩きます。初めの鉦は葬儀が始まる合図、途中の鉦は焼香などの案内、終わりごろの鉦は出棺の合図と言われています。
放生の儀式:もともとは「放生会」から始まったもので、人間が生きている間に様々な命を頂いてきたことから、最後に生きたまま生き物を逃すことで功徳を積み、よいところへいけるようにとの願いを込めて白鳩の放鳥を行っています。
【ご出棺】
出棺時に故人様が使用していたお茶碗を割る(※宗派により異なります):生前に使用していたお茶碗を出棺の際に割ります。これは、この世との未練を断ち切り、成仏を願う意味合いがあります。
霊柩車が出棺する際に藁を燃やす(※宗派により異なります):出棺時に昔のかやぶき屋根を模した藁を燃やすことで、この世との未練を断ち切り、成仏を願う意味合いがあります。
出棺時に葬列を組む:出棺の際、霊柩車の後について葬列を組んで歩く風習があります。自宅葬儀が減少し、見かけることがほとんどなくなりました。葬祭ホールで葬儀を行う際にも、式場から霊きゅう車までのわずかな距離でも葬列を組んで歩くことがあります。
竹馬をまたぐ(一部地域):火葬場から戻ってから家に入る前に、竹で作った小さな竹馬をまたぐ風習があります。一説には、竹馬で結界を張り、霊が家までついてこないようにして成仏を願うためだといわれています。
竹で作った弓を葬家の屋根に投げる(一部地域):野辺送りの際に、葬列を組んだ人たちが墓地から家へ戻る前に、講組が一足先に家に戻り竹で作った弓を家の屋根に投げるという風習があります。残った家族が故人に連れていかれないように弓で守るという意味があるそうです。日本には平安時代から、弓に矢をつがえずに弦を引き、その音で邪気を祓う鳴弦といわれる弓を利用した儀礼もあります。
【お六日(初七日)法要】
祀りこぼし:通夜から葬儀におまつりしたお供え物を、お六日と呼ばれるご収骨後の法要が終わった際に、親族への土産として分けて配る風習があります。
四十九のもち:一般的には四十九日法要にお供えするものですが、お六日法要の際に四十九のもちをお供えする地域もあります。
【その他】
お十夜(真言宗):毎年10月ごろから11月にかけて行う、徳島県の一部地域に古くから伝わる先祖供養で、投げ銭供養と言われるものです。お寺に結集寺院が集まり、読経の最中に過去帳を読み上げ、参加者は亡くなった家族や親族の名前が呼ばれると、用意していた沢山の1円玉を高座(僧侶が座る場所)に投げつけるという先祖供養です。
これらはほんの一部で、書ききれないほど地域ごとの習慣や風習はあるのですが、またの機会に(*‘∀‘)
いずれの風習にもさまざまな由来があり、人が「死」を乗り越えるための工夫、遺族や故人に対しての思いやりなどの感情を、その背景に垣間みることができます。民俗学などに関心がある方にとっては非常に興味深い行事だといえます。
「講」なども激減している印象があります。地域社会の在り方の変化とともに消えゆく文化もありますが、伝えられることは伝えていきたい、と考えています。アナログで非効率的で、意味がわからないまま行っていたことでも、グリーフケア的視点でみると理に適っている要素もたくさんあります。
薄れ消えゆく風習や文化。これは、地域社会や家族の在り方の変化とともに、葬儀社がサービスを代行するようになったことも関係しているのかもしれません。実際に、「本来はご遺族(ご近所)の方が行っていたことなのですが…」と前置きして説明するサービス名目は数多くあります。
しかし、その中でも本質的に大切なモノ/コトには、ご遺族含め関係者が触れられる/参加していただける/思いをはせることができるよう、ご葬儀を企画/進行してまいります。
人の価値観は様々です。ディレクターや会社によってご提案できる内容も異なります。ご参列の方が0名の小さなお葬式から数千人規模の社葬まで、地元徳島で100年以上ご葬儀一筋のイマデヤと一緒に、ご葬儀相談をきっかけに将来・未来について考えてみませんか?
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