大分で湯っくり文豪気取り(iPad奪還編)【行こ行こ#4】
前回までのあらすじ
初めて大分県に降り立ったまるのすけ。文豪気取りで温泉地で執筆活動を試みる。
ふぐを食って温泉に浸かって上機嫌だったのだが、宿に帰って「iPadを無くしていた」事に気付く。
果たして相棒iPadは戻ってくるのか?
原稿は進むのか?詳細は過去記事を参照のこと。
2日目
待ってろ相棒
朝。目が覚めると、もうiPadの事しか頭にありません。
窓もない安宿の部屋を飛び出すと、外は雨。
前日と同じ定食屋に行くには、バス路線はありません。
そうです。レンタル自転車です。
アプリで手早く開錠すると、港へ向けて一目散に漕ぎ始めます。
うおおおおおお!
顔面に雨粒が当たります。
無防備な両手がビシャビシャの濡れます。
容赦無く風が体温を奪っていきます。
ダウンジャケットのフードは、正面からの風力でたちまち持ち上がり、全く雨除けの効果がありません。
耳がかじかんで引きちぎれそうです。
けれども構いません!
私のiPadが、相棒が待っているのです。
全身が凍えるのが何でしょうか?
問題ありません!
定食屋さんは、まだ開店前の時間なので電話をかけました。
ま「朝からすみません。昨日伺った者なんですが、どうやらそちらにiPadを忘れてしまったようでして…」
お店の方は親切に答えてくれます。
店「あぁ!昨日のとり天のお客さん?」
ま「そうですそうです!昨日はごちそうさまでした。」
店「何を忘れたのかしら?どのくらいの大きさ?」
ま「A4サイズくらいの黒いタブレットで、シールが貼ってあるものなので、目立つと思います!」
店「あらー。何も届いてないわねぇ」
ま「え?」
店「あの後、お客さんは来なかったし、見ても無いわねぇ」
ま「え、あ、そうですか…それは…お騒がせしました。」
な…無い…。
そんなはずは…。だってこのエリアに来たのはあの定食屋さんだけだし、あとは何処にも寄らずに大分駅方面へ帰ったはず。
探すアプリもこのエリアを示している。
もし地面に落としているようならば、無事戻ってくる見込みは無い。
オカエリナサイ
もう一度iPhoneの「探す」アプリを確認する。
あれ?
このエリアだから前日の定食屋さんだと思っていたが、もう少し北側?
大きな青果市場の更に海側でシグナルが発信されている。
これはマズい。
だってここは卸売り市場があったり、工場があったりする港湾地帯。
中に入れる場所など無いだろうし…。
とりあえずAppleが主張する位置の目の前まで行ってみよう。
交番があるのかな?と思った私の予想は打ち砕かれた。
知らない、聞いた事もない会社さんの敷地内を指している。
恐る恐る中へ入る。
ま「ごめんください…」
「は…はい…?」
ま「あのー。今から変な事を聞きますよ。あのですねぇ…。」
「私のiPadがどうやらこちらにあるようでして…」
「あーはいはい。シールがいっぱい貼ってあるのですか?」
!!!!!!!!!
そうです!
「届いてますよー」
何故?
何故こんな縁もゆかりもない場所に、私の相棒が?
背広を着た職員の方が私にiPadを手渡してくれた。
やったあああああ!
私は何遍もお礼を言いながら、何故ここにあるか聞いてみた。
「ここは高速バスの営業所ですよ。」
「空港から大分駅まで乗車されたでしょう?」
は!
そうかじゃあ…。
このバスの中にあったのかああ!
そういえばバスの中でなんか描いた気がする。
呑気にバスの写真撮ってた昨日の私よ。
間抜けすぎるだろう。
かくして私の相棒であるiPadは無事に舞い戻ったのであります。
レンタル自転車を漕ぐ足取りも軽く、大分駅を目指します。
なんだが大きなクエストを達成したような気分ですが、まだまだ2日目が始まったばかり。
これからいよいよ大分県の温泉の中心地。
別府へ向かいます!
つづく
記事:まるのすけ
「いつか行こうに今日行こう」シリーズはマガジンにまとめてあります。