八戸リサーチの巻 小中野〜八戸酒造
(記録:居間 theater 東)
八戸のリサーチへ
3月某日。居間 theaterと、「ジャイアント食堂」で音楽監督・出演をしてくださる大谷能生さん(以下、大谷さん)は八戸を訪れた。主な目的は、前回の下見では見ることが出来なかった八戸のさまざまな場所をめぐることと、ジャイアント食堂の企画内容を詰めること、下準備をおこなうことである。
数日の滞在となるので、リサーチでは美術館スタッフYさんに車を出してもらい、八戸の各所を回った。
居間 theaterのメンバーが八戸に訪れるのは、前回の下見がほぼ初めて。前回は遠方をほとんど見て回れなかったので、実質初めてのリサーチである。
大谷さんは八戸出身。コロナ禍で帰省はほぼできていなかったというが、八戸全体のことはよく知っているので、Yさんとともにナビゲートしてもらうことに。
大型バンに乗り込んでいざ出発。
小中野
美術館から車で10分ほど。
小中野は八戸市のおおよそ中央のあたり、馬淵川と新井田川の間の低地にあるとのことだ。
小中野で最も有名であろう建物は「新むつ旅館」であろうと思われる。
(われわれが訪れた日は休業日で、外から眺めるだけであった)
参考記事:青森「新むつ旅館」生きた遊郭建築に泊まる!八戸に残る一軒宿
上記の参考記事に詳しく記載されているが、旅館はもともと妓楼であった建物で、1世紀前までは「八戸遊郭」と呼ばれ地域一帯が遊里・花街だったという。
新むつ旅館前の道路は横幅がひろく、一直線に長い。遊郭跡の道路によく見られる、大きな中央通りだと思う(大門通り?かな)。
ずどん、と長い。以前に別のリサーチで歩いた東京・八王子の遊郭跡と同じ道路の幅と間隔を思い出した。
そして、大谷さんに新むつ旅館の裏の住宅街も案内してもらう。大谷さんが子供のころには新むつ旅館以外にも、遊郭の名残の小さい旅館や宿などがたくさんあったという。(銭湯もあったとか)
いまは全部壊されて、空き地や住宅になっているそうだ。
一周ぐるりと回って車に戻る。
タクシーが後ろからやってきて止まった。年配のご夫婦と運転手が車から降りて旅館を眺めている。タクシーの運転手が名所案内をしているようだ。八戸観光をする際に新むつ旅館は定番の場所らしい。
なお、八戸市美術館の階段は、新むつ旅館のY字階段を参照しているとのこと。
八戸酒造の酒蔵見学
車を走らせ数分。湊町本町の「八戸酒造」に到着。
新井田川横に立つ大きなレンガ造りの建物である。
安永4年(1775)創業の老舗酒蔵。陸奥男山、陸奥八仙が有名である。
入口に酒蔵見学の案内と、なんと利き酒体験ができると書いてある。
まだ午前ではあるが…..悩む一同。しかし、500円なのである。安いのでは….?
その後のリサーチも真面目に頑張る気合いだけ持ち、意を決して申し込む居間 theaterと大谷さん(Yさんは運転のため見守り)。
まずは酒蔵見学。
待合室のスペースには、八戸酒造を紹介するオシャレな映像がさりげなくループ再生されている。
傍には、2021年の酒蔵の格付けを決める「世界酒造ランキング」1位に輝いた証の盃が飾られていた。でかい。
時間になると案内のお姉さんがやってきて、酒蔵ツアーを始めてくれた。ちなみに、1位の盃は、次に1位でなかったら返さなければいけないらしい。シビアな世界だ。
八戸酒造の建物は、煉瓦蔵、土蔵、木造の店舗兼主屋からなり、国の登録有形文化財、県の景観重要建造物に指定されているらしい。
店の入口を入ってすぐ横に、家の応接間が隣接していて面白い。
実際の製造場所はもちろん見られないが、外から案内してくれた。
蔵の1階では酒を瓶に詰めている様子を少しだけ見ることができた。そして瓶詰めされた日本酒が大量に保管されている。天井が高く、ひんやり。
蔵にはネズミ避けであろうモスキート音が爆音で鳴っていた(耳の良い大谷さん、悶える)。効果はばつぐんだ。
急な階段を登って蔵の2階へ。
がらんとした屋根裏のようなスペースには、酒造りの道具や昔のパッケージなどが展示されている。案内のお姉さんによると、イベントでも使っているそうで、ライブや展示ができるらしい。
見学をぐるりと一周終え、待合スペースに戻った一行。
すると案内のお姉さんが「お待ちかね」と言わんばかりに、陸奥八仙の瓶を出し始めた。利き酒のスタートである。
まずはじめにお姉さんから、少し酒を飲んだら、これを飲めという指示が入る。瓶に入った水である。仕込み水だそうだ。
よし、わかった。仕込み水を飲んで、酔わないぞ!!!
まずはスタンダードで有名な八仙の赤ラベル。なるほど、ちょっと辛口でおいしい。加熱をしていない「生」ラベルは季節限定で、春前に終わってしまうらしい。東京などに卸されているのはいわゆる「火入れ」だ。
そして水を注いでくれるお姉さん。水もおいしい。
次は青ラベル。これもおいしい。
さらに黒ラベル。飲み比べるとかなり味の違いがわかる。
お姉さんは一つ一つ丁寧に説明をしてくれている。ふむふむ、と聞く一同。
500円だから、3種類を一口ずつ飲み比べるくらいかな…
これで終わりかな。と思った矢先、
お姉さんはベージュのラベルを取り出した。お姉さんの説明は止まらない。
ううむ、これもおいしい。
次はすこし軽めで女性に人気のピンクラベル。軽くて飲みやすい。
しかし、ここまでおそらく10分かかっていないであろう….。もしかしてこれは、お姉さんのハイペースに乗って、すごい勢いで利き酒しているのでは…
いや、さすがにもう終わりだろう。水を飲んで、よし、ごちそ….
お姉さん「それで最後は、これね!貴醸酒!!」
一同「まだあるの!!!」
陸奥八仙の貴醸酒までご登場である。貴醸酒には2ラベルあり、お高めの黄色いラベルと、さらにお高めの紫ラベル。
貴醸酒はカステラなどにかけるとおいしいとお姉さんはおすすめしてくる。
ここまで約15分。お姉さんの素晴らしいトークとサービス精神、そして営業魂。
しかし、500円で7種類の利き酒….安いのでは….。
さらに、八戸酒造の支援会員についての説明を受け(酒造の田植え行事に参加できたりするそうだ)、酒造の公式ラインアカウントも勧められお友達にまでなった。
営業力の高いお姉さんは、最後に売店も案内してくれた。まんまと買う一同。(日本酒ドーナツなども売っている)
お姉さんの営業手腕はすごかった。
リサーチ、つづく。
(※酒についての記述は個人の感想と記録であり、広報目的はありません….)