東日本大震災と原子力災害からの復興に向けた「住民主体のまちづくり検討ワークショップ(福島県富岡町)」富岡町「富岡地区」「夜の森地区」合同ワークショップ開催
福島県富岡町では、令和6年度末に計画期間が終了する「富岡町災害復興計画(第二次)後期」に続く長期総合計画となる「富岡町災害復興計画(第三次)」の策定を令和5年度から6年度にかけて進めています。
私たち福島相双復興推進機構では、富岡町の住民の皆さまが中心となった「まちづくり検討ワークショップ」を開催することによって、皆さまの意見・アイデアが反映された復興計画となるよう応援しています。
富岡町にある「富岡地区」と「夜の森地区」、それぞれ地区ごとにワークショップを開催して各地区の特徴を活かした将来像(イメージ)を描きました。その後、まちの一体的発展のため両地区合同での意見交換会を実施して、そのイメージを共有、まちづくりプラン策定にむけて話し合いを進めています。
今回は、2月17日に開催された「富岡地区」と「夜の森地区」の合同ワークショップの様子をご紹介します。
ワークショップは各地区で2回ずつ行われ、住民主体によるまちの将来像のイメージ作りを進めてきました。
第1回ワークショップでは、富岡地区では将来イメージを見て、感じたこと・アイデアや活動内容・連携方法のアイデアを話し合い、夜の森地区では、実際にまち歩きをしながら現況を確認し気づいたことを共有しました。
第2回ワークショップでは、第1回ワークショップでの気づきを踏まえ、富岡地区では駅を中心にエリア分けをして、エリア毎の将来イメージや夜の森地区との連携について、夜の森地区でも駅を中心にエリア分けをして、まち歩きの気づきを「過去」「現在」「未来」に分けて出し合い、ゾーニング案を元に将来イメージ・コンセプトの意見交換が行われました。
1.各地区(富岡地区・夜の森地区)に関する意見交換
当日は 、オンライン参加を含む8班に分かれて意見交換が行われました。
「富岡地区」「夜の森地区」「富岡町全体」のまちづくり、暮らしづくりなどについての意見・アイデア出し
班ごとに出し合った、意見・アイデアの共有
幅広い年齢層の住民の皆さまが、
「みんなで」:いろいろな角度から、「活発に発言」しましょう
「楽しく」:他人の意見や考えを「否定しない」ようにしましょう
「創造的に」:様々な「アイデアを結び付け、発展させましょう
の3つの心得を確認した上で世代を超えて活発に意見を交わしました。
一部ですが、当日の意見・アイデアの内容をご紹介します。
(1)富岡地区
景観づくりにはまちの協力が不可欠。行政と町民が連携して何か一つ成功事例を。
ハコモノを建てるよりも花を植えるのにお金をかけてはどうか。美しい花を整備すれば若い人からお年寄りまで皆が楽しめるの景観をつくれる。
富岡ならではの「食」を考えると、海や川のものやワインが挙がるので、それをどう連携させていくか。海浜公園や海の家を整備して遊んで食べて体験できるような施設や、富岡でしかできないスポーツの整備づくりを。一例として、
シェアサイクルステーションを整備して、「自由」をテーマに地区内を回れるようなもの。
山の木材を使って釣り竿を作り、川の虫を使ってエサを作り、海釣りをする。冬場は山で凧を作り、海辺で上げる、というような山・川・海を一体化したアクティビティ。
堤防沿いの浜街道をツーリング・ランニングのコース。など。
さらに、QRコード付の看板を立てて、QRコードを呼び込むと設置しているアクリル板越しに昔の姿(ろうそく岩など)が見えると面白いのではないか。
また、まちづくり協議会のような、中心的な組織をつくるべき。
(2)夜の森地区
夜の森の静かな環境を活かして福祉の先進地にしてはどうか。
夜ノ森駅前はゼロベースのまちづくりをしてはどうか。
夜の森公園の利活用をしていくためのリニューアルを。
つつみ公園にある溜め池の水をきれいにして、水がきれいになったら釣りなどの多目的利用をできるようにしたい。
子供が多いと町が賑わうので、子供が遊べる環境づくりをすべき。
駅前でごみ拾いをしてその後食事会をするような、町民のコミュニティが高められるイベントをやりたい。
2.富岡町全体に関する意見交換
富岡地区はにぎわい(買い物、遊ぶ場所)、夜の森地区は住む場所というような役割分担を。
富岡地区と夜の森地区をつなぐ景観を美しくした道路をつくるのはどうか。
浜街道に一年通じて楽しめる花の整備を。
公園のトイレが暗いのでその改善も。
避難指示解除によって差がみられるので、復旧復興の時間差を埋めて、町全体をバランスよくつくっていくという視点・バランスが必要。
地区で分けずに一体的に考えるべき。
町全体の賑わいを創出するイベントを一過性ではなく、文化とすれば交流人口・関係人口が増えるのではないか。
イベントの広報についてはもっと居住者にも情報発信していくべき。
観光客の誘致に向けた整備・仕組みづくりとして、海・川・山の観光資源の活用、かつてあったリフレ富岡の復活が必要ではないか。
立体的なジオラマの観光マップを各案内所に配置することで、一体的にまちを把握できるのではないか。
観光客と地元の住民が交流できるようなイベントはどうか。
全体的に歩道が整備されていない。ノーカーデーを導入して見つめ直すのはどうか。
また、GSが少ないのでインフラの整備。
普段利用者が少ないバスを廃止して、ライドシェアを導入してはどうか。車に乗れない層(免許を持たない中高生層や免許を返納した高齢者等)の取りこぼしがないような整備の導入を。
3.ワークショップを振り返って
本ワークショップでは、富岡地区と夜の森地区の住民が初めて一堂に会し、意見交換を行いました。各班が地区を超えてお互いの意見を共有し、ベテランから若者まで、幅広い年齢層の皆様が世代を超えて、富岡町の未来を明るく前向きに語り合う和やかな場となりました。
各地区で計3回のワークショップを通して、地域(住民)と行政(役場)が一体となって「まちづくり」を行っていくという新たな支援の在り方としての有効性を認識することができました。
4.今後の展開
来年度以降も住民主体のワークショップは続きます。今年度のワークショップを通じて認識することができた住民主体の取組を今後も継続するとともに、将来イメージの実現に向けた活動内容・連携方法の検討など、より踏み込んだフェーズに進み、引き続き、まちづくりプランのブラッシュアップが期待されます。
私たち福島相双復興推進機構は、これからも富岡町の災害復興計画(第三次)策定はもちろん、ワークショップタイトルのとおり住民主体でのまちづくりの一助となるよう、そのプラン作成を応援していきます。
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