東へ向かって北上する 4 | 民宿で特大おにぎりとビール 7 あんころう 2024年12月13日 21:08 この日の移動は結構狂気じみていて、筑波から下道で会津宮下まで向かった。会津宮下は只見線沿いの小さな町である。目的は夕方までに宿に着くことだったので、のんびり下道を楽しんだ。 朝に学園都市のホテルを出て、栃木に入った。山の中に入ると店もなくなるんじゃないかということでちょうど現れたドライブイン的なお店で昼食。 日替わり定食650円。オレンジ色のチキンカツだった。安い部位を柔らかくしっとり揚げる工夫がしてあったし、小鉢もついてる、ご飯も大盛り、こういうサービス精神もあるのだなあとしみじみ味わった。お腹が空いていたので完食したら同行者は驚いていた。 どこにはいっても日替わり定食があるとつい頼んでしまうのだが、この店ではわたしたち以外に日替わりを頼む人がいなかった。多くはラーメン、カレー、客層は作業服の男性が多かったように思う。なぜ日替わりを注文しないのか、あの妙にしっとりとぷりぷりした鶏肉はきっと残り物であろうと、安くおいしく健康を害さなければなにも問題ない。むしろありがたいのに、、でも、ぱっとでてきてぱっと食べられるものを選ぶ客層なのか、とあれこれ想像していた。 食事処を出て、ドライブを再開した。関東から北上すると改めて感じたのだが、景色が深くそこで暮らしてきた人の気配が濃くなっていくように感じる。下道で移動したからこそそのグラデーションをより感じられたのかもしれない。20代前半に初めて日光へ旅行したときも同じようなものを感じたことを思い出した。栃木はなにかの境目なんだろうか。 那須塩原まで来るとすっかり山の中に入ってしまった感じがした。店がなくなってしまうかと危惧したが、案外そば屋が多くてどの店も「新そば」の旗を立てていた。 山のなかはちょうど黄色く明るかった。紅葉を見にきたと思われる車の列にも遭遇した。山奥のトンネルを抜けて会津に入った。写真は撮り忘れたけど、雪深い土地の家が並んでいた。昭和村などのあたりもゆっくり歩いてみたい。入りたい炭酸泉もあるし。 宿に着く前に風呂を済ませようということになって、早戸温泉つるの湯にいった。夕方16時半ごろだったかと思う。まだ日暮れまで少しあった。 休憩所と露天風呂から只見川の景色がみられる。初めて来たときもこの景色がつげ義春が描いたものとあまり変わらなくてびっくりした。 いいお湯だった。湯治もできるらしい。 出口に飲泉所。温泉は飲めるなら飲みたい。 ここのは塩気があっておいしい温泉だった。食事処で温泉水を出汁に使ったラーメンを売っているらしく、素朴ですごくおいしそうだった。お湯から上がって建物を出るとすっかり日が暮れて辺りは真っ暗だった。 そして、久しぶりの民宿かねこ。水槽のディスプレイが変わっている! こたつがある部屋に案内してもらう。前回も同じ部屋に泊まった。かねこさんともろもろお話をしていると夜食におにぎりを持ってきますという。 テーブルには剥いた柿が用意されていた。このかきおいしかったなあ 少ししてから塩の効いたおにぎりとひじきの煮物を運んでくださった。「おなかすくとねむれないでしょう?」という。でっけえおにぎりにかぶりつくと細胞が歓喜するようなおいしさだった。かねこさんとは5年ぶり(多分)の再会を祝してビールを飲んだ。わたしは以前この宿で1週間ほど過ごしたことがあった。そのときも本当によくしてもらった。その滞在について書いた記事もあるので興味があったら読んでほしい。かねこさんはもうすぐ94歳になるそうだが、相変わらず宿を営んでおり独特のみずみずしさも健在だった。 その夜は再会の喜びを噛み締めながら布団に入った。 いいなと思ったら応援しよう! みつけてくださってありがとうございます チップで応援する #福島 #2024 #奥会津 #ちくご文庫 #東へ向かって北上する #会津宮下 7