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八戸リサーチの巻 八戸キャニオン

(記録:居間 theater 東)

キャニオンとは一体

八戸にはキャニオンがある。八戸中心街から南に車で数十分。正式名称は八戸石灰鉱山という名である。
キャニオンは、石灰石の鉱山で、採掘場は日々稼働している。一般人は展望台からその様子を眺めることができるのだ。われわれはYさんに運転していただき、山道をどんぶらことキャニオン展望台に向かった。

展望台からは、すり鉢上になった採掘場が、遠ーくに見える。

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iPhoneで拡大しているが実際はさらに遠い。もはやカメラには何も収まらない

iPhoneのカメラを最大限にズームすると、ミニチュアのように車やトレイラーが見える。
採掘場で人が働いているのが、小ーさい車の動きでわかる。
ここに来るときはぜひ双眼鏡を持参することをお勧めしたい。

採掘場は目視ではかなり見えづらい。ただただでかい。異常にでかい。
この日は少し靄もかかっていて、岸壁が舞台の書き割りのようにも見える。遠くに見える幻影のよう。

けれども、採掘場がすり鉢上になっているからか、音だけがこちらまで響いてくる。重機の音が、突き抜けて聞こえてきた。
石を掘っている音で、目の前の景色が本当に稼働しているのだとわかる。


展望台の裏に

なぜか展望台の階段の下に、この採掘場の解説が掲示されている。

鉱山の歴史がなぜか展望台のデッドスペースに書かれている

それには以下の通り書かれていた。

八戸石灰鉱山の採掘は遠く江戸時代にさかのぼります。大正時代になるとセメント工場が操業を開始し、本格的に石灰石が掘られるようになりました。昭和の初期にはセメントが八戸の全工業生産額の50%を占めるようになり、工業都市八戸の基礎を築きました。
その後、この鉱山はセメント工業の原料部門としての役割を経て、昭和45年住友金属工業(株)鹿島製鉄所の製鉄用焼結原料の供給のため、八戸石灰工業(株)が設立され、近代鉱山としての装いを新たにしました。昭和48年に操業を開始し、昭和55年に生コン用骨材の販売が始まったことを機に、生産規模を拡大し、最新の技術と設備を導入し現在に至っています。

八戸石灰鉱山展望台の掲示「鉱山の歴史」から転載

おそらく平成の始めくらいにこの掲示がつくられたのであろう…。こういう、八戸鉱山の会社の人が書いたであろう展示などをみるのはすごい楽しい。

別の掲示は、ここで掘られた石灰石が地下のベルトコンベアで港まで運ばれるということを教えてくれた。
地下のベルトコンベア….って、なんや??
まったくイメージが湧かないぞ。
掲示を読み解いてみると、どうやら採掘した石灰石を運ぶ設備(長距離ベルトコンベア)がキャニオンにはあって、地下を通って港や各セメント工場に運んでいるらしい。その距離約10Km。
具体的な地下ルートはちょっとわからなかったけれど、港までとすると、おおまかには八戸の市街地なども突っ切ってベルトコンベアが地下にあることになるのではないだろうか。なんと壮大な!

しかも、稼働している採掘場で実用的に使われていると考えると、日々八戸の地下には石灰石がベルトコンベアで流れているということ…..。
美術館の地下深くでも、石灰石がよいしょよいしょと運ばれていたら面白いな。

ダンプトラックの紹介などに気合の入った掲示

露天掘りの、深度170m

展望台からみると、すり鉢上になっている岸壁の途中に、黄色く「0m」と書かれているところがあるらしい。(このときは目視では見えなかった)
つまり、キャニオンは海抜0m以下を掘っているということだ。
現在は深度170mくらいまで掘られているらしい。
深度170mって….なんや??
まったくイメージが湧かないぞ。
しかも石灰石はそんなに深くまで掘ってもまだ出てくるのか….神秘すぎる。

八戸キャニオンはすり鉢状に掘る「露天掘り」という形式だそうだ。
深度170mの露天。毎日11:30~12:30の間に発破され、石灰石を掘る人たちがいる。深度170mはつまり海だ。


そして毎日地面の下、ベルトコンベアで、石灰石くんたちは流れている。

展望台から見ているだけだと、スケール感も何もかもがバグり、実際にどういうことになっているのか想像も及ばなかった。

帰りの車のなかで調べていると、愛読のデイリーポータルZで詳しい取材記事があったのを見つけた。ありがとうデイリーポータル。ありがとうライターさん。

以下参照:

そうか、八戸キャニオンは伝説的な存在だったのか….。
上記記事が2011年時点でのもので、その頃は深度160mということなので、だいたい10年で10mほど深くなったということだろう。

(もちろん機械は使っているにせよ)人間の手でこれを延々と掘り続けていることの脅威というか、なんというか…..を感じたのだった。

(リサーチ、つづく)

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