【北海道電力】電力株はいつ上がるのか【北陸電力・中国電力】

電力株は全体的に今年前半に大きく上昇し、5月終わりから6月はじめにかけてピークを迎えその後低迷していました。

では、電力株はもう終わってしまった株なのでしょうか。
いやいや、そんなことはないはずだというのが今回の記事です。

※私は電力株を多く持っていますので、バイアスがかかっている前提でこの記事をお読みください。


1.電力株は割安(低PER、低PBR)

まずはこちらをご覧ください。
こちらは2024/9/13の終値です。
分かりにくくて申し訳ないのですが、右の数字は左から、PER、PBR、配当利回りです。

2024/9/13の電力株

電力株の中で最もボラティリティが大きい北海道電力を見てみましょう。PER5.0倍、PBR0.76倍と明らかに割安です。

私の主力である北陸電力もPER5.6倍、PBR0.59とやはり割安です。

TSMCの進出でわいている九州電力はPER10.1倍、PBR1.10と、単純な数字だけを見ると適正水準ですが、規模やディフェンシブ銘柄ということを考えると割安に分類しても良いのではないでしょうか。

このように、PERとPBRからは電力株は全体的に割安と考えられます。

2.なぜ電力株は割安のまま放置されているのか

電力株は割安だ! じゃあ今すぐ飛びつこう! と考えるのは危険です。
割安=株価が低いまま放置されているのには、たいてい理由があるからです。

一つは福島第一原発事故の影響です。

原発事故があるまで、電力株はディフェンシブ株筆頭とみられて人気を集めていました。
ご高齢のかたは、とりあえず電力株を買っておけば安心と考える方も多くいました。
しかしながら、原発がメルトダウンをおこしたことで電力株の株価もメルトダウンをおこして吹き飛びました

福島第一原発事故の影響で、日本中全ての原発が停止し、電力会社は大きな損害を受けることになりました。

既に原発事故から10年以上も経過していますが、事故を起こした東京電力はもちろん、北海道電力も北陸電力もまだ原発が停止したままになっています。

もう一つは資源価格の高騰です。

ウクライナ戦争のはじまりと、コロナ後のカネ余りによる影響で資源価格は一気に高騰、さらには近時は歴史的円安になりました。

電力会社は、火力発電に頼る割合が大きいです。
海外から燃料を輸入してそれを燃やして発電しているので、資源価格高騰は電力会社の財務を直撃しました。
結果、電力各社は2022年に大赤字になりました。

3つ目として、近時の好景気があげられます。

電力株はディフェンシブ株です。
結局のところは安定が長所なのですが短所にもなります。
不況の時に強い株ですが、好景気の時には他の株と比べて見劣りします。

好景気の時には大きな利益をあげている商社株などに人気が集まりやすいものです。

3.電力株復活のシナリオ

さて、このように近時は踏んだり蹴ったりの状態だった電力株ですが、私は希望を持っています。
それは以下のように、電力株復活のシナリオを予想しているです。

(1)原発再稼働の流れ

福島第一原発の事故によって停止した原発の再稼働は、電力会社にとって悲願です。
原発は、火力発電と比べてコストの面で圧倒的に優れています(使用済み燃料の保管問題などを考慮すると微妙かもしれませんが少なくとも現時点でのコストでは)。

これまでは政府が脱原発へと揺れ動いていた時もありましたが、近時は、政府が原発再稼働を推進しています。

このような原発再稼働の流れは、原発が停止したままの電力会社にとって大きなプラスになるでしょう。

なお、原発の稼働状況は電力会社にとって差異があることに注意してください。
北海道電力や北陸電力は原発がすべて停止したままです。
他方、九州電力は原発がすべて再稼働しています。

私は最近、中国電力の株を買いましたが、ここは島根原発2号機の再稼働が12月に予定されているためです。

(2)電気料金の値上げ(済)

これはすでに終わったことですが、中部電力、関西電力、九州電力を除く電力各社は2023年に値上げしました。

電力会社は資源高で2022年度~2023年度にかけて大赤字になりました。
安い料金設定のままでがんばってきましたが、ついに限界がきてしまったのです。

電気料金の値上げによって電力各社の収益力はかなり改善し、資源高についていくことができるようになりました。

(3)円高トレンドで恩恵を受ける

電力会社は外国から燃料を輸入して発電します。
2022年からのすさまじいまでの円安は電力会社の収益を直撃しました。

今年は、なんと160円を突破するという歴史的円安になりました。
しかし、ようやくこの円安トレンドも終わりを迎え、円高トレンドへと移行しました。

当然、電力会社にとっては大きなメリットとなります。

(4)不況が来た場合に人気になる可能性あり

電力株はディフェンシブ株筆頭です。
現在のような好景気には見向きもされませんが、不況がくればこのような安定性が好まれます。
不況が来たときには資金が集まって株価も跳ね上がる可能性があります。

4.電力株はいつ上がるか

ではずばり、電力株はいつ上がるのかについて私見を述べましょう。
それは決算期と原発再稼働です。

全ての電力会社がそうなるとは限りませんが(とくに東京電力は復配なんてととでもじゃないですが考えられません)、上方修正・増配のポテンシャルを秘めた電力株は多くあります。

私は北陸電力、北海道電力、中国電力の株を持っていますがこれらはこういったポテンシャルを大いに秘めた株であり、決算期に株価も大きく上昇する可能性があるものと踏んでいます。

いずれ個別にまとめるかもしれませんが、私の持ち株の目論見をそれぞれ書いておきます。
なお、いずれも目標株価は1500円です。理由は50円配当で利回りが3%となる水準だからです。

・北陸電力→値上げによって財務が大きく改善。原発なしでも低コスト体質であったため、2016年3月期までは50円配当を継続。この水準まで戻る可能性あり。原発は再稼働の見込みがたっていない。

・北海道電力→ラピダスによる電力需要が現状では賄えない可能性があり、原発再稼働が急務。ラピダスは国策であり政府支援が考えられる。泊原発は裁判所によって運転差し止めがされているが、差し止めの理由は津波対策であり、裁判所の指摘に応えるべく新たな防潮堤を建設工事中。原発再稼働により50円配当に戻る可能性あり

・中国電力→島根原発2号機が12月に再稼働予定。2021年3月までは50円配当を継続、2025年3月の配当予定を10円と発表したため失望売りされた。財務の改善のためであり、原発再稼働がすすめば50円配当に戻る可能性は十分あり。

ちなみに、ご覧になってわかるとおり、私が持っている電力株はいずれも現在は低配当のものばかりです。
比較的高配当の中部電力や九州電力にいかずに、低配当のこれらの株にいった理由は、現在高配当の株は今後、配当が大きく上昇する可能性が低いのに対し、これら低配当の株は配当が2倍~5倍ほどにあがる可能性を秘めているためです。

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